表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
貧乏テイマーだけど成り上がりたい ~魔法学園の貧乏学生は世紀の大発見をするようです~  作者: 液体猫
第一章 愚か者のスライムと自信過剰のマンドラゴラ
38/38

愚か者のスライムと自信過剰のマンドラゴラ

 他の生徒たちが友達と一緒に帰っていく中、一人で寮の自室に戻った。


 ――おかえりー!


 ――~~~~♪


 俺が帰ってきたことを察したスライムたちとマンドラゴラが騒ぎ出す。机の上にワイルドピジョンの卵を置いて、スライムたちをケージから出して部屋の中で放し飼いにする。ライトスライムとウォータースライムがマンドラゴラの元に向かって水をかけてやり、嬉しそうにマンドラゴラの花が揺れた。釣鐘型の綺麗な紫の花の中心で金色のめしべが輝いていた。


 ベッドに座って部屋の中を眺める。これが一年間の自分の成果だ。スライムとマンドラゴラ。人間の友達はいない。きっと今頃、他の部屋では友達同士で労ったり別れを惜しんだりしているんだろう。

 本当ならもっとうまくできたかもしれない。俺の周りにも友達がいて、この一年の授業を振り返って愚痴を言いあったり、来年の授業について、新しい従魔について楽しく語り合ったりできたかもしれない。


 俺の足元に一匹のスライムが転がってきた。石と見まごう姿をしたストーンスライム。【愚か者のスライム】と呼ばれてみんなからバカにされているスライム。


 ベッドの隣で花を咲かせているマンドラゴラは、魔力を与えすぎたせいで使い物にならないと言われた育ち過ぎたマンドラゴラだ。綺麗な花を咲かせているのに、花が咲いてしまえば使い道がない。


 世間一般から見ると何の価値もない、ゴミのような魔物たち。

 スコット先生からすると俺もこいつらと一緒なんだろう。学園に置いておいても邪魔にしかならない、何の価値もないゴミのような人間だと思われているから、職員会議の時に俺を退学にしろと言っていたんだろう。


 ――俺はゴミなんかじゃない。


 ――俺ならもっと上手くやれる。


 そう叫びたかった、そう証明したかった。

 みんなから認められて、褒めてもらいたかった。

 愚かで、自信過剰で、失敗して、何の価値もないと言われた俺だけど――。


「カップをつくってくれ」


 ――カップー!


 ストーンスライムとマナスライムが魔石でカップをつくり出した。


「マンドラゴラ、少し貰うぞ」


 ――~~~~♪


 釣鐘型の花を傾けると、花冠の中からトロリの金色の蜜がこぼれ出た。それをカップで受け止める。


「お前たち、聖水をくれるか」


 ――聖水ー!


 さっきまでマンドラゴラに水を与えていたウォータースライムとライトスライムが光属性の魔水――聖水をカップの中に注いでくれる。


 カップの魔力とマンドラゴラの黄金の蜜と聖水が手の中で混ざっていく。黄金色の光が霧のように部屋の中に立ち込めた。口をつけると濃厚な甘さと花の香りが広がり、滑らかに喉の奥へ滑り落ちていく。

 胃の奥に滑り込んだ黄金の液体から湧き上がるように魔力が溢れ、体の中に光が広がっていくような気がした。


 カップの中身を飲み干し、使い終わったカップを魔石スライムに返す。

 力が漲る。ベッドから立ち上がる。


 魔石スライムは愚か者のスライムなんかじゃない。

 育ったマンドラゴラは使い道のないゴミなんかじゃない。


 愚かでも、自信過剰でも、今は何の結果も出せなかったとしても。


 ストーンスライムが魔石スライムになったように。

 マンドラゴラの花が綺麗な花を咲かせたように。


 俺もここから変わってやる――!






   第一章 愚か者のスライムと自信過剰のマンドラゴラ 完

これにて終了です。ご覧くださりありがとうございます。


ブックマークや評価、感想などをいただけたら大変うれしく思います。


続きについてですが、現在全編に渡って手直しをする予定なのでご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 他にない設定でおもしろかったし読みやすかった! でも結局中途半端で作品終了させてるから残念 『書き上げるつもりないなら消せよ』派なので 最後まで読んでも好きだと思える作品だっただけに気分最…
[一言] 一気に読んでしまいました。 ソラくん。ひとりで頑張ってきたのだもの、誰かと協力したり、相談すること知らなかったのよね。 手間をかけた分育ってくれるモンスター、嬉しかったはず。 人間のお友…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ