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「嬉しい!アイリーンちゃんもレイとの結婚を前向きに考えてくれていたなんて。これからは本当の母親のように甘えていいのよ?」
ミュラー夫人はそう言うが早いが、私を思いきり抱き締めてきた。
やることが似ている辺り、レイとは親子なんだなと思ったがそんな呑気にしている場合じゃない。
「いえ、違うんですよ?!レイモンド様のお母様と言おうとしたら焦っていろいろ誤解を生むような図々しい発言をしてしまったわけでして……。」
弁解していて気付いたのだが、私は凄く今喜んでいるみたいだ。
私は元々お母さんっ子だったので、抱き締めて撫でられたら自然とリラックスしてしまっていて、いつの間にかミュラー夫人にすり寄っていた。
「可愛い!!猫みたい。この可愛さにレイはやられちゃったのね。今日からお母様って呼んでね。」
「はい、お母様!」
憧れのお母様が出来るなんて内心では凄くはしゃいでいた。
頑張って無表情を装ったけど。
「ちょっと、リンリーなんかに騙されちゃダメ!アイリーンさんは私の娘になるのよ!」
リンリーってたしかミュラー夫人のお名前だ。
そう言えば殿下とレイが従兄弟ってことは王妃様とミュラー夫人は姉妹ってことだ。仲が良いから、一瞬何でだか考えてしまった。
因みに王妃様が姉で妹がミュラー夫人だ。
何となく、お二人とも喧嘩をなさっているのだが楽しそうだ。久しぶりの会話に話が弾んでいると言ったところか。
これにはアルバート殿下も苦笑いしている。
と其処に新たな乱入者の声が聞こえた。
「ああ嫌だ!伯爵の身分で殿下に手を出しているだけではおさまらずまだ幼い公爵様にまで手を出しているなんて!お里が知れますわね。」
また私を非難しに来た貴族のご婦人のようだ。
でも今言うのは流石にまずくない?
「ねぇリンリー様?貴女の息子のレイモンド様には家のシリーが良いのではないかしら。身内贔屓かもしれないけど、わが娘ながらとても可愛い子なのよ。」
そう言っている婦人の後ろから、例の娘だろうと思われる少女が現れる。
「お久しぶりでございます!レイモンド様はお元気ですか?」
その少女は私より二、三歳ほど年下に見える黒髪に緑色の瞳を持った美少女だった。
またもや波乱の予感がする……。




