↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いなくなってくれと願われたので、お望み通り叶えてやったわ!  作者: 清水薬子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/2

いなくなってくれと願われたので

「お前の代わりなどいくらでもいる」


 粗相をすれば、いつもそう言われた。

 学んだこともない宮廷儀礼を完璧にこなせと、無理難題を突きつけられ続けた。血縁上の父という男は、一度も私と目を合わせてくれなかった。


「この程度の成績でいい気分になるなんて、本当に呆れたわ。あなたがしっかりしてくれないと、前妻の子が調子に乗るわ」


 何年も帰ってこなかった母を名乗る女は、いきなり現れては住み慣れた我が家を『薄汚い』と吐き捨てて、馴染みのない屋敷へ無理やり連れて行かれた。

 笑っていないと頬を叩かれてとても不愉快なので、ひとまず口の端を吊り上げると女は機嫌がよくなったのでそうすることにした。


「私はあなたを妹とは思いません。妾の子を屋敷に迎え入れるなんて、父上も何をお考えなのでしょう。……はあ。あなたなんて、いなくなればいいのに」


 義理の姉だと名乗った娘は、私のことが嫌いらしい。なにをしても呆れた顔で嫌な言葉ばかり言う。


「お前のような庶民の血が流れる娘を婚約者にあてがわれるとは、父上は僕のことを見放したようだな」


 婚約者だと紹介された青年、ルークは辛そうな顔をしていた。たくさんの兄弟はみなが才能に溢れていて、いつも比べられるらしい。彼は学園で、婚約者が私であることでクラスから孤立していた。


 私は誰からも望まれていないので、お望み通りいなくなることにした。


 学園の卒業パーティーに向かう馬車のなか。

 一つ深呼吸をした私は、扉を開ける。

 宵闇が迫る森が崖下に広がっていた。


 私の人生に、私の意思が介入することはなかった。

 なので、天命に委ねることにした。


「えいっ」


 馬車から飛び出した私の体は、ふわりと宙に浮いたのちに地面へ吸い込まれる。

 背後で風にあおられた扉がばたんと閉まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。