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私の人生の意味  作者: みらいろ 美羽
19/19

プロローグ〜君のことは一生忘れない〜

私は家へ帰ることも出来なかった。


ユイナの病室にいた。

ユイナの心臓に手を当てる。


音も動きも何も無い。シンとした空気だけが流れる。


急いでナースコールをした。看護師や医者が来た。


「……この子は……亡くなっています。」


私はただ立ち尽くしていた。


さっき、ユイナからもらった封筒を開ける。


そう、さっき貰ったんだ。


さっきまで、喋っていた。


笑顔でいた。


ここで、息をしていた。


ここで生きていた。


つい1分前まで話をしていた。


そんな彼女が……

死んでいるなんて……


頭が追いつかなかった。

とにかく、封筒を開ける。


中に入っていたのは一枚の紙。


手紙だった。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ピアへ


私は、自分の最後の時にこれを渡そうと決めていました。ピアに、私のことを全てここで書こうと思います。


私の人生は、あなたのおかげで変わりました。

転校してすぐ、君は私に話しかけてくれたよね。


そんなこと、1度もなかった。

私の初めてをあなたにあげることが出来て良かった。


私の病気は今まで聞いたことないもので、かかったのは私が初めて、ということでした。なので、病名はありません。治し方も分からない。余命は、もうない。



私はいつ死んでもおかしくなかったんです。


そんな時、あなたがいた。

ピアの優しい声を聞くと、安心できた。

ピアの優しすぎる性格に、私は助けられてきました。


でも、私はあなたに何かあげることは出来なかった。


ずっとずっと、一緒にいたかった。


色んなことをしたかった。


学校にちゃんと通って、同じ高校に行って、

もしかしたら大学も通って、


一緒に大人になりたかった。


いっぱい後悔はあります。


まだ生きていたかった。


でも、その夢は叶わなかった。


神様がいるのなら、


私達を引き離さないでと

何度願ったらいいのだろう。


ピアのこと、大好きだよ。


私のこと、忘れないでね。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ただ私は立っていた。


泣いて、泣きながら、繰り返し読んだ。



ふと、気づいた。

下に、QRコードがついていた。


スマホでそれを読み取る。


なんと、読み取ると、ユイナのSNSのサイトに飛ばされた。




そこに、「ピアへ、最後の言葉」と書かれた動画を見つけた。


「もう……ユイナは、さ、これ以上私を泣かすつもり……?」


私は独り言を話す。


動画をスタートさせる。


「ピアへ、あのね、私が、死んじゃうことは神様から送られた人生なんだよね。早くから死んじゃうことは、生まれた時から決定事項だったの。」


懐かしい、ユイナの声。


まだ、少ししか経ってないのに


懐かしく思える。


その一言一言に、感動した。


「ずっと私が探していた、生きる意味。なんでみんな死ぬのに、わざわざ生きてるんだろうって思ってた。」


画面のユイナも、少し涙が出ていた。


「でも、でもね、人って幸せになるために生まれてたんだ。私にも、幸せはありました。ピアと出会い、一緒に家に行って、一緒に過ごして、一緒に部活へ行って、その時間が、私の人生で1番の幸せだった。」


……なら、もっと生きて、もっと1番の幸せをつくりたかった。


もっと他に幸せはあったかもしれないのに。


私は生まれてからずっと幸せが続いてた。

途中苦労も乗り越えたけど。


なのに、なんで君だけ、幸せの数が少ないの。

神様。もっとこの子にたくさんの幸せをあげてください。


十分過ぎるほどに。


私はもう、大丈夫です。


だから、ユイナに……もっと幸せをください。


「だから、ありがとう、ピア。もう、お別れだね。生きていたいと思っても生きていけなかった。だから、私の分の幸せは、あなたに託します。だから、この幸せで、私みたいな人を、助けてあげてください。私のこと、忘れないでね。ずっと大好き。ユイナ。」


……うん。ありがとう、ユイナ。


あなたの分まで、ずっと私は生き続ける。

あなたの分の幸せを、他の人にあげるために。


あなたのことは、一生忘れない。


だから、安心してね。


永遠に眠るあなたの、その時間が、少しでも安らかでありますように




この話はこれで完結です。

また、他の作品で会いましょう。

みらいろ美羽で検索すると他の作品が出てくると思うので、そちらも、是非チェックしてみて下さい。

応援、ありがとうございました

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― 新着の感想 ―
[良い点] 完結お疲れ様でした。 悲しいですけど、この一件は友達ができずに悩んでたピアの人生観を大いに変えたでしょうね。 ユイナの分も含めて、今後の彼女の人生に幸あれ、と思わずにはいられません。
[一言] 結局そうなってしまうのですね……。 泣きました!もしも神様がいるのなら……って願わずにはいられません。 最後に、素敵な作品をありがとうございました! これからも頑張って下さい!
感想一覧
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