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侵略者系魔女の侵略ライフ ~地球を侵略しにきた魔女とそんな魔女に姉と呼ばせる中学生のやりたい放題生配信~  作者: 龍翠
第四話

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テンプレ洗礼と当然の流れ

 エルフの受付さんは長い金髪で、見た目の年齢は十代後半ぐらい、だと思う。なんだかちょっと緊張しているように見えるから、本当に若いのかも。


「よ、ようこそ冒険者ギルドへ! 本日はどのようなご用件でしょう! 依頼ですか!?」

「あ、えっと……。その……。冒険者登録、に……」


 そう、私が言った直後。


「ああ……?」


 そんな声が、すぐ側から聞こえてきた。隣の受付さんで何か手続きをしていた男の人。大柄な人で、背中には大きな剣を背負ってる。


「テメエが……冒険者になるだと?」

「あ、えっと……」

「…………。ふん……」


 あ、あれ? 何もしてこない? 受付さんからお金らしき硬貨を受け取って、後ろに下がってしまった。

 なんだったんだろう……。まあ、いっか。


「登録、いいですか?」

「も、もちろんです!」


 そうして、まずは簡単に冒険者の説明をしてもらった。

 冒険者にはランクがあって、上がA、下がFの六段階。それぞれ同じランクの依頼しか受けられないらしい。これは有望な若手が無謀な依頼を受けて死んでしまわないようにという配慮なのだとか。

 同じランクの依頼を十回受ければ昇進試験を受けられる、だって。


 それ以外は依頼を受けるのに制限はないけど、失敗とかした場合は違約金が発生するから、ちゃんと自分の身の丈にあったものを受けてほしいと、かなり念押しに言われてしまった。どう見ても私は戦えるように見えないから仕方ないと思う。

 依頼の受け方は、隅の掲示板に貼り出されている依頼票をこのカウンターに持ってくる、だって。依頼達成の証明方法は依頼ごとに違うから、ちゃんと依頼票を見てほしい、とのこと。

 それぐらい、かな? うーん……。とりあえず。


『テンプレだあああああ!』

『これだよこれ! これがいいんだよ!』

『ていうかなんで依頼のランクがアルファベットなんだよw』

『翻訳の都合だろ。知らない記号とか出されても困るだけだし』

『なるほど確かに』


 テンプレだね! なんだろうすごく楽しい! ちょっと感動した!

 渡された紙に自分の名前と役割……剣士とか、そういうやつ。私は一応魔法使いを書いておいた。一番近いかなって。それを見たニュクスが目をきらきらさせてた気がするけど、きっと気のせい。それを受付さんに書いてもらって、受理してもらった。さすがに文字は書けなかったから……。

 五分ほど待ってから渡されたのは、銅みたいな色のプレート。私の名前が書かれてるみたい。


「これで、私も冒険者……!」

「ぱちぱちぱち」


『ぱちぱち』

『888』

『ていうか侵略者様は口でぱちぱち言うのかw』

『一応拍手もしてるから……!』


 なんだろう。嬉しいけど恥ずかしい。まあ、実際に何かやるわけじゃないんだけどね。


「そちらの方も冒険者登録ですか?」


 受付さんが指し示したのは、ニュクス。ニュクスは首を振って答えた。


「否。依頼に来た」

「あ、はい! 依頼ですね! 分かりました!」


 ここはニュクスに任せたらいいかな。それじゃあ、ちょっと後ろに下がっておこう。あまり離れると怖いから、とりあえずドアの側にでも……。

 そう思って後ろに歩こうとしたところで。


「ふぎゃ!」


 何かに足をひっかけられた。いや、何かっていうか……。


「おいおい、いてえじゃねえか」


 さっきの、男の人。なんだこいつ! なんだこいつ!


『こてこてテンプレだあああ!』

『洗礼ですね分かります!』

『よっしゃやったれアヤカ!』

『どう考えても勝てないだろw』


 あー……。洗礼。確かにそういうのもあるよね。


「おら。冒険者になるんだろ。早く立てよ。俺が冒険者というものを教えてやる」


 いや、どうしよう。かなり怖い。本当にどうしよう。

 私が立てずに呆然としていたら、男が舌打ちしてこちらに手を伸ばしてきて……。


「何を、している?」


 底冷えのする声が聞こえてきて。

 そして、ぼとんと。何かが落ちた。男の人の、手。それが、私の横に。


「え……? うがあああああ!?」


 右手を抱えて叫ぶ男と、それを冷めた目で睨むニュクス。ああ、うん……。


「知ってた……」


『そうなるだろうなと思ってたけど!』

『すぷらったあああ!』

『ごめん俺血無理あとでまたみにくる』

『あばばばばば』


 血。血だ。血が、どばどばと。でも、不思議と私にはかかってない。不自然に血が周りに逸れてるから、ニュクスが魔法でそうしているんだと思う。


「テメエ! 何しやがる!」


 そう周りに人たちが叫んだところで、ニュクスはおもむろにフードを外して顔を出した。

 そのニュクスを見て、全員が凍り付いてしまった。周りの人たちがみんな固まってしまってる。何人かは、特に受付の人たちは顔を蒼白にしていた。


「それは私の協力者だ。私の所有物である。それで? お前は、何をしようとしていた?」


 うずくまってる男の人に問いかけるニュクス。男の人は歯を鳴らして震えていた。


「あ、あの……俺は……その……」

「何をしていたと聞いている」

「ひっ……」


 あー……。もう!


「ニュクス。やめて」

「…………。だが」

「やめて」

「…………。是」


 頷いて、一歩下がるニュクス。みんなが目を丸くするのが分かった。


「ニュクス。この人の手、治してあげて」

「…………」

「私はまだ怪我もしてないからね? 足をひっかけられたけど、それだけだから」

「…………。是」


 うわあ……。めちゃくちゃ不服そう。


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