猫探し
いつも通り、僕、田中 輝は
日常を送っていた
クラスでは普通の生徒として
振舞うことにも慣れ
庵くんや、耕助くんみたいに
僕と"同じ部類の人間"に出会い
能力を持つこと自体に
抵抗がなくなっていた
そんな、5月のある日
いつも通り、帰り支度をしようとしていると
聞き覚えのある声がした
「あ、あきらくん」
声のする方を見ると
その主は廣瀬 太一くんだった
太一くんは、隣のクラスだ
わざわざそこから僕に会いにくるとは
なにか、大事な用事でもあるのだろうか
僕は太一くんに返事をした
「太一くん、どうしたんだい?」
太一くんは、少し神妙な顔をしてこちらを
見ながら話はじめた
「あ、あきらくん、じ、実はね
ちょ、ちょっとお願いがあるんだ」
「ぼ、ぼくと同じクラスの友達で伊藤くん
ていう男の子がいてるんだけど
そ、その子、家で猫を飼っててさ
で、でさ、その飼ってるネコがミケっていう、名前なんだけど
そ、その、ミケがもう、かれこれ一週間も
帰って来てないらしいんだ」
「で、でね、その、もし、あきらくんが
迷惑じゃなければ、そ、その
ミケを探すのを手伝って欲しいんだけど…」
僕は、何か大変な用事かと思ったら
クラスメイトの飼い猫の
行方探しのお願いだったので
少し、拍子抜けしたというか
ほっとしたというか
なんとも、な気分になった
そして、なぜ僕が頼まれるのか
不思議に思った
「え?僕が手伝うの?」
僕の言葉に、太一くんが返答した
「う、うん、あきらくんなら、
頼りになるし、あ、あの力を使って
なんとか、探しだしてくれないかな?と
お、思ったんだ
め、迷惑だったよね?ごめんね?」
僕は返事した
「お安い御用だよ、太一くん」
僕は、なんのとりえもない自分が
頼りにされていることが嬉しくなって
快く手伝うことにした
そして、太一くんに提案した
「あ!そうだ、それなら
流島くんにもお願いしてみよう
彼なら"見える力"があるからね
きっと頼りになるよ」
太一くんが返事をする
「そ、それはいいね、ぜ、ぜひ
流島くんにもお願いしよう
か、かれはすごく頼りになるからね」
こうして、僕と太一くんは
同じく帰り支度をしている
流島くんにも
"ミケ捜索隊"に入ってもらおうと
声をかけた
流島くんが眠そうにこっちに
返事をする
「ん?俺になんか用事かよ?」
僕たちは事情を説明した
「流島くん、実はお願いがあるんだけどね……」
僕は簡単に状況を伝えて
一緒にミケを探してくれないか
頼んでみた
流島くんが眠そうにしながらも
明るく返事した
「ああ、いいぜ、俺今日は暇だしよ
ネコが元々好きだからな」
流島くんがネコが好きだとは
以外だな、と思いつつも
快く引き受けてくれて
僕は少しこの捜索隊にわくわくしていた
「ありがとう!流島くん!」
そして、
僕たちは全員、早々に帰り支度をすまして
そのあと、
伊藤くんも合流して4人でミケを
探しに出た
この時、僕たちはこれが
あの忌まわしい事件の始まりになるとは
考えもしなかった…
つづく




