そして始まり
あれからしばらく経った。少し頭が痛い。
直也は閉じていた目を重々しく開けた。すると、目の前が太陽の光りが指す。その眩しい光に目を細めながら体を起こし、唖然とした。そこには、まるで江戸時代のような景色があった。
「ここは…」
と、考えているのと同時に、直也は自分のパニックになっている頭で、状況を整理しようとした。だが、何も思い出せない。
すると、1人の人が此方に近寄ってきた。
「おい!!大丈夫か!?」
直也は、その男の姿を見てまた唖然とした。
明らかに和服で、足には下駄を履いている。
まるで昔の商人のような…いや、まるきり商人である。
「ここは…ここは何処だ⁉︎いつだ⁉︎」
と、少し荒ぶった声でその男に問い詰めた。
「何処って…お前、『尾張の国』に来たんじゃ無いのか?」
「尾張の…国?」
「そうだ、そんで、今は大体『天文』だ。お前本当に大丈夫か?」
「天文?」
直也はさらに男に問う。
「今、この国で1番有名な人は…誰だ?」
「お前何処から来たか知らんが、不謹慎にも程があるぞ。織田信秀様『だった』だろ?」
「だった?」
「何だ、お前聞いてないのか?昨日織田信秀様がお亡くなりになられたんだ。今はこの街の葬儀場で…」
「フッザケンな!!クソッタレ!!」
と、男の説明の途中で誰かの罵声が挙げられた。すると、罵声が聞こえた建物から1人の青年が出てきた。その青年の手には灰が付着していた。
直也は思わず口を開いた。
「信長…」
と言った頃にはその男は仕事に戻って居なくなっていた。
すると、青年が直也の方に寄ってきてこういった。
「お前…見ない顔だな…何処から来た?」
急に話しかけられた直也はそのまま硬直してしまった。
「まぁいい。これから気分を晴らしに刀を振りに行くんだが、どうだ?一緒にやるか?」
そんな硬直した僕にその青年は優しく話してくれた。
「は、はい!!宜しく御願いします!!」
「はっ、敬語なんざ使わなくても俺らは大体同じくらいの歳だろう?」
その場には、2人の青年の高らかな笑い声が空を駆けていた。




