46.私、は?-首は突っ込まない方が良さそう-
全47話です
明日の次話で完結になります。読んでくださって本当にありがとうございます!
続いて明日(5/17)に次作である「レイドライバー 4 -大切な人への無垢なる想い-」を寄稿したいと思います
次話の前書きと後書きにリンクを貼っておきます、もし引き続き読んでくださればとても嬉しいです!
クリスは自分の部屋で我に返っていた。
あの場で失神に近い状態になったクリスは、アイシャとミーシャに付き添われて自室へとやってきた。そして二人は基地司令に言われた通り、クリスが回復するまで傍で付き添っていたのだ。
「私、は?」
まだ自分の置かれている状況が理解できずに震えが止まらないクリスが聞くと、
「マスターからあんたのそばで付き添うように言われたんだ」
――そうだ、あの時男の人に囲まれて……。
先ほどのやり取りを思い出して、身震いしてのけぞってしまう。それほどまでにクリスはある意味[壊れて]しまっているのだ。
その様子を見た二人がクリスの手を握る。周りに女性しかいなくなった事に少し落ち着いてきたのか、
「貴方たちは、その……大丈夫なのですか?」
そう二人に尋ねた。それは純粋な疑問からである。彼女たちは実際に皆のいる前で全裸になって土下座をし、顔を地面に擦り付けて謝っていたのだから。
その問いに対する答えは、クリスにとって意外に聞こえた。
「俺たち、何かしたっけか? そう言えば司令から付き添うように言われたけど、あんた、どっか具合が悪いのか?」
――えっ!? あんなひどい事をされたのに覚えていない? こんな短時間で?
そう返ってきたのだ。
クリスがかいつまんであの部屋で起きた事を説明すると、アイシャは[ああ、なるほどね]と言ったあと、
「俺達にはマスターが何人かいる。エルミダス基地の司令と副司令、カズさん、それからさっきの人の計四人なんだけどね。どういう訳かこの四人に命令口調で話されると突然自分が自分でなくなっちゃうっていうのかな。[言われた事は絶対に守らないといけない]って気になっちゃうんだ。それはどんなにあがいても、一度スイッチが入ると自分たちでもどうにも出来ないんだよ。そしておそらくもう少しすると、あんたから教えてもらった[自分たちがした事]もまた忘れちまうよ」
そうアイシャは答えた。
ミーシャにしてもそれは同じなようで、
「以前にも男の人の前で全裸になる事はありました。ですが、命令されたとたんに[恥ずかしい]という気持ちは全くなくなってしまうんです。ただ言われたように、命令されたようにするだけで」
自分たちにはどうしようもない、という目をしている。
「現に、こうしてあんたの面倒を見る、っていうのも逆らえないんだ。本当は……」
そういうアイシャに、
「一言言ってやりたい、でも[絡むのは禁止]だから絡めない、と?」
「そういう事。とりあえず、早く落ち着いて俺たちを[命令]から解放してくれよな」
少し落ち着いたクリスは、
「確か、お二人ともあの孤児院の出身ですよね?」
と尋ねた。
「ああ、そうだよ。両親は……」
とまで出掛かった言葉は続かない。
アイシャがそんな感じだからミーシャが、
「実は記憶の一部がないんです」
と助け舟を出す。
「記憶の一部がない?」
――そんな事ってあるの? だって二人いるのよ?
「ええ、私たちは姉妹ですが、あの施設でお互いに愛し合うように言われました。事実、アイシャの事はとても愛しています。それにグループが別だったので直接お話する機会はありませんでしたが、貴方やさっき部屋にいた二人も顔は知っています。ですが、両親の記憶が全くないんです。どこで育ってどういう経緯であの孤児院に入ることになったのか」
「二人ともないんですか?」
「あればとっくに話してるよ。それに命令の件だって、なぜそうしないといけないのか分からないんだ」
「それはまるで、誰かに[そうするように]仕組まれているみたいですが」
クリスが素直な感想を述べると、
「過去の事や、命令の事でどうしてそうなったのか考えようとすると、何ていうのかな、ブレーキがかかったようにそれ以上前に進めないんだ。無理をして考えようとすると頭痛や吐き気がするんだよ」
――それは、このレイドライバーの試験運用に大きくかかわっているんでしょうね。首は突っ込まない方が良さそう。ご主人様だってきっとそう言うはず。
全47話です
明日の次話で完結になります。読んでくださって本当にありがとうございます!
続いて明日(5/17)に次作である「レイドライバー 4 -大切な人への無垢なる想い-」を寄稿したいと思います
次話の前書きと後書きにリンクを貼っておきます、もし引き続き読んでくださればとても嬉しいです!




