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貧乏テイマーだけど成り上がりたい ~魔法学園の貧乏学生は世紀の大発見をするようです~  作者: 液体猫
第一章 愚か者のスライムと自信過剰のマンドラゴラ
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終わりの足音

 ザックザック


 鍬を手に持って畑の土を耕していく。孤児院で農作業を手伝ったことがあるのでこれくらいなら問題ない。町育ちで土に触れたことがないという生徒たちが鍬の重さに振り回されてたり土から虫が出てきたと騒いでいた。それとは対照的に農村から来たという生徒は見事な鍬さばきを披露してあっという間に作業を終わらせてしまった。


「マンドラゴラは根に魔力を溜める性質があるので土は深くしっかりと耕すこと。耕している途中で石を見つけたらそれも取って置くように」


 スコット先生の注意を聞きながら、できるだけ深く鍬の歯を食い込ませる。毎年使っている場所だろうから石はほとんど出てこなかった。

 今回植える種は一つだけなので、手を思い切り横に広げたくらいの広さがあれば十分らしい。苦戦していた子たちもそれほど時間をかけずに耕し終えて、種を植える作業に移った。


「種は地面の上に置いて、すっかり隠れるくらいに土をかぶせて、少し山になるようにしなさい」


 地面に置いたマンドラゴラの種の上に、鍬や両手を使って土をかぶせていく。その後はかるく水をやって終了だ。

 すでにウォータースライムに進化させていた生徒たちは如雨露を使って直接水を撒いていく。まだ進化させられていない生徒たちは水桶を手に井戸まで走っていった。


(水汲みの手間は考えて先にウォータースライムに進化させたのかな? 井戸が近くにあると言っても何回も汲みに行くのは面倒だよな)


 魔獣や魔草の世話に水が必要になるので、ウォータースライムがいるかいないかで大変さが変わってくる。そういうことも踏まえてカリキュラムが決定されているのかもしれない。


「では、これでマンドラゴラの種まきは終わりだ、あとは各自で世話をしておくように。特にマンドラゴラは魔草なので水やりだけではなく魔力を与えることも忘れないよう注意しなさい」


 魔獣や魔草は魔力がしっかり与えられていればそうそう病気になったり弱ったりはしない。だが、逆に与える魔力が少なすぎると衰弱したり、魔草から魔力が失われてただの草になってしまったりする。テイマーが与えられる魔力には限界があるので魔草の大量栽培はそう簡単にはできないらしい。


 幸いうちにはマナスライムがいて大気中や地面の中の魔力を吸収して回復することができるので、魔力はかなり豊富に使える方だと思う。

 マンドラゴラと繋がっているパスから魔力を与えつつ、マナスライムとウォータースライムに頼んで魔水もつくってもらい、それも気づかれないように撒いておく。マンドラゴラが喜んでいるようなのでこれからもたっぷり魔力を与えてやろう。


 ◆


「一年はスライム2匹とマンドラゴラの契約で終わりだ。あとは年度末まで世話をしっかりするのがお前たちの課題となる」


 畑での作業が終わったあと、スコット先生がクラスのみんなを見渡しながら言った。


「今年度の評価は次の二つの点で行われる。一つ目はこれから契約する予定の新しいスライムを何に進化させるのか。お前たちが自分に最もふさわしい、自分に最も必要であると考えるスライムを自分で定め、進化させてもらう。学年末にはクラス全員の前で進化スライムの発表を行なわせるのできちんと調べて考えておくように」


 新しく契約を結んだスライムが進化するまで長くても一か月程度。その前に調べたりする時間も必要だろうから余裕を見て二か月後に発表会を行うらしい。


「二つ目はマンドラゴラの出来だ。先ほども言ったがマンドラゴラは一般的な魔法薬によく使われるとてもポピュラーな素材だ。根に魔力を貯めこむ性質があるが、花が咲くと根から魔力が抜けて素材に使えなくなのでその前に収穫する必要がある。これもだいたい二か月ほど先の話だ。この時に錬金術学科の教師と一年生がこちらの棟にやってくるので、彼らにマンドラゴラの出来を鑑定してもらう」


 錬金術学科の先生と生徒が実際にマンドラゴラの素材の価値を査定して、その評価額が高ければ高いほど好成績となるらしい。

 残念ながら育てたマンドラゴラはそのまま錬金術学科の教材として持ってかれてしまうらしいけど、こちらも成績がかかっているので手を抜くことはできない。明日からもたっぷりと魔力を与えておこう。


「この成績評価が高い生徒は成績優秀者として報奨金が与えられる。逆に成績不振者は奨学金が減額されることもある。全員心してかかるように。以上だ」

「え……!?」


 成績次第で報奨金と奨学金の減額もあり得る――最後に爆弾を落として、スコット先生の説明は終わった。

 奨学金で消耗品の購入などをしているので減額されると厳しい。俺だけじゃなく他の生徒たちも財布に余裕がないだろう。真剣な顔をしていた。

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