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2.白百合は生贄となる

風呂にも入らせてもらえず、着るものは粗末なもの。食べるものも3日に1度。


その日も白百合は地下牢に横たわりぐったりしていた。ただ、チクンと下腹部に痛みがあった。

痛い、と思うと同時に感じるもの。

のそりと起き上がって恐る恐る着物の裾をめくると…黒い液体がシミを作っていた。


ついにこの日が来てしまった。


白百合は恐ろしく思った。

私は兄達と、子供を作らなければならない。


「白百合!」


遠くからととさまの声がする。

シミをゴシゴシと擦ると、粗末な着物に目立たないようになった。


「お前は地下牢から出ないから知らんだろうが、この村では今、雨が降らん。婆さまが言うには村のすぐ外にある沼に疫病神がいるらしい」

「初潮を迎えていない女を生け贄にしろとのことだ」

「つまり、お前しかおらん」


他の家にもいるのではないか、とかなぜ私なの、なんて言葉は出てこなかった。

たまに折檻に来る長男や他の兄弟たちは皆自分より年が離れており、この人たちと子をなすのは嫌だと心はずっと言っていた。


ーならば死にたいと。


生け贄とは名ばかりの口減らしだ。

それも良いだろう。



その日、そのまま白百合は腕と足を縛られて沼へ連れられた。



「疫様のもとへ嫁ぎなさい」



ドプン



ゆっくりと、ゆっくりと、


沼へ沈んでいった。








と思ったら途中で落下した。

まるで沼が途中までしかないみたいに。


「っ、いたた…」


下は湿った土だったので膝と頬を少し擦りむいただけだった。

縛られていた腕と足には千切れた縄がおざなりに付いていて、白百合はそれを取り払った。


「暗い…洞窟、なの?」


頭上には沼があったはずだが今は暗く、手をのばしても液体のようなものは触れなかった。

白百合は見えない恐怖を感じて身震いしたが、先へ進もうと思い手探りで先へ進んだ。

僅かだが、土以外のにおいがする。




しばらく進むと、かなり先だが灯りが見えた。人がいる!

白百合は地下牢に居すぎて筋肉が殆どついていない。早足にも出来ず、もどかしく思いながらやっとの思いでたどり着いたそこには、重厚そうな扉があった。


「うそ……」


白百合にはこの重たそうな扉を開ける力はない。

食事らしい食事もなかったのだ。


ぺたんと扉にすがるようにへたりこむと、押してもない扉が地響きをさせて開いた。


!!??


「え、なんで、!?」



その瞬間、扉の向こうの暗闇から、大きな手が私をぎちっと掴んだ。

そして掴んだときとは対称的に、ゆっくりと、扉の中へと引き込まれていった。





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