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姉妹と兄妹と家族、それぞれの事情

 さて、まだ見ぬ異国のコメのことはさて置き、先ほど自己紹介を受けたリーザとリーゼのことも念のため鑑定する。


『名前:リーザ・ロイス

 種族:魔人族(女性/鬼人) 年齢:25歳 職業:元諜報員(アサヒナ男爵家使用人候補)

 所属:アルターヴァルト王国(元ゴルドネスメーア魔帝国)

 称号:四つ子の鬼神

 能力:A(筋力:E、敏捷:B、知力:A、胆力:A、幸運:B)

 体力:2,200/2,200

 魔力:5,810/5,810

 特技:火魔法:Lv9、風魔法:Lv6、光魔法:Lv6、生活魔法、鬼神化

 状態:健康

 備考:身長:142cm、体重:40kg(B:82、W:48、H:82)』


『名前:リーゼ・ロイス

 種族:魔人族(女性/鬼人) 年齢:25歳 職業:元諜報員(アサヒナ男爵家使用人候補)

 所属:アルターヴァルト王国(元ゴルドネスメーア魔帝国)

 称号:四つ子の鬼神

 能力:A(筋力:C、敏捷:A、知力:A、胆力:B、幸運:C)

 体力:2,860/2,860

 魔力:5,150/5,150

 特技:水魔法:Lv9、風魔法:Lv6、闇魔法:Lv6、生活魔法、鬼神化

 状態:健康

 備考:身長:142cm、体重:42kg(B:84、W:50、H:82)』


 また、これはややこしいのがやってきた……。


 職業『元諜報員』って、元スパイってことですよね? 何で元スパイが王城にしれっと入ってこれるんです?


 まぁ、『元諜報員』だから今はもう諜報活動してないとは思う……。所属も王国に変わってるし。ただ、王国側がお人好しなのかはさて置き、旅人を装った諜報員を王都に潜り込ませるとは……。魔帝国とやらは要注意だな。


 他にも注目すべき点が幾つかある。


 まず年齢だけど、見た目はかなり幼く見えたのだが、既に成人を迎えた立派なレディだった。恐らくは魔人族、彼女の種族『鬼人』というものが額のツノも含めて関係しているのだろう。


 そして、彼女たちが揃って持っているその称号と特技は何なのだろうか?


 『四つ子の鬼神』『鬼神化』……。どう見ても字面からは不穏な気配しか感じられない。


 一つずつ確認するが、まず『四つ子の鬼神』。つまるところ、彼女たち四つ子の内、故郷に残った妹たちも同じ称号を持っているのだろう。そして、『鬼神化』……。恐らくは何らかの条件により、文字通り『鬼神』と化す変化が起きる特技ではないかと推測する。つまり、彼女らを不用意に怒らせて鬼神化させないことが重要ではないかと推測する。


 そう考えると、なるほど。彼女たちの前の主人であるヴェルナー子爵は、もしかすると彼女たちの特技を把握していたのではないだろうか。だから、彼女たちの要望に応えてコメの入手に尽力したとか……。


 そんなことを考えている内に、五人目の使用人の紹介が始まる。リーゼの隣にいた女性が口を開いた。


「私はヴィルマ・ビアホフと申します。先ほどご紹介に預かりましたラルフの妹になります。この度、兄ラルフが新たにリーンハルト殿下とパトリック殿下の御用錬金術師様の御屋敷にて家令を務めると聞いて、正直に申し上げて心配で心配で……。それで叔父上に相談を行い、この度、兄ラルフをサポートするために応募することに致しました! アサヒナ様、よろしくお願い致します!」


 ヴィルマは兄のラルフを心配して、わざわざビアホフに訴えてうちの屋敷の使用人に応募してくれたそうだ。何とも兄思いの妹だろうか。


 そんな風に思ってラルフの様子を見ると、苦虫を噛み潰したように、その表情は優れない。恐らく身内の少ない働き口で羽根を伸ばしたかったところに妹がやって来たことで、思惑から外れて気分が悪い、といったところだろう。


 兄の威厳を保つことが難しいのは、生前友人の兄妹仲を見ていて良く感じたものだ。でも、元々一人っ子の俺としてはそんな友人の様子も羨ましかったものだが、これは当事者にしか分からない感情かもしれない。


 そんなことを考えながら、念のためヴィルマについても鑑定を行った。


『名前:ヴィルマ・ビアホフ

 種族:人間族(女性) 年齢:20歳 職業:近衛騎士(アサヒナ男爵家使用人候補)

 所属:アルターヴァルト王国

 称号:なし

 能力:A(筋力:C、敏捷:S、知力:B、胆力:A、幸運:S)

 体力:5,240/5,240

 魔力:2020/2020

 特技︰盾術:Lv9、物理耐性:Lv9、魔法耐性:Lv7、状態異常耐性:Lv6、剣術:Lv6、礼儀作法

 状態:健康

 備考:身長:172cm、体重:56kg(B:82、W:58、H:88)』


 ふむ。何となく分かってきたけれど。王国は俺の屋敷の使用人を近衛騎士で固めたいらしい……。そんな意志を強く感じている。


 そして、更に使用人の紹介が始まるのだが、残りの三人の様子が少しおかしい。というか、その内の一人は顔見知りであった。


「わっ、私はハインツ・ブラントと申しますっ! この度、家族全員が住み込みで働ける仕事があるということで応募致しました! よろしくお願い致しますっ!」


 そう言ったのは、以前から王都の門や貴族門で出会ったことのある銀髪の王国兵士、ハインツだった。そして、ハインツとその隣にいた男と女の三人が同時に頭を下げた。


「まさか、ハインツさんが私たちの屋敷の警備兵に応募するなんて思わなかったよ。王都の門番の仕事のほうは良いのかい?」


「部屋に入ってきたときは驚いた。本当に、ハインツさんが私たちの屋敷の警備兵になるの?」


 アメリアとカミラがそれぞれハインツに話し掛けると、ハインツは少し恥ずかしそうにしながらも二人に応えた。


「いや、俺だって、まさかお前たちがこの部屋にいるとは思わなかったよ。そうか、成人前の御用錬金術師様ってのは、この前の子供、いや、アサヒナ様のことだったのか。それでお前たちもこの部屋にいる、というわけか……。ようやく合点がいったよ。まぁ、門番も悪くはなかったが、もう俺もそう若くはないからな、後輩に役目を譲ったってわけだ。それに家族全員が住み込みで働けるような警備の仕事なんて滅多に無いからな、それで今回思い切って応募してみたわけだ」


 なるほど、ハインツの言う通り、今回のような条件での募集は珍しいかもしれない。そんなことを考えているうちに、ハインツの隣にいた青年が続いて口を開いた。


「私はハインツ・ブラントの息子でヨハン・ブラントと申します! 父と共に、この度御用錬金術師様の御屋敷の警備兵として応募致しました。若輩者ではありますが、よろしくお願い致します!」


 ふむ、ハインツの隣にいた青年はハインツの息子らしい。確かに良く似た顔つきで、それに銀髪の頭も、頭を下げる姿もそっくりだった。


 更にその隣にいたハインツと同年代の女性も続けて挨拶してきた。


「ハインツ・ブラントの妻で、ヨハン・ブラントの母のザシャ・ブラントと申します。この度は主人と息子が御用錬金術師様の御屋敷に住み込みでの勤めに応募するということだったので、私も料理人として応募させて頂きました。正直申しまして、私の料理はただの素人料理ではありますが、精一杯努めて参りますのでよろしくお願い致します」


 ヨハンと同じく、ザシャも深々と頭を下げた。


 つまり使用人候補の最後の三人はハインツ一家であるとのことだった。俺としては、初めて王都にきたばかりの頃に、王都の門や貴族門で会ったくらいしか記憶にないが、アメリアとカミラは顔見知りであり、更にその家族が屋敷にいてくれるのなら心強いのだろう。二人からは特に否定的な感情は感じなかった。勿論、俺も不満はない。何故なら……。


『名前:ハインツ・ブラント

 種族:人間族(男性) 年齢:44歳 職業:兵士長(アサヒナ男爵家警備兵候補)

 所属:アルターヴァルト王国

 称号:元Aランク冒険者

 能力:A(筋力:B、敏捷:B、知力:B、胆力:S、幸運:A)

 体力:4,880/4,880

 魔力:200/200

 特技:剣術:Lv8、体術:Lv7、生活魔法、殺気感知、疲労耐性、恐慌耐性、集団指揮

 状態:健康

 備考:身長:178cm、体重:70kg』


 ハインツ氏はかなり優秀な王国の兵士の様だ。元Aランク冒険者の称号がそれを裏付けている様に思う。それに『胆力:S』から来るのものなのか、疲労や恐慌への耐性があり、集団指揮なるスキルを持つ。つまり、冒険者としても兵士長としてもリーダーに向いた人材といえる。というか、本当に俺の屋敷の警備なんか任せていて良いのだろうか……。


『名前:ヨハン・ブラント

 種族:人間族(男性) 年齢:18歳 職業:Bランク冒険者(アサヒナ男爵家警備兵候補)

 所属:アルターヴァルト王国

 称号:なし

 能力:B(筋力:A、敏捷:B、知力:B、胆力:A、幸運:B)

 体力:3,830/3,830

 魔力:240/240

 特技:双剣術:Lv6、剣術:Lv6、短剣術:Lv4、生活魔法、殺気感知、孤独耐性

 状態:健康

 備考:身長:177cm、体重:68kg』


 ふむ。ハインツの息子ヨハンの能力も中々興味深い。十八歳という若さでそろそろ能力値がAに届きそうなのところも素晴らしいのだが、胆力Аは父親譲りなのだろうか。特技の双剣術も気になるが、孤独耐性って……。つまり、ボッチ耐性ってことなんだろうか? それはともかく、警備兵としての能力は全く申し分なかった。


 しかし、冒険者には未練はないのだろうか。


「ヨハンさんは冒険者のようですが、冒険者としての生活には未練は無いのですか?」


「まぁ、基本的にいつもソロで活動していたので、特に今回の件を止める仲間もいませんしね。それに冒険者のリスクを考えると、警備兵も悪くないかなぁ、なんて話を父ともしまして。まぁ、休みの日に狩りに出掛けるくらいで十分ですよ」


 なるほど……。孤独耐性はソロパーティーで培われたものだったか。まぁ、本人が納得しているなら、こちらからどうこう言うつもりはない。


 続けてハインツの妻で、ヨハンの母親であるザシャを鑑定する。


『名前:ザシャ・ブラント

 種族:人間族(女性) 年齢:40歳 職業:アサヒナ男爵家料理人候補

 所属:アルターヴァルト王国

 称号:なし

 能力:D(筋力:D、敏捷:E、知力:B、胆力:C、幸運:B)

 体力:820/820

 魔力:300/300

 特技︰料理:Lv8、接客術:Lv6、整理整頓、礼儀作法、生活魔法

 状態:健康

 備考:身長:164cm、体重:54kg(B:88、W:62、H:90)』


 この人も問題ない、というか『料理:Lv8』はまさに待ち人きたるというものだ。それに接客術や整理整頓に礼儀作法まであるのなら料理以外にも色々と相談できそうだ。


「ザシャさん、得意料理は何かありますか?」


「そうですね、我が家でよく出すのは『野菜とオーク肉のシチュー』でしょうか。主人も息子もよくお代わりをしてくれますので」


 ザシャがそう答えると、ハインツとヨハンもザシャの言葉に大きく頷いて応えた。


「おう、うちの奥さんのシチューは絶品だからな!」


「その通りです、皆さんもぜひ試してみてください!」


 ハインツとヨハンの反応を見ると、ザシャの料理の腕には中々期待できそうだ。急にお腹が空いてきた……ゴクリ。


「なるほど、それは楽しみですね!」


 俺がそう応えると、ハインツ一家はニコニコと微笑んでいた。微笑んでいたのだが……。それも長くは続かなかった。そう、ある男が口を開くまでは……。


「ふむ、アサヒナ男爵邸での晩餐か。私も参加したいものよ」


 その瞬間、二つの意味でその場にいた八人の顔が凍り付いた。


「「「「「「「「アサヒナ男爵……?」」」」」」」」


 そう、この八人は『御用錬金術師の屋敷』に勤めるつもりで集まった者たちだったのだ。それが突然ゴットフリートから『男爵邸』などと言えば驚くのも無理は無いだろう……。


 すかさずウォーレンが説明した。


「皆の者。驚かれたかも知れませんが、この度、アサヒナ様は国王陛下より本日付けで男爵の爵位を陞爵されておられます」


「「何と……」」


 そう呻く様に声を絞り出したのはラルフとハインツだった。アルマとヴィルマはそれぞれ「ほう」とか「へぇ」という感じで受け捉えており、リーザとリーゼは揃って「「そう」」と、あまり興味を示さなかった。そして、ヨハンとザシャは言葉を失っているようだった。


 特にザシャのほうは、ゴットフリートが「アサヒナ男爵邸での晩餐に参加したい」という言葉のほうに衝撃を受けているようで固まっていた。


「ま、まぁ、国王陛下もお忙しいかと思いますし、まだ屋敷のほうも準備が整っておりませんので……」


 ザシャに対して助け舟のつもりでそうゴットフリートに伝えたのだが……。


「ふむ、確かにそうよな。ではアサヒナ男爵邸の準備が整い次第、私とリーンハルト、パトリック、それにヴィクトーリアとフリーダに対して招待状を寄越してくれ。あぁ、フリーダというのは私の娘でな、なかなか謁見の間などの公式の場には参加せんのだが、貴族邸での晩餐ならば参加してくれるだろう」


 逆に、国王陛下というか、ゴットフリート一家全員の招待を約束することになってしまったのだった……。


 正直、そんなに大勢で来られても、ザシャ一人では料理も準備できないだろうし、おもてなしできるスペースが無いんだけど。


 だが、俺はもう何も心配していない。


 何故なら、どうするかは新たに屋敷の家令となったラルフに全て丸投げしようと既に思考が算段を始めていたから……。



 そんな話をしながら、ようやく使用人及び警備兵の候補者八人との顔合わせが、無事終わった。基本的には皆問題ないのだが……。


 しかし、一体、何故に近衛騎士が二人も使用人候補に含まれているのか……。これはウォーレンとビアホフに確認が必要だなぁ。


 それに国王陛下御家族を屋敷に招待か……。全く、やることが次々と増えてきて、本当に何が何だか分からない状況だよ。


 今後のやることリストにまた一つ新たなタスクが追加されたと感じて、俺は心の中で深いため息をついた。

いつもお読み頂き、ありがとうございます!

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