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ココアのような恋物語  作者: 夏輝 陽
学校編~プロローグ
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不良少年


 「転入生を紹介しまーす、ささどうぞ」


 「あ、天宮 夏向〈あまみや かなた〉です」


 「…えっと、趣味とか聞いてもいい?」


 「趣味はゲーム…あとキャンプする事です」


 「おー」


 おばちゃんと赤西さんに推されてここの学校に通う事になった初日、のんびりというかマイペースな雰囲気が漂う30代前後くらいの女性の先生に促され自己紹介をした


 「ここは自然が多いから楽しめると思うぞー?…ほら、あそこの山にキャンプ場あるから友達作って行ってみよー」


 「は、はぁ」


 先生特有の圧とかはなく、のんびりやわらかい口調で話しやすそうだけど、グイグイ来られて返事に困る


 「天宮君の席は一番の窓際の席ね」


 学生にとっては一番居心地のいい席だ、入学早々ラッキーだ


 「転入生が来るって聞いてたからあっこ(あそこ)の席は空けたんだよねぇ」


 「あ、ありがとうございます?」


 いい先生なのかな


 「あと私もゲームとか好きよ。良かったら放課後辺り一緒にしよ?」


 「はぁ」


 いい先生ではあるけど、グイグイ来るの嫌だなぁ…


 「先生!初日から転入生をいじめるの良くないですよ」


 真ん中一番前の席にいたミディアムボブカットのピンク色に近い赤髪で丸眼鏡をした女の子がそう指摘した


 「…あ、ごめんなさいねぇ。つい私と趣味が共通してるものだから興奮しちゃって」


 「いえ…大丈夫です」


 そう言って自分の為に用意されていた席へ逃げるように足を運んだ


 「あともうひとり紹介するね」


 先程自分の隣に立っていたもうひとりの転入生が、自分の立っていたとこへ一歩横にずれた


 「…黒瀬 唯希〈くろせ ゆき〉…です」


 そう名乗る自分の彼女さんは緊張してるオーラが滲み出ていた


 「よ、よろしくねぇ」


 「は、はい…よろしくお願いします…」


 先生もそれを感じ取ったのか、その後席の案内だけをして唯希さんはそそくさに席についた


 因みに自分の前の席だ


 …何やら右隣の席から視線を感じ、目を向けた


 男で顔立ちは良いが、目つきが怖く睨むように見られていた


 しかしHR中だった為かその男は手で前を向いてろと言わんばかりのジェスチャーをして、その男は前を向いた


 前を向いた顔を見るに目つきはどうやら元から怖いようだ


 睨まれてた訳ではなかったのか…とほっとした



 HRが終わり約十分間の休憩時間、先程隣の男から睨まれた…見ていた男がこっちに歩み寄ってきた


 「なぁ、放課後ちょいツラ貸せ」


 「あ、え、え…?」


 不良少年風の男はそれだけ言って元の席についた


 クラス中からヒソヒソ話が飛び交っている


 いや内容が聞こえてもはやヒソヒソ話レベルじゃないけども…


 話の内容は思った通りでどれも一緒、やっぱり隣の不良少年は評判が悪いのか


 「かなたさん」


 前の席にいる唯希さんから小声で声をかけられた


 「なんで目をつけられているんですか?」


 「さ、さぁ」


 そう言って首を振った


 本当に心当たりがない、完全に初対面の筈だし…




 ………授業を真面目に受け、休憩時間に色々な人に話し掛けられ会話をする事を繰り返し、やがて放課後が訪れた


 「かなたさん、この後どうしますか?」


 「ん、ちょっと用事があるから待っていてくれると嬉しい」


 とちらりと右隣の不良少年を見る


 こっちを見ていた


 こっちを見ていた不良少年は頷き席を立つ


 「行くぞ」


 声を抑えた低音ボイスでそう言い教室の外へ出ていった


 俺はそれを見て見失わないように慌てて教室から出た


 意外と教室の手前でちゃんと待っていてくれていた…そこまで自分勝手な人ではないのかも


 「ついてきてくれ」



 黙ってついてきて着いたとこが、数台のゲーム機とモニターが置いてある部屋だった


 「ゲーム好きって言ってたな?」


 「あ、うん」


 「ここはテレビゲーム部の部室だから、自由にゲームしていいぞ」


 「わ、わかった」


 仲良くなりたいのかな?


 「でも、今日は先約があるから…」


 学校へ来る前に唯希さんと一緒に帰る約束をしていた事を忘れてはいなかった


 「そうか…悪いが少しだけ時間をくれ」


 そう言いながらふたつのゲーム機を起動させ、ふたつのモニターの電源を入れた


 「お前に話したいことがあるんだ」


 コントローラーを手渡され、オンラインで一緒にモンハンをプレイする


 プレイ中不良少年が話しかけて来た


 「俺らの家…ていうか組は天宮 夏向という男をずっと狙っていた」


 突然の言葉に俺は動揺してしまい、大型の敵の攻撃を食らってしまいキャンプへと戻されてしまった…


 とてもゲームする気分ではなくなり、手を止めて不良少年の言葉に耳を向ける


 「あぁ、悪ぃな突然こんな事言っちまって」


 「…まだ俺の事を?」


 「いいや?もう完全に組は崩壊しちまってるし、その事に関してはもう終わってるよ」


 「………」


 「それに、俺は元々ヤバいことやってる親父たちからは避けてたから…そもそも関係ねぇんだけどな」


 「…そうなんだ」


 「もう何も起きねぇよって伝えたくて呼び出したんだけど…すまんな怯えさせたようで」


 「ううん、わざわざ伝えてくれてありがとう」


 「ゲーム好きって言ってたからよ、気を紛らわせながら伝わるかと思ったんだけどな…」


 不器用なのかな…でも、気を使って言ってくれたことには感謝したい


 「普通に言ってくれてもあまり変わらないよ」


 「…そのようだな」


 「ありがとう」


 「よせって、寧ろすまんなアンタには直接関係ないのにうちの事で巻き込まれてたようで」


 空気を読んでかクエストを廃棄してゲームを終了する不良少年


 「そういや先約があるんだったな?行っていいぞ」


 「うん…ありがとう」


 「白石 虎雄〈しらいし とらお〉な、俺の名前」


 「ありがとう白石君」


 「いいっていいって———」


 ———すると部室の扉が開き、ゲームショップの袋を握っているうちのクラスの担任の先生と男子三人と女子二人入ってきた


 「あらぁ白石くんと…転入生の天宮くんじゃなぁい」


 「ほぉこの人が噂の転入生…」


 全員が俺に注目する


 なんだか恥ずかしいな…


 「それにしてもぉ、白石くんは部員じゃないのにまた勝手にゲームして…せめて部員になりなさい!」


 「俺は自由でいたいんだよ」


 「…まったく、暫くここに来なかったから反省したと思ったんだけどなぁ」


 「まぁまぁいいじゃないですか先生、ゲームは大人数のが楽しいですし」


 とノリノリの青いハチマキを着けているオタク丸出しの男子が宥める


 ふぅ…と軽いため息を吐いた不良少年こと白石君


 「…ほら、用事あるんだろ?さっさと行け」


 「あ…うん、失礼しました」


 そう言って先生にお辞儀し、少し早歩きで唯希さんが待ってる自分の教室へと戻った



 戻って見た光景に唖然、唯希さんのまわりになぜか人だかりが出来ていた———




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