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ふるまえに  作者: 柊らし
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ii

 雪雲学校スクールと呼ばれる全寮制の養成校は、水の粒子たちが暮らす町雲とは別の、巨大な乱層雲の中にある。

 古式ゆかしい雲煉瓦くもれんが造りの学び舎がいつからそこに建っていたのか、詳しい由来は明らかではない。知られているのは、その学び舎が外観に違わず伝統と規律を重んじる名門校であること、入学した子どもたちが〈雪の子〉と呼ばれ、五年間、一人前の雪になるための厳しい教育を受けることだ。

 雪として地上にふることこそが至上の喜び。そう考える水の粒子はいまだ多く、叶わなかった夢をわが子に託して雪雲学校スクールの門をくぐらせる親もあとを絶たない。

 いいですか、お母様。入学可否を判断する三者面談の場で教師は言う。この世界において、われわれはなくてはならない存在です。雨は大地をうるおし、川や海は生命を育む。雲は気候を創造し、血や汗や涙は動物を動物たらしめる。われわれは必要不可欠な労働者だ。雪になるものは、と教師はそこでもったいぶって言葉を区切る。

 雪は、その求められる機能をこえて、うつくしくあらねばなりません。おわかりですか? と教師は言う。母親はふかぶかと首肯する。

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