反証者「アルケー」保護にあたる会話logの報告
※1:本作に登場する人物・団体はすべて架空であり、実在のものとは関係ありません
※2:本小説は「永久機関が生まれた」というもしもの未来を描いた作品です
「どうだい、外にいた時と比べて信じられないほど静かだろう?
戦場で状況把握の邪魔になる音は内側に入ってこないように作られているんだ。
それに部屋全体が常に水平を保つようになってるから揺れも感じないだろう?」
確かにヘリコプターの中は驚くほど静かで、ヘリコプターはかなり高速で動いているはずなのに少しも揺れを感じなかった。
「自慢げに話しているところ悪いが、今は仕方なく乗っているだけで僕はあんたを信用したわけじゃない。」
アルケーは男に問う。
「確かにすごい技術力だが、僕が聞きたいのはそこじゃない。
なぜあんた達が僕を捉えようとしているかということだ。
しかも「機銃を使って脅すような真似までしてな」」
「でしょ?
いやー、ドミニオンから1年も逃げ続けたって言うからきっとパラドクシア全体を信用してないんじゃないかと思ってね。
君を万が一ドミニオンの連中に持っていかれたりしたら上司から大目玉もらっちゃうしちょっと慎重にやらせてもらったよ。」
「答えになっていないだろう。
それは機銃を僕に向けた理由であって僕を連れて帰ろうとしている理由じゃない。」
「バレた?じゃあ正直に言うと、君にはドミニオン兵達と戦う戦力になって欲しいんだ。
しかもさっきの雑魚達じゃない僕みたいな重装兵達と戦う戦力にね。」
「おいおい、僕はさっきその雑魚に捕らえられかけてたんだぞ。
それにそもそも僕はあんたらの内情も詳しく知らない。それこそ派閥で別れて争っていることもついさっき知ったぐらいだ。」
「おや、君は近代史は弱いのかい。
まともに社会を学んでいたならパラドクシアのことは少なからず知っているはずなんだがな。」
アルケーは落ち着き払った、しかし僅かに怒りの漏れる声で答えた。
「僕のいた学校はあんたらパラドクシアの勢力が壊してしまったからな。
確かに社会には疎いかもしれない。」
「おっと、怒らせてしまったかな?
でも言い訳をさせてもらうとセコン・エターナの殲滅は我々アーカイヴは関与していない、ドミニオンの過激派が独断でやったことだから詳しくは知らないんだ。」
「だからあんたを疑うなって言うのか?
随分と身勝手なんもんだな。
どこまで行ってもあんたらの身内だろうが!」
アルケーが怒りを明らかにあらわにするとヘリコプターの内装が少しづつ剥がれていく。
しかし男は焦らず曇りなき眼でアルケーに告げる。
「私の話を聞けばその怒りを向けるべき相手も見えてくるはずだ。
話を聞いてから考えてくれれば君に損はさせない、約束するよ。
それにヘリコプターが堕ちれば君も無事では済まないはずだろう?」
アルケーが男の眼を見て怒りをおさめると、剥がれた内装が一瞬で元に戻っていった。
「わかった、話を聞こう。
だが、聞いた上であんたらを許すとは限らないからな。」
「わかってくれたようで嬉しいよ。
君は私たちが派閥で別れていることも知らないみたいだから、私たちパラドクシアの歴史から話していこうかな、それにそろそろ見えてきても不思議じゃないはずだし。」
そう男とアルケーが窓を見るとそこにはーー
雲を割って空を突き進む「陸地の群れ」があった。
「!」
「驚いたかい?
あれが私の居場所、そして君が居場所を失った原因であり、これから君の居場所となる領土を持たない大国『科学武装王国パラドクシア』だよ。
細かい話はついてからしようか。」
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