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ねた的な小説  作者:
29/29

料理人は女神様!? にっ!

地球の料理人見習いから生まれて不安定な世界の豊穣の女神として生まれ変わるという驚きすぎる体験を経て、同族であるはずの主神達に「地上をどうにかしてみてね」と無理難題を押し付けられたあげく天界から叩き落されて数ヶ月。


遠い遠い地球の空の下のお父さん。ついでにお父さんよりかは近いお空の上にいる同族たち。

アリエルは今、日本でメジャーな料理の一つである「あれ」を村のみんなに披露するために村の広場にて特設の鉄板(たまたま鍛冶師経験のあるおじちゃんがいてくれて本当に助かった)を前にしています。


もわっと立ち上る鉄板の熱気。アリエルは生地、卵、モヤシもどきにキャベツもどきその他必死になって見つけた代用品の材料を手早く混ぜ合わせると鉄板に落とす。

じゅわっ!という音があたりに響いた。


手早く形を整え、頃合を見計り特注て作ってもらったコテで見事な手さばきでひっくり返すと見守っていた村人達から「おおっ」と歓声が上がる。

日本での知識を元に作り出したアリエルオリジナルのソースの入った筒を手に取り、傾ける。濃い飴色のソースが熱々の生地に惜しみなく掛けられていく。

じゅあわわっという音とともにソースの焦げるにおいが広がり、嗅覚から周囲の村人の食欲中枢を刺激してくる。


先日やってきた行商人が持ってきた魔法によって冷凍されていた魚を乾燥させたものを薄く削り取った鰹節をふわりと掛けると熱によってまるで踊っているかのように動いた。

(ちなみに魔法で冷凍された魚を行商人に出された時のアリエルは小躍りせんばかりに喜んで周囲をドン引きさせた)


アリエルの口元に不敵な笑みが浮かぶ。


「さぁ、出来た。これがアリエル渾身の一品。「大阪風 お好み焼き」よ!」


あつあつのふわふわ生地に食べたことのない深みのある濃厚なソース。見たことのない料理はしかし一口食べたら手を止めることのできないほどの美味だった。


「熱っ!熱いけど………おいしぃぃぃぃぃぃ!!」


「ほぁほぁっ!うまぃ!」


「鉄板の上で食べるのもまたうまいなぁ~~」


魔法のように次々と焼き上げるお好み焼きは片っ端から村人達の胃袋に消えていく。大盛況だ。


(ふふふ~~~。凍りつけの魚を見たときにぴぴっときたのよねぇ~~~。これで鰹節ができないかって)


味も見た目を鰹に似ていたその魚はアリエルの予想通り見事な鰹節へと成長を遂げた。


そして出来た鰹節を見て真っ先に思いついたのが件のお好み焼きだったわけで。

新しい料理のお披露目をかねて今日、仕事終わりの村人達に振舞うことにしたアリエルだったのである。


「アリエルちゃん。おいしいねぇ」


口元にソースをつけながらお好み焼きを頬張る女の子の頭をなでなでする。「えへへ」と笑う女の子と笑いあいながら次のお好み焼きを焼こうとしたアリエルだったがすぐ隣から漂ってきた臭いにぎょっと目を見開いた。


なんとも表現しずらい複雑かつ怪奇な臭いの元を辿ればご機嫌な様子でコテを手にしたセンの手元に行き着く。


「ひっ!」


女の子が見る見るうちに涙目になって「おかあさん~~~~~!!」と母親の元に走り去っていった。

じゅわわっという音がするはずなのにアリエルの耳がおかしくなったのか「ぐぎゃぁぁぁ!」と怪物の断末魔のような音に聞こえてきた。


センがつたない手つきで鉄板の上で形を一生懸命整えているのはもしかし………認めたくないが………お好み焼き、なのか?


生地は紫色に変色し、やたらに粘度はあがっているらしく生地にコテが触れるたびに糸を引いている。

同じ材料を使っているはずなのになぜだかお好み焼き?になんらかの動物の目らしきものが浮かんでいた。気のせいだろうか?うごうごと動いているような………つっかあれは生地か?足だろ。触手系の。


アリエルはゆっくりと手を拳の形に握り締める。ふつふつと心に湧き上がるのは言葉になどできないほどのマグマのごとき怒り。

半眼で凶悪な顔つきのアリエルに気づかないのか気にしないのかセンはうごうご蠢く物体(もはや料理と呼ぶことすらしたくない)を苦戦しつつ皿に乗せるとそれを笑顔でアリエルの前に差し出した。

創造主?を真似たのか皿の上の物体が「ぎしゃ!」と足?らしきものをあげて挨拶してきた。


料理と目が合い、挨拶されるという非常識極まりない経験をアリエルは味わった。


「あ、アリエルさん!僕もおこのみやき、作ってみました!」


「それを料理と呼ぶことは料理に対する許されざる冒涜だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


怒り心頭なアリエルの見事のアッパーカットがセンの顎に吸い込まれるように命中し、センは宙を舞い、重力に従って地面に叩きつけられた。

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