終わり
『今日のニュースです。昨日深夜0時過ぎ、30代男性が殺害されました。犯人は未だ見つかっておらず…』
朝のニュース番組を見ながら朝食のパンを食している高校生の東ケ崎直也は、口にパンを入れながら言った。
「最近何かと物騒だよな…いくらなんでも殺さなくても…」
「そんなに物騒かなぁ?ニュースが嫌な事件だけ取り上げてるだけだって。」
と言うのは直也の唯一の妹、東ケ崎唯である。父は若く他界してしまい、母は単身赴任で当分帰ってこない。唯は毎日、兄のために朝食を作っているので、エプロンの状態のままだった。
直也は、その言葉に少々違和感を覚えたが、気にせず続けた。
「それより、お前は朝飯大丈夫なのか?毎日食ってない様だけど…」
すると、唯は「うんっ」と元気よく言い、こう続けた。
「だって私は剣道部だから時間短いし、お兄ちゃんは陸上でたくさん走るでしょ?少しでも負担を少なくするためだよ〜」
直也は、少し不満そうな顔をした。
「いや、そうは言ってもだな…」
「しかも、お兄ちゃんは凄いんだし‼︎」
唯は、直也の話を遮って話した。
そう、直也は、高校二年生にしてインターハイ100mの優勝経験がある。その足は、一般の人から見れば、もう化物の領域である。
「それはまた別件だ。大体なぁ…」
と直也が言った直後に、時計が7時を告げた。
「ほらお兄ちゃん、早く学校行きな?遅刻しちゃうよ?」
「だな、んじゃ、行ってくるわ。」
「行ってらっしゃい‼︎彼女も待ってるよ〜?」
直也には彼女がいる。名前は秋山美咲。バカップル程ではないが、かなり仲の良い2人である。
「お、おう…」
と、少し濁った返答を残しつつ、家を出た。
直也の登校はいつも自転車である。学校は、直也の家に比べてかなり低い場所にあるので、行きは下り坂である。いつもの様に坂を下り、いつもと同じポイントでブレーキをかけ、そして曲が…………ろうとした。
ガチャガチャ
「ん?ブレーキ…」
ガチャガチャガチャ
「あれ、これもしかして…」
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ…
ブレーキが壊れた。
と気付いた時には、目の前はガードレールだった。そしてガードレールの先には…
崖。その下にはにいつも下るはずの道路。そこに、1人の女性。直也はその女性目がけて落下。確実に死ぬ高さだ。
そして、その女性は避け切れる訳も無く、唖然。
これは、死んだ…
直也はぎゅっと目を閉じた。




