カレーを作る華麗なる彼氏
熱いキスを交わしてる最中…甘い匂いからコゲ臭みが鼻についた
———キスを中断
「ん…ぷはぁっ……ご、ごめんなさい」
ギョロっとフライパンに目を向け、焦げてしまったペースト状になりかけの玉ねぎ
唯希は慌てて火を消した
「…いや、大丈夫だよ」
何が大丈夫なんだか
もっとキスをしていたい衝動を押し殺しきれてない夏向
パシッと両頬に喝を入れた
フライパンを持ち、玉ねぎの無事なとこだけを取って、皿の上に乗せた
リュックサックから予め持ってきていたタワシを取り出して、水場へ向かう
蛇口を捻り———
「———冷たっ!?」
その声にギョロりと四白眼の唯希がこっちを見た
「…山の水は水道よりも冷たいんですよ?」
そうだった…というか、ここは水道引いてるんじゃなくて山の水使ってるのか
冷たさを我慢してゴシゴシ…
ゴシゴシゴシゴシ…
———その間も、唯希の唾液の味を思い出しながら懸命にフライパンにこびり付いたコゲを落とす
一方、唯希の方も夏向とのキスを思い出し、ぽーっとしている
コゲ落としに二十分程掛かったが、体感的には五分
思いにふけっていたい気持ちはある…
けど、唯希を蔑ろにする訳にはいかないのでぽーっとしている唯希に声を掛けた
「洗い終わったよ」
「あ、はい…ご苦労様です」
「そんな他人行儀な…」
「…ごめんなさい、どうしてもさっきの…思い出してしまって…どう、接したらいいか…」
そう言い、赤面しながら俯いてしまった…
さっきの唯希との熱いキスの刺激が強すぎた為、こうなってしまったのは容易に考えられる
する場所を間違えたかな…と反省した
勇気を出して唯希の手を取って
「…また、一緒にカレー作ろうか」
「う、うん」
まだ少しぽーっとしていたので、両手で唯希の両頬をむに~んむに~んとこねくり回した
「ふぇぁ!?…な、なんでふか?」
可愛いなーなんて
「何だかぽけーっとしてたからさ」
目覚めのこねこね
ぷにぷにと弾力もあって、もちもちした頬だな、なんて
舐めてみたいな…なんて
…流石にそれは変態が過ぎるだろうか
「が、頑張って切り替えまふから…それ、やめへくださひ…」
「ははっ、お願いね」
どうしてこんなにも愛おしいんだろうか
ふたりは再びキッチンに赴いた
肩を寄せ合いながらカレーを作り、四十分くらい時間をかけてようやく出来上がった
出来上がったカレーをスプーンですくい唯希の口元へ
「味見してみて」
「うん…」
彼女の小さな口が開き、その中にスプーンを運ぶ
口が閉じ、スプーンを取り出す
ギョロっと四白眼が困り眉でこっちを見る
「…少し辛すぎませんか?」
「一味入れすぎたかな…」
別なスプーンでカレーをすくい上げ、自分も味見してみた
「…ごめん、これくらいが普通だと思ってた」
たまに作っていたインドカレーと味が違ったけど、これはこれで美味しい
因みにグローブ、クミン、カルダモン…それにココナッツミルクが足りないが、それは牛乳で代用した
それに辛さはいつも通りだった
しかし、元々インドカレーは辛いもので、日本人の口に合う人は多くない事を思い出した
「正直に言って欲しいんだけど、辛すぎに感じる?」
「…はい、でも食べないと勿体ないので頑張って食べますよ?」
「いや、それなら辛さを少し無くそうか」
そう言ってリュックサックから小さなパックに入った牛乳を取り出し、カレーにぶちまけた
「これで一味と胡椒以外のスパイスを入れて火にかけよう」
再び色々なスパイスを入れたが、結局辛さを出すのは一味…もといカイエンペッパーと少し影響のある胡椒だ
なのでカイエンペッパーと胡椒を抜きにして他のを入れた
これだけだと元の辛さはあまり和らげれないが、牛乳入れたことにより辛さを和らげられている
「合わせてもらってすみません、ありがとうございます」
「それも彼氏の仕事さ」
調子に乗ってカッコつけた陰キャ彼氏
「…カッコイイデスネ」
それに棒読みジト目ながらに乗ってあげた優しい彼女
「じゃあ唯希さんは、ご飯の盛り付けお願いしてもいいかな」
「はい、やっておきますね」
再び飴色玉ねぎ作る作業で、唯希に任せている最中、夏向は飯盒〈はんごう〉に米と水を入れ作っておいた
唯希は飯盒からご飯を取り出し、皿に盛り付ける
五分くらいで再び出来上がったカレーを唯希に味見させる
洗ったスプーンでカレーをすくい上げ、唯希の口へと運ぶ
「大丈夫です、美味しく食べれます!」
良かったと安堵しつつ、実は気になっていた唯希が咥えてたスプーン
邪念を払って唯希に渡す
すると、唯希が夏向の口元にスプーンの先を向け、上目遣いでギョロっとこっちの目を見て———
「———舐めてもいいんですよ?」
天使か
そう言われたら遠慮なく、パクっと咥えた
ピリ辛だった
口を離し、ほんのりカレーの味がしただけだったが、唯希が咥えたモノと意識しただけでほんのり甘さを感じた
———すると今度はそのスプーンを唯希が咥える
少しの間堪能したところで唯希は
「ん…ごちそうさまです♡」
メインのカレーライスはまだだというのに
…ウインクしながらそんな事言うので、改めて自分の彼女への愛おしさが堪らなくなった
いちゃいちゃし始めてしまったので、カレーを食べるまでもう三十分は掛かったんだとか
インドカレーは作るのにお金が掛かってしまうのが難点




