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第12話 余韻

翌朝。


めぐ「…………」


昨日のことを思い出す。


近かった顔。


口元に触れた指。


『キス、されると思った?』


めぐ「……やめよ」


期待するから、気になる。


気になるから、嫌になる。


だったら。


めぐ「……嫌いになればいいんだ」


朔にぃを嫌いになれば、もう気にしなくて済む。


仕事へ向かおうと、部屋を出る。


エレベーターが開いた。


黒いスーツ姿の朔が降りてくる。


朔「おはよ」


めぐ「おはよう」


朔「仕事?」


めぐ「うん。行ってきます」


朔「……早くない?」


めぐ「遅れるから」


朔「そ」


めぐ「じゃあね」


朔「…………」


その夜。


ピンポーン。


めぐ「…………」


朔『めぐ』


出ない。


朔『いる?』


めぐ「…………」


しばらくして、足音が遠ざかった。


次の日。


廊下で朔とすれ違う。


朔「おはよ」


めぐ「おはよう」


朔「今日――」


めぐ「ごめん、急いでる」


朔「……そ」


めぐ「行ってきます」


朔「…………」


その夜。


ピンポーン。


…………。


ピンポーン。


…………。


朔『めぐ』


返事はしない。


朔『……いるだろ』


めぐ「…………」


朔『なんで出ないの』


しばらくして、静かになった。


翌朝。


めぐ「おはよう」


朔「……おはよ」


めぐ「じゃあね」


朔「…………」


遠ざかっていくめぐを見る。


怒っているようには見えない。


普通に挨拶もする。


なのに。


朔「……なんなんだよ」


前よりずっと胸が苦しくなった。


NEXT…


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