反証者アルケーのパラドクシア加入に際した手続きの記録#1
※1:本作に登場する人物・団体はすべて架空であり、実在のものとは関係ありません
※2:本小説は「永久機関が生まれた」というもしもの未来を描いた作品です
「今からパラドクシアに乗るわけだが、パラドクシアが上空にあるからって空気や風の心配はしなくて良いよ。パラドクシアの技術力を持ってすれば上空に地上同然の環境を作ることも容易いのさ。君も技術に感謝すると良いよ。」
「自慢はいらないぞ。」
「自慢じゃなくて心構えさ。ここでは地上では考えられない技術が当たり前に存在して皆それを使って生活している。そんな技術に対する興味を失ったときが研究者が死ぬ時だ。ここにいる以上君もその心構えを持たないと苦労するだろうね。
ほら、衝撃はないが到着したよ。ヘリから降りるといい。」
言葉にしたがってヘリコプターを降りたアルケーの前には巨大な黒い直方体のような建物があった。
「随分と四角い建物だな。外から見た時はいろんな船が見えたのに」
「これはパラドクシアの数ある船の中でも倉庫艦と呼ばれる船なんだ。君のような反証者は内戦の状況を如何様にも変えられる可能性があるからね。他の派閥に目をつけられないように外から見えづらい船を選ばせてもらった。それにこの船の制御室にはフリーのモニターがいくつかあるから君にパラドクシアのなんたるかを教えるにはちょうど良いしな。」
「僕みたいな部外者を船の制御室になんて入れていいのか?船の心臓だろう?」
「地上人はそう考えるだろうね。」
「またパラドクシアマウントか?ナチュラルに見下すよなあんた。」
「まぁそう怒るな。パラドクシアの常識に徐々に慣れていってくれないとこれから辛いだろうから解説すると、パラドクシアは各船がAIのネットワークで文字通り網のように繋がっていてどこに異常が出ても他の船からの資源による修復ですぐに元通りになるようプログラムされている。ほら。」
そういいながら男はおもむろに小型の爆弾を取り出し、壁を爆破した
ドガーン!
「!? いきなり何すんだびっくりするだろうが!」
「実際に見てもらうのが一番いいかと思ってね。
ほらそこの壁を見なよ」
「なんだ⁉どんどん壁がなおっていく!」
「多くの危険な実験が行われるのがパラドクシアだ。ちょっとした爆発ぐらい日常茶飯事だし、当然それに合わせたシステムが用意されている。その一端がこれさ。
さて、君に私たちを信用してもらうためにもパラドクシアの現状とちょっとした過去を説明しないとな。」
男がそういいながら壁のカメラに顔を向けるとアルケーの目の前の壁が開き、制御室への道が現れた。
「細かい話は中でしよう。」
制御室を見回すと壁が大量のモニターで埋め尽くされているのがわかる。
男が壁のボタンを押すと大量のモニターが点滅し、部屋の中央に巨大なホログラムが出現した。
「これが今の科学武装王国パラドクシアの全体図だ。船が3つの塊に分かれているのがわかるだろう?
だが5年前まではこうじゃなかったんだ。」
男がそういうとホログラムがみるみる移動していく。
「綺麗な円錐状に船が並んでいるだろう?
これが5年前、分裂する前のパラドクシアの姿だ。
そしてこの美しいパラドクシアが何故今こうなっているのか、それについての話を聞けば君も私たちを信用してくれるはずだ。」
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