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ポイ捨てダメ絶対









「お前には失望したぜ、二度と顔見せんな」










なんの前触れもなく、恋人から唐突に別れを告げられた。




「…急にどうしたの?私兼成に何かした?」


「それ、本気で言ってんのか」





軽蔑しきった眼差しで会長はこちらを睨み付ける。放課後の生徒会室で運良く二人きりになれたかと思えば、まさか別れ話とは。恋する乙女なら号泣モノだ。残念ながら私の涙腺は有給消化中だが。





「馨に嫌がらせしてんの、お前だろ」


「なにそれ、言い掛かりにも程があるよ」





親衛隊を脅してちょっと目が合ったら睨み付けさせたり、すれ違いざまに罵らせたり、私物をズタボロにしてゴミ箱に捨てたり、水やゴミを頭からかけたり、机や靴箱に虫の死骸を詰めたりしただけで。嫌がらせだなんてそんなまさか。





「…お前がやったって裏は取れてんだよ!」


「馬鹿馬鹿しい。やってもない事で責められるいわれはないよ」






滲み出る態度はさておき、実行中のところを目撃されたり撮影されたりするヘマは今のところしていない自信がある。






「大方、親衛隊にでも吹き込まれたんでしょ?私と相原さんの両方を排除出来れば願ったり叶ったりだもんね」


「…まどか」


「ま、相原さんがムカつくのは事実だけど」





会長の顔色が変わる。こんなに分かり易い人間がトップで此処の生徒会は大丈夫なんだろうか。

一旦ペンを机に置くと、横に置いておいたペットボトルを手に取り喉を潤す。無駄に金のかかっている生徒会室は冷暖房完備ではあるがすぐ乾燥してしまう。





「だって、あんなに皆に好かれてるんだよ?それで満足すればいいじゃん。なんで兼成まで夢中にさせるかなあ」


「俺が勝手に惚れただけだ」


「知ってるよ。ずっと生徒会で一緒だった私より、ぽっと出のあの子の方が魅力的だったんだよね?」





残り僅かのお茶を一息で飲み干し、空のペットボトルを少し離れたゴミ箱に投げ入れる。ペットボトルは、カン、と気の抜ける音を立てながらゴミ箱の縁に跳ね返って、そのまま床に転がった。舌打ちしながら渋々立ち上がる。





「皆に好かれて、兼成に好かれて。私の大事な物全部奪ってくあの子が憎らしいよ」


「馨に何かしたらいくらお前でも許さねぇぞ」


「安心していいよ」





要らないゴミはゴミ箱に。そろそろ潮時かな。






「他に好きな子が出来ただけの癖に、無理矢理人を悪者にして別れようとするアンタの方がもっと憎らしいから」




「じゃあね、兼成」






ガラリと扉を開けると案の定そこには相原さんと愉快な生徒会メンバー達が待ち構えていた。気まずそうに顔をそむける連中の脇を抜けてするりと廊下に出る。

縋った方が盛り上がったかもしれないけど、クールな副会長、唐沢まどかのキャラクター的にはこっちの方が無難だろう。









さて、男に振られた無様な女の復讐劇の始まりだ。

作戦を練るのは煙草を吸いながらでいいだろう。






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