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国を出るに当たって最後の心残りというか疑問を解決しておきたかった。
そもそもダンジョン開拓ってなんだ? ダンジョンを育るっていったいどういう事なのかちょっと意味がが分からない。
歴代の召喚者の記憶ではただひたすらに難易度の高いダンジョンを攻略させられていただけなので、書庫でダンジョンの育て方という重要機密文書を読んだ時には何を言っているのか良く理解できなかった。
私が知っているダンジョンは自然発生したり元からあったり、洞窟仕様だったり草原や遺跡仕様だったりと色々あっても結局は魔物が跋扈し、その魔物を倒す事で魔石やドロップ品を手に入れられる場所だ。
何を基準に有益とするのかは分からないが、普通はより強い魔物が出没しより貴重なドロップ品を手に入れられるダンジョンが有益なのではないかと思うが、国によってはその考えも違うのだろうか。
それにもしダンジョンを本当に育てられるのならば、より有益なダンジョンを作り出すことも可能なのではないだろうか。
「これは一度入ってみるしかないよね」
実際にダンジョンに入って色々と自分の目で確かめないことには何も始まらない。成人し国の許可が無くては入れないダンジョンだが、多分歴代召喚者がくれただろう隠密術を使えば入るのも可能なのではないかと考えていた。
何しろ歴代召喚者達は城の兵士に強制的に連れられていたが、ダンジョンに入る時に何かをした覚えがない。だから誰かが入る時に隠密術を使い付いていけば入れる筈だ。
もしダメだった時は別に急がなくても他の国へ行って成人になるのを待ってダンジョンに挑めば良いし、もしかしたら他国はダンジョンに関する色んな条例がこの国とは違うかも知れないからね。
旅立つ準備を万端整え、早朝になるのを待って城を出た。
隠密術は自分では姿が消えているかどうかは確認できなかったが、気配はすっかり消せているようでたとえ誰かの目の前に立とうと気付かれることはなかった。
怖くてまだ試したことは無いが、もしかしたら相手のどこかに触れても気付かれることはないかも知れないくらいに完全空気のモブになれた。
そこに居るのにまったく気付かれない人がいると以前漫画で読んだ時はそんなことあり得ないと思っていたが、実際に自分が隠密術を使ってみたらまったくそれと同じ状況だったので本当に驚いた。
貴賓室の使用人で試したのだが、目の前で声を掛けているのに全然気付かれなかった時には何かのドッキリかと思ったくらいだ。
そして隠密術はさらに時空間魔法と連動させると瞬間移動が可能で、今目の前にいたのに次の瞬間は後ろに回っているとか一瞬で屋根の上に移動するとかいう忍者みたいな動きが可能だった。
これにはテンションがMAXになったが、確実に目視できる範囲でしか移動できないのと移動後の風景の変わり具合のせいか何度も立て続けに繰り返すとかなり酔った。
三半規管が丈夫で車にも船にも酔ったことがなかったので、初体験の乗り物酔い(?)は本当に辛く、これは使いどころを考えなければとかなり反省した経験となった。
事前に自分の能力を色々と検証してみて気付いたが、魔法に関しては歴代召喚者が使い慣れていたのもあって問題なく使いこなせたけれど、固有能力の神眼術・隠蔽術・隠密術に関しては殆ど超能力に近い能力のようなので、まだまだ工夫次第ではできることも増えそうな気がした。
そしていまだに検証できていないのが創成術で、なんとなく錬金術に近い能力なのかと漠然と考えているのだが、何しろ歴代召喚者達にも創成術を使った記憶が残ってないので何からどう始めれば良いかもいまだに見当も付かずにいた。
錬金術のように何かと何かを合せ別の何かに作り替えるのか、または素材を使って作れる物を作っていくのか、はたまた何も無くても魔力か何かを使って想像できる物を作れるなどのぶっ壊れチート能力なのか、なんにしてもこの国でこの力を試す気にはならなかった。
魔導具のように国の利益とされてはたまらないし、もしセイランにでもバレたらなんだかんだいいように利用されかねない。セイランに関わったら知らぬ間に利用されていたってことがありそうだと本気で思っている。
今になって考えてみると執務室に暇つぶしに出かけただけでもかなりの情報を与えていたかも知れず、それによって知らないところで何かが動いていたかも知れないと思うと悔しくなるので考えないようにしていた。
なんにしてもこの国は早く出るべきだと思いながらも、ダンジョン入り口で中へ入る冒険者を待ち続けていた。




