特製植木鉢
エイトたちのことは追々調べるとして、まずはマンドラゴラの処理である。
――~~~~♪
土から掘り出されて根っこをブラブラさせている状態でも何故か機嫌が良さそうなマンドラゴラ。さすがにこの状態で捨てたり殺したりする気はない。部屋で飼うことにした。
スコット先生は処理をしろと言っていたけれど部屋で飼ってはいけないと言われてないから問題ないだろう。
――言われてないから問題ない、というような考え方だからスコットから嫌われるのだが、そういう思考がソラの根本的な部分に存在しているので、そう簡単に変わることはないだろう。それこそ熱血教師がつきっきりで根気よくソラの矯正を行ってくれるなら話は別だがスコットにはそこまでする義理も情熱もなかった。要するに相性が悪いのだ――
さて、というわけでマンドラゴラを室内で飼えるように調えないといけないのだ。そこで参考にしたのが植木鉢だ。畑も土もない街中で植物を栽培できるようにした人類の知恵だ。
まず準備するものが大きな植木鉢である。マンドラゴラの樹高は俺の腰くらいの高さまで伸びていて、何本も生えた細い根っこも同じくらいの長さに伸びている。引き摺ったり踏んづけたりしないようにするのが大変だった。そして葉っぱもかなり量が多く、地面に沿って広がるような形状をしていたのでかなり横幅がある。つまり縦にも横にも大きかった。
そんな巨大マンドラゴラを入れられるような植木鉢は高い。当然だが高い。そもそもそんなものを欲しがる人が滅多にいないので作ってもらう場合は発注しないといけない。更に値段が高くなる。
「頼んだ」
――石ー! 大きなのー!
さすがにそこまで高価なものを購入する余裕はないので自作することにした。ストーンスライム製の石植木鉢である。手のひらに乗るくらいの大きさのストーンスライムが板状の石を吐き出し、板と板を俺が手で支え、接合部分をストーンスライムが溶かして再生成して接着するという力技だ。体内で溶かしたり作ったりできるスライムならではの工法だろう。
考えてみたら石でいろんなものを作れるストーンスライムは一匹いるととても便利だ。食器とかも作れるし、要らなくなったら溶かせばいい。愚か者のスライムという風評が広まってしまっているからバカにされているけど、実はかなり優秀なんじゃないか?
さて、植木鉢の形はできたけれど中身がない。畑の土を持ってこれればよかったのだけど、当然ながら畑の土は学園の所有物で財産だ。俺が勝手に持ってくるわけにはいかない。一握りくらいの量ならともかく、巨大植木鉢を満たすだけの量を用意しようとしたら大穴を空けるしかない。
なので土の代わりを用意することにした。
――合体-! 石ー! いっぱいー!
――合体ー! 魔力ー! 込めるー!
空っぽの植木鉢の中に、根っこを潰さないように両手抱えながらマンドラゴラをセットする。当然隙間がガラガラに空いているが、その空間に魔石スライムが潜り込んでいく。そして大小さまざまな形の魔石を詰め込んで根がしっかりと支えられるようにしながらつくった。
植木鉢の底から縁まで石を敷き詰めたところで、隙間から体を押し出すようにして魔石スライムが出てくる。支えていた両手を放してみたが、マンドラゴラはしっかりと立っていた。
「よし、それじゃあ最後の仕上げだ」
畑から掘り返してこの部屋に持ってくるまで、あるいは今石が敷き詰められた時に、マンドラゴラの根に傷がついていた可能性がある。俺が気がつかなかっただけで擦ったり潰れたりしている箇所もあるかもしれない。だから、その傷ついた箇所を治してやる必要がある。あとは水も欲しいだろう。
――ポーションー! 光ー!
――水ー! 魔力ー!
魔石の間を埋めていくようにポーションと魔水を注ぎこんでいく。これで傷が治るし水や魔力を吸収できるはずだ。地面の栄養がないけどその分も魔力でがんばってもらう。魔草であるマンドラゴラは魔物たちと同じように十分な魔力さえあれば餌がなくても生きていける。
俺の魔力を分け与えるし、マナスライム二匹とライトスライムもいる。さらに他のスライムたちと合体させれば魔水も魔石もポーションも与えることができる。ここまでやれば流石に枯れることはないだろう。
――~~~~♪♪♪ ~~~~♪♪♪
魔力たっぷりの植木鉢に感動したのか、いつもよりマンドラゴラの喜びの感情を強く感じる。蕾もようやく膨らんできて色も変わってきた。もう少ししたらきっと綺麗な花を咲かせてくれるだろう。
新入りのマンドラゴラを俺やスライムたちみんなで取り囲む。部屋の中が賑やかになってきて、なんだか嬉しかった。
マンドラゴラ水耕栽培。困った時は全部魔力で解決する脳筋農法。




