トッシュ、慌てて取って返す②
「俊さま、早く乗って!」
「きらさん?」
「早く乗れッ! ノロマッ!」
「は、はいッ!」
きらさんはトッシュと同い年。
だからなのか、時たま彼にも命令口調になる。
日頃の優しさ、丁寧さから豹変するから、よけい激コワ!
あたしだって剥き身の暴力には逆らえない。
ホントはか弱いんだよ?
「ナミ!
路上状況マッピング!」
「ま、了解!」
フロントに各路面状況が表示された。
もう手動運転想定してるから|線画表示《スルーサイト
》だ。
副長は若い頃から運転経験が豊富だとかで、
ドラテクも神の域だ(無免許だとかは忘れて?)
その点で隊長同様、やたら頼りになる。
「走査母機が把握してるエリアはどこ?」
確認済みエリアが表示される。
未確認エリアも結構広い。
「俊ッ!
ばぁちゃん行きそうなトコはッ?」
「あ?あ〜?
あ!
畑?畑見に行ったか?」
農家の性っていうか、
イチバン気になるからって見に行っちゃう。
それで亡くなる人がいるのを知ってても。
んもう!ばぁちゃ〜〜ん!
トッシュの自宅中心に円が表示される。
言っとくけど、
トッシュのばぁちゃんだからの特別扱いじゃない。
要救助者が他にいれば捜索範囲はもっと広がってる。
そしてあたしらが動くのは、
ただ自衛隊や警察より早いからってだけ。
「こんな時は疾るっきゃ無いっしょ?
命預ける覚悟無いヤツはここで降りなッ!」
「あたし、行くよっ!」
「訊くまでもあるまい?」
「頼む!
命預けるよ!きらさん!」
「よく言ったっ!
イケてるよ、俊ッ!みんなッ!
さッ、行くよっ!ドア締めなっ!」
いきなりバック全速!
急加速にタイヤが悲鳴あげる!
動的姿勢制御で後輪を跳ね上げた高機動軽装甲車は、
駐車場のガードレール乗り越え、
バック走のまま高台から道無き道の斜面に飛び出す!
「うわわわわわっ!」
「しっかり掴まって歯ァ食いしばりなッ!
舌噛むよっ!」
逆向きのフリーフォールみたいな恐怖感に耐えきれず、
トッシュが叫ぶ!
「の、NO〜〜〜〜!!!」
涙目になりながら叫ぶ!
心の声、ダダ漏れなんよね〜!こういう時。
「ま、待ってろよ、ばぁちゃん!
か、必ず、間に合う…から」
マッタク、ダダ漏れよね。
あたしが遭難してもそう言ってくれるかな?
言ってくれるよね、トッシュ♡




