↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/50

4話

「ひ、光ちゃん……」

「何ですか? 文香先輩」

「そろそろ……離して……」

「……分かりました」


 光ちゃんは私を抱きしめていた手を離した。


「ふぅ……」


 正直、心臓が高鳴っていた。顔が熱いし、光ちゃんにバレたら恥ずかしいかも。


「文香先輩」

「な、なに?」

「付き合い始めた記念に、写真撮りましょう」

「……え」

「ちなみに、拒否権はないです」

「……」


 可愛らしい笑顔でそう言う光ちゃん。


「ほら、こっちに寄ってください」

「……うん」


 私は光ちゃんの隣に立つ。


「何でそんなに離れてるんですか?」

「……だ、だって……」


 私がもじもじしていると、光ちゃんが私の肩に手を回した。

 スマホを自撮りモードに切り替える。


「ほら、撮りますよ。ハイチーズ」


 パシャリとシャッター音が響く。

 光ちゃんは撮った写真を確認した。


「表情が硬いですね、目線もどこ向いてるんですか?」

「……」


 だって、蒼ちゃん以外と写真を撮る経験無いし、人と話すだけで緊張するのに……!


「もう、仕方ないですね。もう一回チャンスをあげます」


 光ちゃんはもう一度スマホを構えた。


「では、いきます」


 次も無理。

 そう諦めていると、光ちゃんに顎を掴まれた。無理やり光ちゃんの方へ顔を向けられると、光ちゃんは私の頬にキスをした。


「え……」


 戸惑っていると、パシャリとシャッター音が響いた。


「あっ、良い写真撮れました。文香先輩もいります?」

「……」

「おーい、文香先輩」

「っ……」


 私はダッシュで教室の隅に移動して、膝を抱えた。

 キ、キスされた! な、何で! どうして……!

 頭が混乱していると、光ちゃんが近寄ってきた。


「ほっぺにキスくらいで、顔を真っ赤にするなんて可愛いですね」

「っ……」


 光ちゃんは私に手を伸ばすと、唇を指でなぞった。


「唇にキスしたら、気絶するんじゃないですか?」


 光ちゃんの顔が近づいてくる。

 え? キスされる……?

 それは嫌……!

 私はギューと目を瞑った。


「……」


 いつまで経っても、キスをされないので、目を開ける。


「ふふ……あはは」


 光ちゃんが目に涙を浮かべて笑っていた。


「もう、冗談ですよ文香先輩。いきなりキスなんてするわけないじゃ無いですか」

「っ……」


 か、揶揄われた……!

 羞恥心と怒りで顔が熱くなっていく。


「まあ、今はですけど」

「え……?」

「当たり前じゃないですか、付き合うてことはキスやエッチなことしますよ」

「っ……」


 私と光ちゃんが……!

 その光景を思い浮かべ、脳がショートした。


「文香先輩は可愛らしいですね。今日はほっぺにキスだけで勘弁してあげます」


 光ちゃんは私に背を向けると、扉に向かう。扉を開けて振り返った。


「これからよろしくお願いします、文香先輩」

「よろしく……」

「後、言わなくても分かると思いますが、私と文香先輩が付き合っていることは秘密ですよ」


 光ちゃんはそう言い残すと、教室を出て行った。


「……はぁ」


 私はため息を吐いて、その場に座り込んだ。

 蒼ちゃんが好きな女の子と付き合う。それだけでもややこしいのに、光ちゃんは蒼ちゃんとも付き合う。


「……どうしよう」


 一つだけ言えるのはこれから大変になるということだ。


***


「文香、少し良いか?」

「うん」


 真剣な顔をした蒼ちゃんに声を掛けられた。

 私は蒼ちゃんに連れられて、屋上に着く。


「実は……あー、その……」


 珍しく蒼ちゃんが言い淀んでいた。

 頭を掻くと、ようやく覚悟を決めたのか私の方を真っ直ぐ見た。


「……光と付き合うことになった……」

「……そっか、おめでとう」


 どうやら、光ちゃんは約束を守ってくれたようだ。


「ありがとう……」


 蒼ちゃんは屈託のない笑みを浮かべた。

 チクリと私の胸が痛む。

 この笑顔の為に、光ちゃんと付き合っていることは絶対に秘密にしないと。


「それで……何だが、文香に相談があって……」

「……私で良かったら力になるよ」

「ありがとう……今度の休みに、光とデートする事になったんだけど……服が分からなくて……」

「……」


 蒼ちゃんは服装には無頓着。動きやすければ良いと思っている。でも、私もデートに来ていくようなおしゃれな服装なんて知らない。


「……ごめん、私力になれないかも……」

「そ、そんなことない……! 一緒に考えればアイデアの一つや二つは出る筈だ……!」

「蒼ちゃん……うん、そうかも。頑張ろう」


 私達は帰りにファッション誌を買った。私の家でどんな服装が良いか話し合うのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。