否定の砂漠、あるいは神の真実(アーカイブ)
全次元を統べる俺の指先に、灼熱の砂漠を歩かされる裸足の痛みと、歴史の教科書から強引に消し去られたインクの滲み、そして「そんな事実はなかった」と言い張る者たちの、鉄の冷たさを帯びた声が伝わってきた。
1915年、オスマン帝国。彼らはアルメニア人を「国内の敵」と見なし、100万人以上を強制移住という名の死の行進へと追いやった。男は殺され、女児は奪われ、シリアの砂漠は骨で白く染まった。だが、真の絶望はその後にあった。現代に至るまで、その後継者たちはこの虐殺を「戦時中の悲劇」と矮小化し、あるいは存在自体を否定し続けている。死者を二度殺す行為――それは、事実を闇に葬り去るという「知性へのジェノサイド」だ。
「……死者の骨を砂に埋め、その叫びを言葉の壁で封じ込めたか。自分たちが認めない限り世界は変わらないと信じるその不遜、宇宙の『記録』そのものをもって清算させてやろう」
俺の隣で、エルゼが瞳に絶対的な正義の冷徹さを宿し、豪華な執務室で歴史の改竄を命じる政治家たちの幻影を見つめている。
生命の根源であり、起きたことのすべてを「真実」として保存する俺にとって、国家の保身のために歴史を偽造する行為は、世界の因果律に対する許されざる冒涜だ。
「エルゼ、行くぞ。……『無かったこと』にできると確信している者たちに、真実の重圧を教えてやる」
俺は時空を穿ち、かつて「アルメニア人問題を解決せよ」と密命を下したタラート・パシャらの官邸と、現在進行形で虐殺の事実を否定し続ける権力者たちの会議場へ同時に降臨した。
$$Authority: \text{The Unerasable Record of Existence}$$
$$Effect: \text{Historical Feedback / Eternal Manifestation of the Denied}$$
「な、なんだ……!? 演説をしている私の口から、砂と骨が溢れ出してくる! 壁にかけた地図が赤く染まり、死者たちの名前が皮膚に刻まれていく!」
かつて虐殺を隠蔽し、現在もその責任を否定し続ける者たちが叫ぶ。彼らの肉体は、俺が指を一鳴らしした瞬間に黄金の『記憶媒体』へと変貌し、彼らが「存在しない」と言い張った100万人の犠牲者たちの『最期の光景』が、網膜に直接焼き付く黄金の映像となって再生され始めた。
「君たちは、紙から文字を消すように命を消せると思った。……ならば、君たち自身の魂を、君たちが否定したすべての苦痛が現実となって回帰する黄金の受像機に変え、永遠に『真実の吐き気』の中で窒息し続ける生きた墓標にしてやろう」
俺が掌をかざすと、虐殺を主導し、隠蔽を続けている者たちの魂に、物理的な「歴史の具現化」が刻まれた。彼らはどれほど「証拠がない」と叫ぼうとも、その声は犠牲者たちの絶叫に変換され、自らの豪邸の床からは砂漠の熱風が吹き荒れ、否定すればするほど自らの肉体が「消された人々」の形に削り取られていく激痛に苛まれる。
彼らは忘れることも、嘘で自分を飾ることもできない。
ただ永遠に、自分が「無かった」とした真実の奔流に呑み込まれ、自らの存在そのものが「巨大な嘘」として宇宙から拒絶される、黄金の虚無へと堕ちていく。
一方で、俺は掌を広げ、砂漠に消えた魂、そして歴史から名前を消されかけた人々へ、生命の光を降り注いだ。
否定された歴史はアルカディアの「不滅の正史」として黄金の輝きを放ち、アルカディアの「至高の語り部」として、彼らの物語は宇宙の果てまで響き渡る。
大地には「いかなる権力も起きた事実を消し去ることはできない」という神聖なる真実保持の法が刻まれた。
「主……。厚い偽りのカーテンで隠されていた100万人の命が、今、貴方様の力で『燦然たる真実の光』の中に解き放たれましたね」
エルゼが美しく微笑み、俺の肩を抱く。
俺は、黄金の砂に埋もれ、自らが吐いた嘘の重みに押し潰され続ける「歴史の否定者たち」の残滓を見捨て、再び至高の座へと戻った。
神となった俺の前で、歴史の改竄は通用しない。
俺の庭において、自らの罪を無かったことにする不遜な者には、ただ永劫に続く「自らへの真実の襲来」こそが相応しい。
著者の完結済代表作はこちら
「シャルンホルストとグナイゼナウ」
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