【一.五話 白の夢にて】
※注意
突拍子もなく出現する「○.五話」の話は、ほぼウーサーと【ナマモノ】さんの或いは別の誰かの会話だけの文になっています。
苦手な方はすっとばして下さい。
これはただの二人の会話の話し。
興味がなければ先に進めるし、聞きたいのなら話そうか。
どうする?
* * * * *
白い空間の真ん中、黒い机が一つと椅子が二つ。
そこに座る“外れた”二つの存在。
一つは灰色の髪とキレイな蒼い夜空の色の瞳を持つ幼い少年。
一つは体長30cm程の白くて丸い頭でちょっとぽっちゃり体型の糸目のナマモノ。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・危うく全部終わるとこだった」
「・・・・・その節は本当にすみませんでした」
「いや・・・・・これに関しては私にも責任あるから。
あとこの話しは忘れよう。
紙のように固く丸めてゴミ箱(資源ゴミ)に投げ捨て全て無かったことにするんだ」
「ゴミを投げ捨てるのは駄目でしょう。と言うか燃えるんですかそれ?」
「何事もチャレンジするの心があれば成せるさ。
で、身体の調子はどうだい?」
「全く動けません」
「あー・・、やっぱりかぁ。三年は痛かった・・・・・」
「あとは骨と皮だけなのに妙に重いのと、起きているのに目蓋が重くて上がらない、開けても視界が霞んでよく見えない、音が遠くに聞こえる、思考が鈍っているのか考えがまとまりませんね」
「マジか。かなり深刻だわ」
「同感です。【ナマモノ】さん、あの・・・人間という種族の身体は本当に大丈夫なんですか?
私が人間に産まれる事は【アヴァロン】を殺す“条件”の一つだとは分かっているのですが、たった三年でここまで衰弱する程弱い身体で、【アヴァロン】を殺せるかどうか少し不安になるのですが・・・・・」
「キミの不安は分かるよ。
ただ、身体の回復に関しては既に向こうも動いているから大丈夫だよ。
でも、それにはキミの気力と忍耐と根性を強く持つことが要求されるけど・・・・・」
「身体と体力回復に何故根性論になるのですか?」
「あとで分かるよ・・・・・・嫌でもね(たぶん地獄のリハビリ生活が始まるかもしんないから)」
「?」
「体力と身体の回復は向こうでなんとかなるから安心しなよ。
それよりも、キミの今後の事なんだけど」
「話し思いっきりはぐらかしましたね」
「シャラップ!で!今後の事ね!
今現在の最優先事項は言わずもがな、キミの身体の回復と体力作り。ただ、これは元の身体が違うから、動かし方及び全快するのにかなり時間が掛かるだろうね。
・・・・・本当は、産まれて十年くらいで戦闘出来るまでに仕上げたかったけど、こればっかりはしょうがない。武器の方も今は保留にしておこう」
「・・・・・」(しゅん・・・・)
「はっ!ゴメン、ゴメンっ!!
自分でゴミ箱に捨てろって言ったのに戻してきちゃってごめんなさい」
「・・・・いるわけゴミ箱漁るなんてバッチイですね【ナマモノ】さん。
今すぐ手を洗ってきてください」
「ハイ!ゴメンナサイ!!」(どこからか水の入った桶が出現。そこに手を突っ込み手をバシャバシャ洗う)
「戦闘の方は今はそこまで考えなくていいから、本当に最初言った事に専念して」
「分かりました。では、それが完了したら次は戦闘技術を身に付ける、と言うことでいいですか?」
「んー、ちょっと待って。そこにもう一つやる事追加させて」
「何です?」
「これ本当は戦闘学ぶより早急にやって欲しかった事だったんだけど」
「戦闘よりも重要なのですか?一体何なのです?」
「うん。
それは─────────」
景色は白い空間からまだ慣れない石造りの天井に変わる。
ベッドに横たわる灰色の髪の小さな少年は、深く溜め息を吐いた。
「・・・・・【ナマモノ】さん、そんな好都合なユウリョウブッケン?あるわけ無いでしょう」