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貴方の白を飲み干して  作者: 鈴野 蛍
1/3

〚第一夜〛 出会い

初投稿です。

温かい目で見てやってください。

必ず完結します。

「先にどうぞ」

自動販売機を前にかけられた

何気ない一言を新鮮に感じてしまうのは 素 の無い世界、つまり 世間でいう「大人の社会」に慣れすぎたせいだろうか。今年28歳になる菜々子は心の中でため息をつきながら無意識にその少年のことを見つめた。

マジマジと見つめられて不審に思ったのだろうか、彼は眉尻を下げながら上目遣いで

「あの、どうしたんですか…?」

と菜々子を見つめ返してきた。我にかえって、しまった、これじゃただの不審者じゃないか、と焦りながら

「ご、ごめんね!君、もしかして砂野高?」

と妙なテンションでゴニョゴニョ聞く姿は少し滑稽だったかもしれない。

「え?…はい。」


見知らぬ女に突然高校を言い当てられ戸惑っているらしい彼の視線を背中に感じながら、しくじった、早く退散してしまおうと、必死に飲み物達に目を向けていると 少し間があいて

「あ!」

と弾んだ声。反射的に振り向くと少年は

「もしかしてお姉さんも砂野高だったんですか!?」

と先程までの不安そうな顔から一変、嬉しそうに笑っていた。


ーかわいい。


ガコン、と音をたてて落ちたのが、自分の心でなく、缶コーヒーだと理解するのに数秒程かかった。

「そんなとこかな。じゃあ。」

菜々子は予期せぬ動揺を悟られないようにわざと素っ気なく答え、そのまま振り返ることなく家まで走った。そうでもしないと自身を保っていられない。重力がなくなったみたい。

月に照らされてふやけた雲が闇の中で散らばっている。

コーヒーは好きでは無かった。

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