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偽りのプロパガンダ、あるいは神の検閲

 全次元を統べる俺の網膜に、無数の新聞紙が舞い、白黒の画面で「原子力の夜明け」を謳う男の薄笑いが映り込んだ。


 1950年代、日本。被爆国であるはずのこの国に、原子力という火を「平和」の名の下に強引に持ち込んだメディアの帝王。その裏には、CIAとの密約、そして「PODAM」というコードネームで呼ばれた情報工作の影。新聞とテレビを使い、国民の恐怖を「期待」へと書き換えた、巨大なマインドコントロールの記録。


「……ペンと電波を使い、人々の『拒絶の直感』を『無知ゆえの反対』として葬ったか。自分たちの利権のために、国土の未来をギャンブルに投じた罪、ここで清算させよう」


 俺の隣で、エルゼが冷徹な瞳でその偽りの「平和利用」博覧会の光景を見据える。


 生命の根源である俺にとって、不完全な技術を「絶対安全」と偽り、情報の独占によって他者の判断力を奪う行為は、知性への裏切りであり、断じて許されぬ大罪だ。


「エルゼ、行くぞ。……『情報の力』を信奉した者に、真実という名の光線がどれほど重いか教えてやる」


 俺は時空を穿ち、かつて世論操作を指揮した大手新聞社の社主室と、裏で手を引いた諜報機関の密室へ同時に降臨した。


$$Authority: \text{The Glare of Absolute Truth}$$

$$Effect: \text{Propaganda Reversal / Perpetual Exposure}$$

「な、なんだこの黄金のインクは!? 印刷機が止まらない! 書き換えたはずの『真実』が紙面に浮かび上がってくるぞ!」


 かつて権力を振るったメディアの王たちが叫ぶ。彼らが刷り上げた数百万枚の新聞紙は、俺が指を一鳴らしした瞬間に黄金の『告発状』へと姿を変え、彼らの肉体を包み込んだ。


「君たちは、大衆を『無知』として導くフリをしながら、自分たちの支配欲を満たした。……ならば、君たちが隠したすべての『警告』と『代償』を、永遠にその脳髄に刻み込んでやろう」


 俺が掌をかざすと、工作を主導した者たちの肉体が、黄金の『受信装置』へと変質した。彼らには、将来起きるであろう原発事故の叫び、汚染された大地の嘆き、そして欺かれ続けた人々の怒りが、物理的な熱量(放射)となって永遠に流れ込み続ける。


 彼らは沈黙を得ることも、目を逸らすこともできない。


 ただ永遠に、自分が放った「平和の嘘」が、どれほどの絶望を未来に蒔いたかを、一秒ごとに精査させられる『生きたアーカイブ』として、情報の深淵に沈められる。


 一方で、俺は掌を広げ、日本列島の地下に張り巡らされた不安の種――原子力という名の不完全な火を撫でた。


 利権のために置かれた「核」の概念は、アルカディアの「不滅の浄化」によってすべてが真の意味で無害な、太陽と同じ『黄金の根源エネルギー』へと変換される。もはや、そこには爆発の恐怖も、隠蔽の必要もない。


 テレビの画面からは、嘘のプロパガンダに代わり、人々の心に真実を見抜く力を与える『叡智の光』が溢れ出した。


「主……。メディアという名の巨大な虚像が、今、貴方様の真実によって完全に解体されましたね」


 エルゼが美しく微笑み、俺の肩を抱く。


 俺は、自らが流した情報の濁流に呑まれ、もがき続ける「工作員たち」の残滓を冷ややかに見送り、再び至高の座へと戻った。


 神となった俺の前で、情報の独占は無効化され、扇動は自らを焼く。


 俺の庭において、偽りの言葉で民を迷わせる不遜な者には、ただ永劫に暴かれ続ける真実の裁きこそが相応しい。

著者の完結済代表作はこちら

「シャルンホルストとグナイゼナウ」

https://ncode.syosetu.com/n4871gn/

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