1.白百合は生まれ落ちる
そこは小さな村だった。
皆粗末な着物を着てなかなか育たない作物と奮闘しながら細々と過ごす。
この中に、力のある一族があった。
この村を作った祖先がいるとか、水脈を見つけたとか、確かな言い伝えはないが、一番力を持った一族であった。
その一族は男ばかり6人の子供が産まれたが、女の子供は産まれない。
この親世代の子は男だけか。そう思われた時、母親はまた1人子供を産んだ。
周りはまた男だろう、そう思っていたが、なんと産まれたのは待望の女の子供だった。
「産まれた!女だ!」
一族の男親は叫ぶ。
やっと子供たちの子を作れる、と。
産まれた子には白百合と名付けた。
白く美しい肌を持つこの子にぴったりだと村で一番長生きする婆さまがつけた名だ。
その名の通り、白百合は可愛らしくも儚く、しかし美しく成長していった。
ただひとつ、喉から胸の辺りまで火傷のような黒くただれた痕を除いて。
この村ではたまにこのような火傷のような痕が成長過程で出てくるものがいる。
ー前世で罪を犯した者。
そうして今までは各家庭の地下牢に幽閉されてきた。
白百合も例外なく一族の地下牢にいれられたが、食事も着るものも不自由なくそこで過ごしていた。
この一族では女は子を成すためにある。
火傷のような痕があるからと他の家のように食事も与えず幽閉などしなかった。
5歳になる頃に、親は兄達と子を成すのだと伝え育ててきた。
しかし白百合が12歳になっても"女"にはならなかった。
そこで親は気付いてしまった。
火傷のような痕があるものたちは"男"にも"女"にもなっていないことに。
その日から、折檻と食事をあまり与えない日が続いた。
それから2年。
白百合は14歳の美しい少女となった。




