第5話 隣
春。
めぐが高校生になった。
入学式の朝。
めぐ「朔にぃ、一緒に行こ!」
朔「久しぶりだな」
めぐ「なにが?」
朔「一緒に学校行くの」
めぐ「あ、ほんとだ」
二人で並んで歩き出す。
ランドセルはなくなった。
背も伸びた。
そして今日は、自分と同じ制服を着ている。
めぐ「制服どう?」
朔「……似合ってる」
めぐ「珍しい。素直」
朔「撤回する」
めぐ「なんで!」
いつもと変わらない。
そう思っていた。
「成瀬!」
後ろから男子生徒が走ってきた。
めぐ「あ、おはよ!」
「一緒に行こうぜ」
めぐ「うん。じゃあ朔にぃ、またね!」
朔「……おう」
さっきまで自分の隣にいためぐが、今度はそいつの隣を歩いている。
朔「……誰だよ」
放課後。
朔「朝の男、誰?」
めぐ「同じクラスの子だよ」
朔「名前は?」
めぐ「田中くん」
朔「仲いいの?」
めぐ「今日話したくらい」
朔「連絡先は?」
めぐ「交換したよ」
朔「……消せば?」
めぐ「なんで!?」
朔「冗談」
めぐ「顔が冗談じゃない!」
朔「そう?」
めぐ「そうだよ!」
朔「明日も待ってろよ」
めぐ「朝?」
朔「一緒に行くんだろ」
めぐ「うん」
朔「じゃあ、途中で勝手にあいつんとこ行くなよ」
めぐ「田中くん?」
朔「名前呼ぶな」
めぐ「朔にぃが聞いたんでしょ!」
朔「……そうだった」
めぐ「今日の朔にぃ、変」
朔「知ってる」
めぐ「え?」
朔「なんでもない」
同じクラス。
連絡先。
それだけなのに、面白くない。
理由なんて。
もう、とっくに分かっていた。
NEXT…




