突然の依頼
突然の合格を告げられ、よくわからないうちにギルド会館に着いていた。
その頃になると、魔法強化によって左足の痛みは直っていた
となりの獣人少女もけろっとしている。
うしろにはこちらを心配そうに見つめるリーシャがいる。
ギルド会館の中に入りギルドホールの中央にある机にまず先ほどの幼女が座り、
それと向き合う形で俺と獣人少女が反対側に座る。
「さてと、まだなにか納得していないような顔だな。」
とこちらの顔をチラッと見ただけで、そう判断したのだろう。
実際彼女がギルド会館長と言ったが、その証拠もなければ試験を
正式に受けていないのに、突然の合格と言われてもちょっと不思議に思うのは仕方の無いことだと思う。その思いを察したように
「二人を試合の途中で止めて合格させたのは、二人のどちらかが深刻な怪我
して、試験に出れなくなるのを防ぐためと君たちに頼みたいことがあるから
なのだ。」
と言って彼女が出したのはクエストの内容が書いてある用紙だった。
東にあるダンジョンの調査と魔物の討伐とその報酬金額
それがそのクエストに書かれていた内容だった。見た感じ
どこの世界にもありそうな普通のクエストだが、それを彼女が補足する。
「このクエストは1ヶ月前にダンジョンから溢れてきた魔物の被害を受けた
村が依頼したクエストなのだが、かれこれ7人近くの冒険者が
向かったのだがまだ誰一人として戻ってきていないのだ。」
と説明する。だがそれが自分の合格とどうつながるのだろう。
と考えていると。
「私が言いたいのは単純なことで君たち二人にここへ向かってもらいたい。
このクエストをクリアすることで、正式に冒険者として
登録してあげるほかに、初級を無視して中級冒険者として始める事ができるが
どうする?」
というが、いくらなんでもまだ冒険者にもなってない二人を送るのは
いくらか無謀な気がする。そしてその考えを読んだように
「まぁ、まだ冒険者として初心者の二人を送るのはどうかと思われるかもしれないが、片方は狼族で身体能力と技術において申し分もないし、少年のほうはどうやら魔法が使えるようだしな。」
とこっちをニヤリといった表情で見る。どうやら彼女は魔法剣士ということ
を知ってるのでギルド関係者であるのと、あの試合を見て
魔法による身体強化もわかったようだ。
まったくなにもんだよ、こいつ見た目は幼女でも本当はババアとか
そういうオチじゃねーのと思っていると
「今、悪口を考えていなかったか?」
と言われギクッとする。やべぇやべぇ
その問いにいえ、と答えてごまかすとまだ納得しない顔をしていたので。
話をかえることにした
「確かに俺たち強いとしても7人も犠牲になったところに二人ってのは
いくらなんでも無謀じゃないのか?」
と言うと彼女は首を振る。
「いや、7人と言っても一緒に行ったのではなく、最初はまず1人
そのつぎに2人そして4人送ったのだ。
君たちなら送った4人相手にも一人で倒せるだろう。」
と説明するので、どうやらこのめんどくさい
クエストからは逃げられないようだ。
「はぁ・・・わかりました、受けましょう。
で、お前はどうするんだ?」
と隣の獣人少女に問いかけると、
「あんたと一緒ってのが嫌だけど・・・
まぁ、逃げたとか終われたくないから行くわ。」
と答えるそして、幼女に向き直るとその結果を聞いて満足した
ように笑みを浮かべた。
「そうか、良かったよ。あぁ・・・そういえば正式な自己紹介がまだだったな。
知ってると思うが、私の名前はリーゼル・シフォンだ。簡単に言うと
ギルド連盟会長の孫娘だ。あと、お前らも一応一緒にクエスト行くんだから
おたがいの名前くらいは知っておかないとな」
と言うので。
「俺の名はシンヤだ」
とちょいと無愛想に挨拶すると。獣少女も
「私の名は狼族のシィナ・エリス」
と手短に答えた。お互い自己紹介を終えたところで
幼女に向き直ると
「あと君の連れはこちらで保護しよう。あと、支援のためにお金をこちらから出そう。町で必要な物があればかって行くといい。支払いはギルドが請け負おう。」
と太っ腹なことを言ってくれるので
盛大に飲み食いしてやろう!と意気込んでいると。
「あぁ、あと飲み食いとかは払わないから注意しろよ。」
とあっけなく野望はうちくだかれた。
その後は明日の6時にギルド会館前に集合して出発すると
言われたのでそれまで今日は明日に備えて装備を整えることにした。
まず、ギルド会館を出て向かったのは武器屋だ。
さすがに7人も帰ってこないのであるから、それ相応の強さの魔物がいると考えた
それではさすがに竹刀じゃ攻撃力不足だと思った。
武器屋に入り手ごろかつ扱いやすそうな武器を探すがどれも
手に持った感じでは、しっくりこなかった。
そんな時だった、店の奥に黒く輝く刀があった。でが値段が表示されていないので
店の店主に聞くと。
「あぁ・・・あれは黒曜刀と言って金貨100枚相当の刀なんだが、
なにぶん高いのと、刀ということで使い手がいないんだ。」
と説明するので、自分は頼んでみる。
「持ってみることはいいか?」
と聞くと店主は頷き
「あぁ、それくらいな構わない。」
といって奥から取ってきた。そしてそれを受け取ると腕にずっしりとした重みが
のしかかかる。程よい重さで手にしっくりときた。
そしてそれを中段に構えると、ますます手に馴染んでくる。
そして決断した。
「よし、これを買おう。」
というと店主は驚いた顔で
「えぇ!?でもあんちゃんそんな金もってないだろう?」
というので。
「支払いはこの町のギルドがしてくれるはずだ」
と言って、その刀を購入した。
内心では、幼女の少し困った顔を浮かべているのを想像して
してやったりという表情になった。
その後は町の道具屋などを訪れたがあまり
いい物は無く、冒険者なら回復薬を買っておかないと!と強引に言われるも
自分にとってそれはまったく必要性の無い物だった。
道具屋では結局、砥石を数個購入しただけだった。
その後は町のおいしいレストランで食事を取り、宿に向かった。
宿に戻って風呂に入り戻ってくると今日は自分が待つ番だった
彼女が風呂から帰ってくると、すこし目のしたが赤かった
「どうしたんだ、リーシャ?」
と言うが彼女は少しうつむいて黙ったままだ。
ますます不安になって彼女に近づくと彼女は俺の服をつかみ
大粒の涙を落としながら。
「いかないでください・・・・」
と言ってこちらを見た。彼女の目からは
涙が溢れ、とても悲しい顔をしている。
「俺は大丈夫だよ、死んだりなんかしない。俺の強さは
リーシャがよく知っているだろう?」
と彼女の頭に手をおいて慰めるが。
「そうですけど・・・もし、シンヤ君がいなくなったら・・・
折角出来た家族なのに。」
と言ってさらに涙を流す。
「大丈夫。俺は君の前からいなくなったりなんかしない。
死ぬときだって一緒だ。」
と言って彼女を抱きしめた。すると彼女の震えはほとんど収まって
涙を泣き止んで。
「信じています。」
と言った。その夜は二人で手をつないで寝たのであった。
10話目となります!さてと、幼女から出された条件というのは
ダンジョン攻略でなんとすでに7人も犠牲が出ていたのです!
果たして無事クリアすることができるのでしょうか・・・
誤字脱字や意見等ありましたら。ぜひおねがいします。




