11. 急転
随分と更新をしそびれておりました。
コミケで出した分以降の執筆が思うように書けずに頓挫しかけており、ストック貯まるまでは、と投稿を控えておりましたが、流石に中途半端なところで放っておくのは良くないと考え、とりあえず残りの2話分を投稿することにしました。
次の12話と合わせてご覧ください。
状況を少し前まで巻き戻す。
「ウゥッ解けろこのっ!イテテテテこら噛み付くな!!」
月陽は、蛇人間の髪の毛から変化して手足に巻き付いた紐状の蛇と格闘していた。
このままでは、賢治があのヘビ人間に喰われてしまう。彼女を起こしてしまったのは僕の所為なのに、このまま彼を巻き込んで怪我させるのは嫌だ!
でもどうしよう、この紐をどうにかしないことには助けに行けない。しかしなんなんだこの髪の毛!まるで生き物みたいに・・・・
そう思いながら、紐の末端でこちらに顔を向けながらシャーッと威嚇する蛇を見て、月陽は閃いた。
そうだ、生きてるなら・・・・痛がるはず!
彼女はそう判断するやいなや、すぐ近くにあった手頃なサイズの石まで転がり、その生きている紐を、自分の腕足ごと何度も打ち付けた!
「このっっ!さっさとっっ!ほどけっっっ!!」
打ち付けるたびに悲鳴を上げた蛇が、打ち付けが二桁を超えた辺りで気絶し、締め付けの力がなくなった。よし、作戦成功!
自分の手足の痛みも感じながら、辛くも紐蛇から解放された月陽は、すぐに2人の方に駆け出す。
賢治を、やらせは、しないっ!!
間に合えっっっっ!!!
・・・・かくして、僕は賢治を庇う形で、ヘビ人間の牙をその腕に受けることとなった。
かなり太い注射針を腕に同時に2箇所ぶち込まれたような、鋭く重い痛みが僕を襲う。
その痛みに思わず顔をしかめるが、僕は悲鳴を堪え、どうにか臆することなくその場に踏みとどまった。
「「ほぅ、これは何とも勇敢な小娘よ。私の蛇を解くだけでなく、この牙を受けても泣き声一つあげぬとは。そこらの男よりも漢らしいのぉ。ますます気に入った。」」
僕の腕から滴り落ちる血を二股の長い舌で舐め取りながら、彼女は話を続ける。
「「しかも、おぬしの血のなんたる旨さよ!今までに得たことのない味よの!!女の血は不味いかと思ったが、これは中々どうして、新しい気付きじゃ!これはまるで・・・・ヴッッッッ!?」」
意気揚々と僕の血の食レポをしていた彼女は、突然眼の瞳孔が開いたかと思うと、僕の腕から牙を抜き離して、もがき苦しみ始めた。
僕はその場にしゃがみ込み、噛まれた左腕の手の指がまともに動くかを確認しながら、何故か苦しんでいる彼女の様子を注視する。
「「ガッッッッア゙ア゙ア゙ア゙ぁぁぁぁぁぁあ!!!
あた、頭が、アタマが痛いぃぃぃィィィ!!!」」
彼女はそう慟哭し、先程までの不敵な態度とは打って変わって、手で頭を抱え顔を歪ませながら、あられもなく砂浜を転がり回る。
「一体、何が起こっているんだ・・・・?」
僕はまるで状況が飲み込めず、ただただ転がり回る彼女を見る事しか出来なかった。それは、後にいた賢治も同じ様だった。
「「グッッッガッッッッア゙ッッッ!!なん、だ、こ、の、景色ッッッはッッッ!!知らぬッッこんな、もの、わたし、は、知らぬッッッ!!
わた、し、わ、たッッッしッッッ!!」」
「「「「・・・・『ワエ』、わ!!!!」」」」
そう彼女が最後に口にした瞬間、辺りが急に重々しい雰囲気に変わった。いや、物理的に空気が重くなった。
そして、彼女は海老反りの姿勢になったかと思うと、超音波のような金切り声を上げ、周囲に強烈なオーラのようなものを発し始めた。




