赤木。怒られる。
『それで。なんでいきなり接触を図ったんだ?』
「いや~。やっぱり話してみないとわかんねーもんだろ?街に入って楽しくお買い物してる他の連中を見てたら悪事を働くって感じでもないと思ったし、実際なんも起こんなかったんだからいいだろ?」
『いいことあるか!常々思っていたがな、お前はもう少し相手に配慮することを考えろ!たとえ相手に悪事を働く気がなかったとして、ならいきなり来て一方的に話した挙句、親書を置いて行ったもののことを不審に思わないわけがないだろう!』
「いや、大丈夫だって。こっちだって相手の反応見ながら会話してたし。」
『大丈夫なわけがないだろう!相手は混乱してただ受け答えをしていただけだろう!それにいくら転生者や転移者のことをこの世界の人間に知られないためとはいえ、話に割り込ませないために危害を加えるのはやりすぎだ!不祥事にもほどがあるぞ!』
「それは俺も思ったけどよ。ほら、アリアは説得するより打ち負かすほうが得意って感じだしさ。」
『そんな人間を足止めに使うお前が悪い!』
「バッサリだな~」
『・・・はあ。お前たちの問題行動は今に始まったことではないし、やらかした今、もう後にも引けないのも事実だからもうこれ以上言わないでおくが、そのスライムが敵に回った時、解決はお前たちにしてもらうからな。』
「わかってるよ。責任は俺たちでちゃんと取るつもりさ。」
『・・・まさか、ギルマスになるのが嫌でこのタイミングで不祥事を起こしたのではないだろうな?』
「そ、そんなことねーって。来年交代して自由に動けなくなるのが嫌だからってそんなことしねーって。」
『お前は来年ギルマス決定だな。』
「は、はあ!?なんでだよ!」
『こっちに来て執務机に縛り付けておけば、少しはお前の問題行動も矯正できるかもしれんしな。』
「ち、ちょっと待てよ!俺がギルマスにでもなろうものなら、事務仕事は滞り、作戦は頓挫、調査は進まず!なんてことになりかねないぜ?」
『そんなもの、劉陰と美咲に秘書をしてもらい、ステラを参謀を、調査員統括をヘルマンに任せれば何の問題もないだろう?』
「い、いや確かにあいつらならうまくやるだろうけどよ。だったら俺がギルマスになる意味もないんじゃ?」
『だから言っただろう?お前を机にかじりつかせてその性根を叩き直したほうがいいと。少しは連合にも役立つようになるんじゃないか?』
「普段は役に立ってないっていうのかよ!」
『役に立っていることがあったとして、お前の問題行為で帳消しにされるどころかマイナスになっていることにまだ気づいていないのかこの馬鹿者が!』
「と、とにかく!俺は絶対にギルマスになんてならねーからな!」
『ほう。俺から逃れられるとでも思ってるのか?よし、なら今からでもお前を回収するために動くとするか。』
「いや、ちょ、ちょっと待ってくれ!わかった!ちゃんと働くからそれで勘弁してくれ!」
『なら、そのスライムに気づかれないように尾行し、本当に人間の敵に回らないか、エレノアの連中が騙されているわけではないのか、アーク連合の敵にならないかどうかを探れ。もし、交代日までにすべての確定情報を得られたなら、他の者を考えてやってもいい。』
「本当か!?」
『ただし!今度彼らに迷惑をかけてみろ、絶対に俺がお前をひっ捕らえ、彼らに地面にめり込むほど頭をつかせて土下座させたうえで謝罪の意をもってお前の体を串刺しにしてやるからな。』
「わ、わかった。」
『ならもうこれで話は終わりだな。』
ピッ!
「あ~っくそ!まさかこんなことになるとは。」
「私は関係ありませんからね。」
「大いにあるだろうが!だいたい連中に顔見られちまってるお前のほうがやらかしてるんだけど!?」
「顔を変えていたのでわかりませんよ。声も変声していましたし、問題ありません。」
「ちっ!なんでそんな細かい細工はできんのにすぐねじ伏せて黙らせようとするんだよ。」
「そのほうが面倒がないからに決まっているでしょう?」
「おかげでこっちは面倒が数倍に膨れ上がって落ちてきたよ。」
「もとはといえばすぐに接触しようとしたあなたの落ち度であって、私はそれに従ったまでですから。」
「いや、あの時お前普通に賛同してただろうが。」
「あの時はあの時です。ノリというものですよ。日本人なんですからそちらのほうがわかっていることでしょう?」
「あのなあ・・・」
しばらく不毛な会話が続き、しばらくしてライムたちが街から出たのを察知した赤木達は、急ぎ彼女たちを追っていったのであった。




