青い薔薇をあなたに
設定と物語序盤のみです。
ビィー:十四歳。小麦色の髪と茶色の瞳。過去三回分の記憶(内一回目は地球の学生)を保持しているが鮮明なのは三度目ぐらいで一度目と二度目はかなり薄れている。
物心ついた頃から前世の記憶は持ち合わせているためかそんなものかと受け入れている。
前世の記憶保持のせいかそれとも生来の気質か十四歳にしては冷めている上に異様にマイペース。集中していると周りが見えない。めったに怒らないが怒ると怖い。イメージは「水牛」。動きも思考ものんびりだが怒るとそれらが一気に早くなる。
針仕事が得意でなんとなく将来はこれで食っていこうかなぁ~~ぐらい思っている。
一人称「わたし」。
庶民。家族構成:父(冒険者)、母(元宮廷魔術師現主婦)、祖母(王宮でお針子長を務めたこともある女傑)。結構濃い家族構成だがビィーはこれを一般家庭だと言い張る。
一度目の「私」:ビィーの最古の前世。三度の人生の中では唯一の異世界人。服飾系の専門学校に通う十八歳。服飾オタクで服だけではなく機織やらバックつくりやらと幅広く手を出し、知識を吸収していたが急な病でこの世を去る。明るくてひょうきん者。
二度目の「あたし」:ビィーの二番目の前世。異世界軸では約1000年近く前の人物。貧しい農家の生まれだった。引っ込み思案だが思い切ったら一直線な性格で寒村であった故郷をどうにかしたくて綿花の発見をした。彼女の故郷は今でもこの二つの生産地であり彼女自身は土着の神として崇められている。
三度目の「ぼく」:ビィーの三番目の前世。時間軸にして約150年前の世を生きた人物。かろうじて貴族に引っかかっているような貧乏男爵家の三男(四男六女 兄「25」 兄「24」 姉「21」 自分「19」 妹(双子)「18」 弟(双子)「18」 妹「12」 妹「9」 妹「8」 妹「2」)
家族仲はかなり良かったが両親がはやり病で亡くなり、長男が家督を継いだ。貧乏暮らしをどうにかしたい。兄弟達に楽させたいという強い思いから一念発起して前世の知識フル活用(ただし彼の時代でもうかなり薄れてきていた)で商売を開始。なんやかんやで兄弟やら周囲を巻き込みどたばたを繰り広げた模様。性格は守銭奴でどケチ。嫌いなものは赤字。好きなものは黒字の帳簿とお金。大事なものは家族。
自称 女神の使い「シロ」:全体的に丸っこい羽の生えた白い犬。本当の姿は優美で優雅で神々しいらしい。ビィーの庭で腹を空かせて転がっているところを朝の鍛錬をしていたビィーの父親に発見され狩猟民族よろしく槍の先にくくられて危うくビィーの家の食卓に上がる所だった。悪戯で女神様のドレスを破いてしまい「ドレスを直すまで帰ってくるな」と力を封じられた上で地上に落とされた。
ビィーから「シロ」という身もふたもない名前を与えられビィーの家の臨時番犬となる。(本人事後承諾)
自尊心は高く天界の住人であることも女神に仕えていることも自慢だが根が単純。傲慢な言い方をするが泣かれるのには弱い。つまりはへたれ。
お父さん:ビィーの父親。現役の冒険者だが妻子を持ってからは日帰りをモットーとしておりどんな難関なクエストでもきっちり十二時までには終わらせて帰ってくるアリエナイ父親。子煩悩の妻命。
独身時代は「災厄」と言われた問題児冒険者だったらしい。
妻の母には頭が上がらない。巨体。
がははははっと高笑いが特徴的なおやっさん。自身の身長ほどもある大剣をぶんぶん振り回す。
酒には弱く、甘いものが好き。
黒い髪に黒い瞳。
お母さん:ビィーの母親。おっとりしてたいていのことを「あらあら」で済ませてしまう主婦。もともとは凄腕の宮廷魔術師だったのだがどういう経緯なのか現在の夫と付き合うことになりそのまま引きとめようとする王宮側を笑顔で振り切り退職。現在は主婦業に専念している。酒に弱い夫とは違いいくら飲んでも酔わない。外見は非常に若々しい。実年齢は不明。だがこの夫婦は姉さん女房。
小麦色の髪に茶色の瞳。
おばあちゃん:ビィーの母方の祖母。非常に気難しくしつけに厳しい老女。王宮のお針子長を務めたこともある。夫は宮廷魔術師だったが若い頃に死別。ビィーに針仕事を教えた人。今も週に何回か新人の教育のために通いでお城に通っている。白髪に茶色の瞳。
烈女と呼ばれるもある。王宮内の人脈は手広い。
一度目の私はここではない世界で衣服について専門知識を学ぶ学生。
二度目の私はこの世界に文明らしいものが生まれた頃に生を受けた貧しい農家の一人娘。
三度目の私は没落した庶民派大家族貴族の三男。
三度の人生を生きた記憶を持つ四度目の「わたし」は薄れてはいたけど過去三回分の前世の記憶というものを覚えているというちょっと変わった平民の娘だった。
一度目の人生の私は夢に向かって必死に勉強していたけど志半ばで病気によって死んだ。
二度目の人生の私は鮮明に覚えていた前世の知識で綿花を発見し、新しい衣服を作り出し、今では土着の神として崇められている。
三度目の人生の私は大家族を養うために薄れていく前世の知識を利用して糸や毛糸などを自家生産、機織などでタペストリーを作るお店を立ち上げ、その店は今現在まで続く老舗の大店になった。
薄れていく一度目の前世の知識。それを上手く活用し、活路を見出してきた二度目と三度目の「私」。
そして、今、再び消えていく前世の記憶を受け継ぎ生まれた今世の「わたし」。
わたしが生まれた世は発展を続け貴族と庶民の垣根がだいぶ低くなり、王制を続けてはいるが数代前の王の御世に議員制に移行し貴族、市民代表議員、王という三者による話し合いによって国を統治され、戦争なんてここ百年ほど起きていない太平の世。
そんな世界の片隅にある小さな町のどこにでもある一般家庭に生まれた庶民であるわたしこと
今年、十四を迎えたビィーはチクチクと服を繕っていく。
三つ子の魂百までとは(一番目の「私」の世界の言葉だったかな?)よく言ったもので三度の人生を生きた「私」たちと同じくわたしも針仕事に興味を持ち、今の人生の祖母が針上手でスパルタで鍛え上げられたこともあり十四歳にしてご近所さん(主に独身男性)から服の繕い物の仕事をもらい小遣い稼ぎをしていた。