08
実習時間はたかだか3時間……
そう自分を奮い立たせながらここまで来たはいいけど、やっぱり緊張するものは緊張する。
あ、先生来ちゃった。
遂に授業が始まる。
「今回の動物は今までの動物と比べて危険度かが高いので二人一組で行って頂きます!」
まずい、私ボッチだ。
アンナとはクラスが別れてしまったので悲しいことにクラス内に友達がいない。
クラスメイトがチラチラこっちを見ているが誰も声をかけてくれない。そりゃそうだ、私といるとこの授業に限っては危険なんだから。
その時肩を叩かれた。
振り返ってみるとレイモンド様がいた。
「アイリーン、一緒に組もうか。」
アイリーン?なんだか違和感を感じるが、逆にレイモンド様が私をなんて呼んだら良いのか思い付かないからいいか。
でもなんだか回りのクラスメイトが驚いているような……。
なんにしろボッチの私にとっては渡りに舟だ。
「よろしくお願いします。」
「ああ。こちらこそ。」
先生がそれぞれの組に番号札を渡していく。
渡された番号のケルピーの前に行くと真っ黒で大きな馬がいた。ん?真っ黒な……
あっ、昨日殿下が言ってた暴れ馬!!
しかも名札に「ランボー」って書いてある!
名前の由来とか聞きたくない。
「レイモンド様!このケルピーものすんごい凶暴らしいですよ。」
「大丈夫。何かあっても俺が守ってやるから。」
やっぱりイケメンは男前と相場が決まってんのかな。
そんな格好いいセリフ言われたことがないから照れる。
気合いを入れてケルピーのランボー君に向き合う
案の定鼻を鳴らしてこっちに向かってきた。
食べられちゃう。
ぎゅっと目を閉じた。
「アイリーン!」
レイモンド様の焦った声がした。
ほっぺたにざらざらした何かを感じて目をそっと開けた。
ランボー君にほっぺたを舐められてた。しかも頬擦りまでしてくる。
まさかのなつかれた感じですか。
慌てて先生が駆けつけてきた。
「シュタイナーさん、それはケルピーの求愛行動ですよ。」
求愛!?
「先生、それって私が馬に見えるってことでしょうか?」
ええ、ただ今わたくし大変なショックを受けております。まさか自分では普通だと思っていた顔が馬面たったかもしれないなんて。
「この俺を差し置いてアイリーンに求愛するなど許し難い!」
レイモンド様が何やら呟いているが、まさかレイモンド様まで私のこと馬面とか言うんじゃなかろうね!
とにかく馬と結婚とかは無理だから、ランボー君にもそう言っとこう。
「ごめんね、ランボー君。馬と人間は結婚できないって法律で決まってるんだ。」
そんな法律あるのか知らないけど。
「失礼な。誰が馬だ。我は誇り高き妖精であるぞ!」
「馬が喋った!」
「だから馬ではないと言っておるだろうが。」
そう言ってランボー君が身震いすると、背の高いスラッとした黒髪の青年が立っていた。
「先生、ケルピーって人間にもなれるんですか?」
「そうですね。基本的には妖精だから変化自在なんですよ。」
「でも流石に結婚とかは無理ですよね。」
「いや、出来ますよ。エルフと人間の夫婦とか見たことありませんか?」
確かにたまに町で見るけど……。それとこれとは話が違うんじゃないだろうか。
「ほらな。分かったら我と番になるのだ。」
そう言うが早いがランボー君はいきなり私を抱き締めて頬に口づけてきた。
びっくりして赤くなっているとレイモンド様に手をとられた。
「先生、アイリーンが妊娠したら困るので保健室に行かせて下さい。」
そう言うとレイモンド様は先生の返事を待たずに歩き出してしまった。
どうしよう!ケルピーにキスされると妊娠するなんて知らなかった……。
レイモンド様はものの例えで言っているだけなのにアイリーンは本当に妊娠すると思い込んでますね笑




