表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
相棒が現代の乗り物に変形できる【万乗ビークル】でした!~剣と魔法の異世界で、今日は何に乗ってどこへ行く?~  作者: タジリユウ@6作品書籍化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/57

第56話 策


「……きりがないのう」


 戦闘が始まってから30分ほどが経過したが、スタンピードの勢いは収まるどころかより一層激しくなってくる。


「森で一気に数を増やしたのでしょうね。ここまで大きくなる前に発見できなかったのは運がなかったわ」


 長老さんたちから聞いた話だが、スタンピードはある日突然起こる感染症のようなものらしい。突然魔物が凶暴化し、ひとつの集団となる。一番厄介なのは周囲に存在する魔物にも影響を与えて、スタンピードの一員としてしまうところだ。


 魔物同士で争うことはせずに仲間がどんどん増えていき、人を襲う。今回のスタンピードのように多く魔物が生息する森を通ると、一気に数が増えるらしい。そのためスタンピードは早期発見と早期討伐が求められるのだが、このスタンピードはすでにいくつもの森を呑み込んでいるようだ。


 まるでパニックものの映画だな……。数の暴力というのは本当に恐ろしい。


「このままではこちらの魔力と弓や砲弾などの物資が先に尽きてしまうのじゃ……」


 マーテルの言う通り、スタンピードの群れは絶え間なく襲ってきている。魔物の数にも限界があるだろうけれど、こちらの魔力と物資が先に尽きる可能性も高い。


 みんなの力で撃退できれば一番だったけれど、ここは出し惜しみをしている場合ではなさそうだ。まずはひとつ考えていた策を試してみる。


「ノア、走行ポイントを使って救急車に変形を頼む」


『承知しました、【救急車】を取得します』


 ウインドウを操作し、300ポイントを消費して新たに救急車を得る。


 いつものようにノアの身体が光り輝き、元の世界でよく見た白と赤色の救急車へと変形していく。


「ノア、救急車の能力はなんだ?」


『マスターの予想通り、中で怪我の治療ができるようですね。それに加えて自然治癒力も上昇するようです』


「やはり怪我の治療に特化した乗り物みたいだ。考えていた策は可能そうか?」


『……自然治癒力は上昇するようですが、こちらは試してみないとわからないようです』


 これまでの傾向と同様に元の世界の用途にあった能力が付与されている。


 まだ全員が城壁の上から戦っているため、怪我人はほとんどいないが、この救急車を出したことには理由がある。


「マーテル、みなさん、お願いします」


 事前にエルフの里のみんなには説明をしてある。街にある物資や状況によってなにかと組み合わせれば大きな効果を発揮できそうな乗り物がないかを考えていたため、ギリギリまで取らなかったが、今はこの救急車の可能性にかけるしかない。


 マーテルと魔法を使って魔力をある程度消費した数人に救急車の中へ入ってもらった。




「……どうですか、魔力が回復した感覚はないですか?」


「駄目なのじゃ、先ほどと変わっておらぬ」


「こちらも駄目なようです」


「くそっ、駄目だったか!」


 救急車の中に入ってから10分ほど経過したが、みんなの魔力が回復することはなかった。自然治癒力が上昇しても、魔力が回復するというわけではないらしい。


 魔力さえ回復すれば無限に先ほどのような大規模な魔法を連発できるという策は失敗だったか。


「怪我を治療できるだけでも十分にすごいのじゃ」


「……それでも今は意味がない」


 確かにまともな医療器具のないこの異世界でけがの治療ができるこの救急車はかなり便利だ。だけど今の状況を覆すことはできない。


「そろそろ他の場所でも魔力や物資が限界のようじゃな」


 エルフの里のみんなはまだ交代で魔法を放っているが、騎士団や冒険者の方では大規模な魔法をほとんど放てなくなっていた。エルフという種族は魔力が豊富だが、他の人たちはすでに限界を迎えている。


「……ふむ、ここまでか。マーテルとソウタ殿は先に撤退をしてほしい。儂らも頃合を見て撤退する」


 長老さんがそう告げる。長老さんもすでに大規模な魔法を何度も使用しているため、だいぶ疲弊していた。


「……このあとはどうなるんですか?」


「街の者たちが城壁の外に出て最後の攻撃を仕掛けるが、正直に言って厳しいじゃろう。儂らもそれを援護しつつ、撤退する。問題はスタンピードが次にどこへ向かうかじゃな。儂らは別の街へ移動し、魔力の回復を待って再びその街の者たちとあのスタンピードを止めるつもりじゃが、先に里を襲う可能性もある。あの森は魔物も多いゆえ、減らした魔物の数を増やしに向かうかもしれぬ」


「くっ……」


 これまでは城壁の上から一方的に攻撃を仕掛けることができたが、直接魔物たちと戦うとなると大きな被害が出る。たとえ剣技や力のある人であっても、魔物の物量に押し潰されてしまうだろう。それにエルフのみんなも撤退している最中に被害が出る可能性もある。


「ソルガ殿と今後のことについて話してくる。マーテルとソウタ殿は今のうちに早く撤退を」


「嫌じゃ! 妾も父上と母上と一緒にいるのじゃ!」


「大丈夫だ、このあとすぐに父さんと母さんもマーテルの向かった街へ向かう」


「今回ばかりはわがままは許しません。ソウタさん、娘を頼みます」


「……長老さん、壁の外に出て攻撃を仕掛けるのを5分間だけ待ってもらってください。最後に試してみたいことがあります」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ