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やっぱり長女気質なの?!  作者: 平手みづき
新学期編
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閑話 アルバート殿下の思惑

アルバート殿下目線のお話です!

僕は産まれたときから上に兄がいて過剰なプレッシャーをかけられることがなかった。

その事自体には全く不満はない。


昔から要領もいい方で、教師にも一度教えられたことは大抵難なくこなすことが出来た。

それは人間でも大抵同じで、誰も彼もが僕を誉めて取り入ろうとしているのがまる分かりだ。


僕は次第に人間なんか何を話してもそう違わないんじゃないかと思うようになり、会話に規則をつけるようになった。

女性なら大体持ち物を誉めればその後の会話が上手くいく。

逆に男性ならその人物の領地の産物を誉めたり、政治手腕を誉めたりすればいいだけだ。

僕は家族以外の人間を完全に舐めきっていたのかもしれない。









始業式の後に珍しく図書館に行った。

普段なら城から連れてきた使用人に本を借りてきてもらって部屋で読むのだが、今日は一度持ち帰った家具の配置で皆忙しくしている。

流石にこんな日に本を借りてきて欲しいとは言いにくく、自分で借りに行くことにした。


自国の歴史は学び終えてつまらないので、他国の歴史の本にはまっている。

歴史に関する本のエリアを目指していると殆ど人がいない図書館に人影が見えた。こんな日まで熱心だな、と思いながら覗くと身体に電気が走ったような衝撃を受けた。







世にも美しい女性が熱心に本を読んでいたのである。

今まで社交の経験から多くの女性を見てきて彼女と同じくらい綺麗な人も見てきたに違いないのに、彼女から目が離せない。

小さい頃に絵本で読んで密かに憧れていた月の女神の化身かと思ったほどだ。

彼女の銀色に輝く髪を見ていて彼女が4年生主席のアイリーン嬢だと気が付いた。

今まで見たことがないのも頷けた。彼女の家は確かシュタイナー伯爵家だったはず。

あそこの家は社交に興味がないので有名だ。


まじまじ彼女を観察していて、ふと彼女の手元の本が目に入った。






本のタイトルは「10歳から分かる魔法動物飼育入門」だった………。






気を取り直して本を見るとどうやらケルピーについて調べているようだ。

あぁ、そう言えば僕も4年生の時に実習でケルピーの飼育やらされたな。


そんな事を考えていると、彼女が振り返って近くにいた僕にぶつかってきた。

思ったよりも柔らかい身体に驚いてしまった。


更に彼女は僕を見上げて上目遣いに睨んできた。

顔に熱が集まったのが分かった。


僕は変態か!と気まずくなって必死に平静を保とうとして笑顔を作った。


「大丈夫かな?」


と声をかけると、

彼女が慌てながら、



「も、勿論大丈夫でございます!寧ろなんだか活力が湧いてきたと言いますか……。いえ、本当にお気になさらず。」


と言ってきた。そんな慌てている姿も可愛いなと思っていると、彼女が行ってしまいそうになる。

もっと話していたいという気持ちが湧いてきて、会話を続けようと、とっさにケルピーの話を出してしまった。


案の定彼女がケルピーの本を読んでいたのは実習のためだった。


しかし、彼女が僕を睨んだとき誰かと勘違いしているようだった。一体誰と勘違いしていたのか気になって


「ところで僕は何故睨まれたのかなぁ?」 


と訪ねると、


「あ、あの、いつもここで本を読んでいると後ろからおどかしてくる友人がいまして……いい加減しつこいぞという意味を込めて睨んだところ、まさかの人違いだったという……そういう訳です!」


と答えた。それを聞いて自分でも気付くと自然に口が動いていた。


「それって男?」


そんなこと聞いてどうするんだ!

そう心の中で冷静に考える自分がいるのに、その男にはそんな可愛い顔で睨んだことがあるのかと

嫉妬するもう1人の自分がいる。


彼女も少し呆気にとられていた。


「女の子です。」


その言葉を聞いただけでほっとして、会話が弾んだ。

たわいもないことしか話していたいはずで、いつもなら絶対にしないであろう事だ。


これからは頻繁に図書館を利用することになりそうだと思いながら彼女とは別れた。









部屋に帰って久々に兄に手紙を書くことにした。






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拝啓  愛しのルイスお兄様


僕は本日たまたま立ち寄った図書館で女神に出会いました。この僕が誰かに恋に落ちるなんて今でも信じられません。

このままいくと、お兄様より僕の方が先に結婚しそうですね。これに焦ったらお兄様も早く結婚なさって下さい。

そうそう、今年は魔法使いバトルとか言うものがあるようです。もしご興味がおありでしたら是非ご覧にいらしてください。


可愛い弟アルバートより



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






さて、彼女に婚約者がいるのかどうか探ることから始めようか。

僕は知らず知らずのうちに微笑んでいた。






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