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はじめに:自殺ヘルパー社長『ユウキ』のおはなし

『あなたに足りない、一押しの勇気を。』

それが僕の作ったサービス、『自殺ヘルパー』のキャッチフレーズ。


基本料金48931円(シハキューサイ、なんちゃって。)オプションの有無と追加料金は応相談。


自殺志願者に余り金は不要、というのが僕個人の意見だけど、値段設定は本当に適当だった。シハキューサイってね、なかなかシャレてない?毎回説明するとき、たまーにだけどクスっと笑ってくれる人もいるから、僕のユーモアセンスはなかなかいい線いってると思ってたんだけどなぁ。


僕はユウキ。もちろん偽名。


将来有望(笑) なオキャクサマになってくれそうなターゲットには別の名前で近づいて、その後信用させるために明かす『本名』っていう設定の偽名。時系列で言うと、あのキャッチフレーズだけ最初に思いついちゃって、そこからとった名前なんだけど、結構気に入ってる。オキャクサマにあと一歩を踏み出す『勇気』を提供するから、そう名付けてみた。


SNSに溢れた『シニタイ』。

それを叶えてお金をもらう。客と僕が、需要と供給が完全に釣り合うこのマーケット、僕にとってはそれこそ死ぬほど魅力的だった。


... けど。


法律、リスク、色々なものが複雑すぎるこの新事業のアイデアは、そもそも顧客集めが最初の難関だった。しかも僕の場合、『顧客』は一回限りの使い捨てみたいなものだ。広告も打てない。客が居ない、集められないビジネスなど冗談でしかない。


おおっぴらに、SNSで自殺願望の高い投稿をしまくってる人達に片っ端からDMを送る訳にもいかなかった。もし僕が『手伝い』をして死んだ彼らに事件性があると思われたら? 警察が自殺者のケータイを見たら? 100% アウトだ。僕は警察がきちんと動いた時は絶対に馬鹿にできないと思っている。どんなに小さなリスクでも避けるべきだ。


ではどうするか?


思いついたのは、『トモダチ』になることだった。


SNS はお友達探しをする人で溢れている。淋しい奴らの中には、すぐに通話を求めてくる子も多い。通話友達になるのは簡単だった。そこで仲良くなり、実際に会ってみて、初めて自殺介助の話題を出す。僕、○君がそんなに死にたいなら助けてあげるよ、でも殺人幇助になっちゃうから、見返りが欲しい気もするけど。なーんて、冗談めかして言ってみたり。


誘導は、絶対にリアルで会えるようになってから、必ず対面で行う。証拠を残すのは御法度だ。


クソみたいだけど外見は良い家庭環境で生き残るために進化したせいか、僕は人の心を誘導したり、思惑を見抜いたりする能力に長けていた。自分の長所をフル活用して、僕は今日も顧客を笑顔で誘導する。


これがおおまかな僕の、ビジネスシステム。


半分利営目的、半分趣味の慈善事業。


えっ? 人の命を終わらせる手伝いしてる奴が慈善事業とか、本気で言ってるのかって? もちろん本気だよ〜。 でもグレー通り越して激ヤバブラックな事業内容だから (労働時間はフレックスタイムも導入してる超ホワイト企業? なのにな〜。社員僕一人だけど) もちろん税金含めて登録や申請は一切してないよ☆ 良い子はマネしないでね ☆


それでは企業説明会を終わりまーす。

お給料は完全歩合制! だれが入ってくれないかなー。

※この小説は全てフィクションです

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