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第27話 鉄の時代

「うむうむ、順調順調……」


 ハヤテはポチに跨って鉱山地帯を視察していた。

 工場によって生産され、工作機によって作られた各種の施設は問題なく稼働している。

 管理している住人たちも額に汗して一生懸命に働いている。

 続々と様々な鉱石が分類所へと運ばれ、ハヤテの工場機器によって製錬され倉庫へと積まれていく。

 製錬された鉱物はそのまま出荷されたり、工場によって加工され、とんでもないことになったりしている。

 ポチや狼達もハヤテと一緒に戦闘訓練に参加してくれたりと、村人たちに受け入れられてきている。

 

「ポチと話せるのは俺だけなんだね」


「……話せるって時点で少しアレですけど、アニキだけですね」


「獣人だから動物と話せたりするのかと……」


「ハヤテ見て見なさいよ、私たちとこの子達、これだけ違うのよ?」


 足元で丸くなっている狼をマイアは優しく撫でている。


「マナを介して会話している感じだからみんなも話せるのかと思った」


「そういえば以前にもパラス族の会話を聞けるって言ってましたよね?

 やっぱりアニキは特別なんですよ!」


【偉大なる父ともしっかりとした言葉を交わせる。ハヤテは特別な存在なのだろう】


 いつのまにかマイアの側で丸くなっているポチ。

 マイアが他の狼を撫でているとグイグイと頭を突っ込んでくると嬉しそうにマイアは話していた。


 このように、ハヤテは生産拠点、原料確保を得たことにより様々な物資の調達を可能にしていた。

 その中でも聖脈の側から得られるハヤテにとって未知の鉱物はハヤテの興味を大いに引いた。


「このミスリルと呼ばれている物はマナを流しながら加工しないと加工できないと……」


 計器を用いた分析では、鉱石というよりも生物に近いが全くわからないという結果が得られた。

 聖脈が星の血液のようなものであるのなら、その近しい場所に発生するミスリルが星のなんらかの細胞的な物なんだろうとハヤテは考えた。

 少なくともミスリルを他の金属や強化プラスチックに混ぜると硬度は飛躍的に向上した。混ぜる量はわずかで十分で、濃度を上げてもあまり強度が変わらないという不思議な性質を持っていた。


「普通ひとかけらあれば王都の一等地に家が買えますから……」


「ハヤテ様、流石に私でもこれは秘匿させていただきたいです。

 ミスリルが混じった武具は自己再生能力まで持つと言います。

 お父様の身に着けられる国宝もミスリル製と聞き及んでいますが、そんなものを流通されては困ります……」


「そうだな……いたずらにこの国の経済を壊すつもりは無いよ。

 ただなぁ、この素材マナもよく回るし、戦闘力向上に直結するんだよなぁ……

 何とかばれないように使いたいなぁ……」


 ハヤテは身内の安全のためにも強い装備は喉から手が出るほど欲しかった。

 いろいろと研究を重ねて、鎧などの下に着る繊維に混ぜ込むという手法に落ち着いた。

 合成繊維ミスリルナイロンの完成だ。

 この下着をつけることで、鎧を貫いた攻撃を最後に防いでくれ、さらに使用者のマナ効率を飛躍的に上昇させる。目立つこともないのでシーラーも許してくれた。

 内密に王とその近衛分は注文された。

 

「加工するのに俺がつきっきりで工場にマナを放っていないといけないのが大変だ……」


「あんな量のマナを放っていたら普通の人は倒れます」


 マイアも試してみたが、10分と持たなかった。

 最低でも1時間はマナ放出を持続しなければならないので、そういう意味で大量生産は難しかった。

 流石のハヤテも半日やるとフラフラになってしまう。


 しかし、これらの研究の日々で装備のレベルは一段と向上していた。

 ミスリル含有の下着に、様々な鉱石から作られた合金、鉄の時代から突然多重合成合金時代へと変わってしまっていた。

 ハヤテのごく近くだけだが……

 ハヤテの村ではトラックが物資を輸送し、大型太陽光発電による電気革命も進んでいる。

 毎日時代が10年ぐらい進んでいく異常な村になっていくのでありました。


「王国としては、この純度の鉄が供給されるだけで十分です、これ以上は国庫が傾くので勘弁してください……」


 倉庫にうずたかく積まれた大量の超純度の鉱石類をみてシーラーも弱音を吐いていた。

 そしてシーラーはくれぐれもハヤテと事を構えないことを父親である国王に口を酸っぱくして伝えるのであった。


 しかし、メテオリラ王国のそんな内情を知りもしない国が、結果としてハヤテ達の生活にちょっかいを出してしまうことになる。


 メテオリラ王国南部、ハヤテ達の村からさらに南、ドノウ大砦。

 トーラン帝国と接している場所で、小さな小競り合いが起きた。

 はじめはよくある小さな紛争だったのだが、ある小さな事件でお互いに引けない戦いに進んでしまうことになる。

 トーラン帝国の大貴族であるメテウス公爵家、その公爵家次男が帝国側の砦に赴任していたことが全ての始まりであった。


すみません、一月は続けたかったのですが、毎日投稿の限界が来ました。

頑張って次も書くので、少々お待ちください。

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