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帰郷への開拓路 26話「回想 オフェルの功績」


「我が友、オフェルよ。今日も貴方の壁を突き破る為の訓練をしてくれるのか?」


高名な魔術師はわざわざエゼル王国よりヤシェル王国まで、オフェルに稽古?いや、研究に付き合わせる。


これは共鳴の荒物が降り立つ前の話だ。

この高名な魔術師はオフェルの功績を讃えて、執拗に声がけを行い、惜しくもオフェルは研究を手伝う。


オフェル「君は私の壁に何の不満があるか知らないが、私は君に破られない様に特別な誘惑対策をするよ」


2人はもはや、友人の様な関係だった。


「ああ、この魔獣使いは今日も壁の解析をしようぞ」


オフェル「解析か…」


魔術師はウサギの魔獣を横に従わせている。そしてウサギは、ぴょんぴょん跳ねて突進してくる。魔獣だと分かるのは、体に植物の様な模様が浮かび上がっているからだ。


いつもは、巨大な樹木の様な魔物や、全体的に大きな魔物を操り、攻撃を仕掛けてくるが、今回は違う様だ。オフェルはその違和感に一層の警戒を強める。


オフェル「なんと…!」


オフェルはすぐに壁を展開するが、そのウサギは小さいにしては壁を破るのが早すぎた。オフェルの壁はすぐにガラスの様に溶けてウサギが近づいてくる。


オフェル「壁とは。時間を稼ぎ、事前の策を練ることのできる戦術的な道具だ。」


オフェルは壁を自身の地面に貼るそして、地面より離れた位置に移動する。そして、ウサギはオフェルの真下の壁を破った。


「もういいぞ。ビートフット。戻れ。」


そして、そのウサギはオフェルの近くへ戻る。ビートフットという名があるらしい。


オフェル「名がついているのか?」


「動物に名前がついているのに、魔物には名前がついていないのは不思議じゃないか?オフェル様。いつも練習に付き添いくださり感謝します。これにて、我が練習を締めたい。」


オフェル「やはりか…我が壁を打ち破るとは、その成果、この星の為とならんことを祈ります。」


オフェルは翼でお辞儀をする。そして、素朴な疑問が湧く。それは、何故彼は魔獣を、魔物と親しく会話することができるのか?と、しかし、彼は誰にもそれを話すことがない。気を遣えば、それを問いかけるのは良くないことだろう。


「礼をさせてください。近いうちに、シュブルスに匹敵する大魔物が飛来するらしいですよ?ヤシェルの方角に…」


オフェル「!?」


冷静なオフェルが眉をひそめ、激しく動揺した様に動きが静止する。情報量が多すぎるのだ。何故彼がその様な重大な情報に触れることができているのか?怪しすぎる。


オフェル「何故だ。何故あなたはそこまで強い?」


「我が情報の元はルティアスなる天より降り立つ魔物の関係者と、言いたい。ルティアスはこの大地での小競り合いを憂いている。」

ミーンは誇らしげな表情でんそれを話す。


オフェル「ミーンよ。どういう意味だ?」


ミーン「我が友、ルティアスは争いを避け、皆で目的を達成したいと言っている。」


オフェル「正気か?魔物に逆に飼われているのではないか?」


ミーン「ああ正気さ、ルティアスは手段を選ばない、“平和”のために。エゼルはその魔物を使って、歴史上初めてのこの星で、内乱を起こすつもりだ。止めてくれ。私はエゼルの秘宝へ近づくことができる良い特訓ができたと、オフェル様には感謝しております。では…また機会があればお会いしましょう。」




そう言い放つと、彼は他の魔物に跨って空を飛び、エゼルに帰ってしまった。しかし、彼と会ったのはそれが最後だ。そして、その出来事の背景がオフェルの現状へ突き刺さる。


エゼルの魔術師、いや、魔獣使いの預言は当たった。この蟹は私の防壁では支えきれない。巨大な強靭な壁を持ってしても、こいつの泡が私の壁を全て、突き破る。


次々に降り注がれる人サイズの蟹を防ぐことが難しいとは、人々と翼を持つ人はそれぞれ、大地と地上から弓矢を発射し続けるが、次々に巨大な蟹の出す眷属に飲まれていく。


オフェル「あいつが…言っていた言葉は未来さえも飼い慣らすことができるのか?」


オフェルの翼による防御は手法を変えて、人がいる位置の前に、翼の破片をシールドとして展開し、守っていた。オフェルは自身の翼の操作で手一杯にならずに、しっかりと場を制する技量でシールドを構えるが、相手の量が多すぎる。


オフェル「このままでは!」


街であったその場所に、多くの瓦礫や倒壊した樹木で並ぶ中に、蟹が横歩きで雪崩れ込んでくる。弓兵も射手に矢を渡す翼を持つものも、彼らの泡状の液体へと、飲まれていく。


一般兵「あ、あ、あ、」


一般兵2「見るな!怯むんじゃない!」


隣の兵士が両腕を広げ、服を脱ぎ捨てていく愚行に走るのを他の兵士は見て見ぬふりをする。そして、その兵士は、蟹の怪物へと成り変わる。泡の中へ飛び込む。

エスメラルダは前線近くの指揮を任されていた。彼女はそこまで階級の高くない兵士であったが、そういう状況なのだ。オフェルが前線に出るのもおかしな話である。


エスメラルダ「おい!ここにいる全員!石矢の先を外して布で包んで、顔につけろ!前線にもそう伝えろ!搬入班は何をしてる!?」


部下「搬入班は撃ち漏らしそびれた蟹に飲まれて増殖しております。」


エスメラルダ「総員!に告げる!搬入班を死守せよと!今から出る搬入班は先に装備として、黒い矢先の石を布で包んで前線に矢と武具を運ぶ様に伝えろ!前線の兵士はオフェル様の範囲を歩け!」


エスメラルダは部下に指示を出す。


さらに多くの蟹が巨大な本体?から波打つ様に迫り来る。


オフェルは蟹の大群を処理する許容値を超える。シールド一枚に蟹が平均で5体現れる。この様な状況にオフェルは耐え難い何かを感じる。そう敵の本体の様な存在が微かに感じ取れるのだ。オフェルしか、それに気づいていない。イェルも後ろで支援するので手一杯だ。オフェルはやるしかないと感じ、その本体の場所を感知しようと、壁、シールドを死に損ないの兵士の前に出して、感覚領域を広げる。


オフェル「あいつか?」


女性兵士が前線で、やられた動かない体を乗っ取った蟹がいる。頭を食い潰し続けて、女性の体を書き換えようとしている。


女性は悲鳴をあげて、その蟹の折り畳まれた何か発するエネルギーの違いが、オフェルの感覚を鋭くさせる。その観測に勘づいたその蟹は、動きが一瞬止まる。


女性兵士「いや!!!いやぁ!!!あぁぁっあ!!!ー!!」


周りの兵士が、その女性を心苦しくも射抜き始めた瞬間、オフェルの脳内に、何か言葉が流れる。


?「主が…そうなのか?」


その汚い全く懐かしさのない声に、オフェルは背中にシールドを全て戻し、全てのシールドでその女性兵士の頭を食いちぎる蟹をシールドで囲む。そして、自身も覆い被さる。


オフェル「シュブルスとて、この様に倒されたはずだ…」


?「ああ…約束の結実者よ。我は滅んだ。しかし、今こうして、ここにおるのも、心地よい。」


オフェルは白と黒が入り乱れる鏡の様な空間に辿り着いた。その、女性を食いちぎる蟹は、甲殻類の化物は、人の形をした甲冑の様な甲殻類になった。


?「我が名はボイデ。分かりやすく言えば、侵略者の密偵だ。協力せよ。オフェル」


周囲からの景色がわからない彼らの周囲は大きな黒い球体状の何かだった。武功を見せたとも言えるのか?その黒い球体に“共鳴の荒者”の眷属が群がる。その隙に、討伐隊は体勢を立て直す機会を得た。

お読みくださり、ありがとうございます。完結まで完走します!生きてます!現在、リアルの仕事が忙しく、体調もそこまで良くないので、更新頻度と作品の話数のストックがなかなか作成できておりません。頻度は落ちるかもしれないですが、きちんと完結させます。今執筆してて、フラグ立てるのが気持ちいいです!よろしければ、今後もお読みいただけると体調も良くなり、更新頻度も上がると思います!


最後まで、後書きをお読みくださり、感謝です!次回もよろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
Xから参りました。 人工神話というタイトルから既に気になっていたのですが、世界観が壮大でとても引き込まれました! ギークさんとユミさんの仲の良さが微笑ましくて大好きです。 素敵な物語を読ませていた…
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