Ep.1 ⟬ 世界が水没しちゃったんだよね ⟭
後悔できるうちはまだ溺れていない。
——ようこそ。終末崩壊都市へ。
20xx年。
異常現象と政府の腐敗により。
『世界が水没』
* * *
――世界水没より5年後。
突然の最大災害により人類は行き場をなくし、多くが息絶えてしまった。
しかし人々は希望を失わず、かつての生活に近づけようとするも、できるだけ高い位置での生活を余儀なくされた。
水没してからすぐは本当に多くのことが起きた。殺人。強盗。テロ。暴動。
まるでこの世の地獄みたい。
そして今。水没直後ほどではないが危険なのは間違いない。
だがこの5年で少しずつ世界が順応しようとしてるのは感じる。
水没した都市にて、ビルをパルクールのように移動する若者。
ボートを使い、信号機を見下ろしながら商売を始めるもの。
バルコニーでボロボロになったラジオを修理するもの。
地面を目指し水深まで潜り、二度と浮かんでこなくなったもの。
――その様子を静かに見守る少女がいた。
黄色いパーカーのフードを深く被り、廃墟と化したタワーマンションの最上階を彼女なりにアレンジし、世界に順応する。
部屋にはゴミが散らかり、電気類は壊れてしまっている。だが最低限の生活の質は保てているようだ。
最上階からの都市の眺めはまさに幻想的だ。
太陽の光が水面を反射し、色鮮やかな水色を照らす。
時々11階の窓に流れてきたジャンク品がぶつかる。
少年たちは今にも崩れそうな看板の上ではしゃぎ回っている。
――人々は希望など失っていない。
いつか、あの頃を取り戻してみせる。
いつか、広い土地で野球をするんだ。
いつか、愛犬と散歩がしたい。
いつか、ハワイに行きたいなあ。
いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか。いつか
「――そんなのあるわけないのに」
「だって、街は溺れちゃってるじゃん」
黄色いパーカーの少女は水面を凝視する。
――流されていく死体。
「そっか。人も溺れてるのか」
◇◇◇
こんばんは。
作者のタピオカパン公爵夫人でございます。
少女×終末×サバイバルの当作品、次回からはその水没した都市と人々の営みがこっそりと描かれます。
どうぞ、お楽しみくださいませ。
◇◇◇




