スクラップ置き場
私は大きなドラム缶とポリタンクとポンプを荷台に乗せ、妹に飯を持ってこいよ、という文句を無視して、南の方角へと進んだ。朽ち果て崩れた家々がズラッと並んでいるが、草で覆われ、そこにはすでに人の気配はない。
その先を進むと田んぼ道だった。稲が大きく成長し、今年の収穫は期待できそうだと私は胸が躍った。そよ風も気持ちよく感じた。その脇の雑木林を見てみると、さび付いて捨てられた車がちらほら見つかった。私は尖った枝で足の裏にケガをするのも気にせず、林の中へ分け入りクルマの脇のガソリン口を無理やりこじ開けると、ガソリンのニオイが漂ってきた。まだ燃料はある!と喜びさっそくポリタンクに、ガソリンを入れた。少し濁った色をしていたが、気にしなかった。それを、さらにドラム缶へ入れて次の車を探した。
車は簡単に見つかり、その作業を延々と繰り返した。ふと車の中をのぞくと、ミイラが横たわっていることもあったので、なるべく見ないようにした。気づけば夕刻で、ドラム缶にも十分たまり、荷台も重くなったので、妹の土産に自分の手に触れてガソリン臭くなったキノコをいくつか荷台に乗せて元の道を戻っている矢先、壮年の浮浪者の男性が、立ちはだかった。
お前、その荷台のやつ。どうする気だよ。
なんだお前。そんなの知ったことかよ。
金になりそうならくれよ。
そういうと襲いかかってきたので、手に持っていたナイフで、彼を突き刺した。彼は悶え苦しんだので、首を一突きして、雑木林にたまたま見つけた既にガソリンを回収した車の下に引っ張り込んで隠した。
ガソリンなんだよ。後ろに乗せてるのは。今の時代、売れるものか!
私はそう吐き捨て重い荷台をせっせと運んだ。家に帰る頃には、辺りも暗く、腕も疲れたので、タンクは荷台に乗せたままシートをかぶせた。
今日は遅かったじゃねぇの?
悪かったよ。これ、キノコ。
それ、毒キノコじゃねえかよ!
私は妹に頬を叩かれた。そして今日も水と豆生活だぁと泣きべそをかいた。真っ暗なリビングで、その頭に響く声のなか、私は汚れたソファに横たわるとどっと眠気が襲いかかりそのまま眠った。




