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侵略者系魔女の侵略ライフ ~地球を侵略しにきた魔女とそんな魔女に姉と呼ばせる中学生のやりたい放題生配信~  作者: 龍翠
第四話

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国会にて


 内閣総理大臣は、野党の質疑を聞きながらこっそりお腹を押さえた。胃薬を増やさないといけないか、と。

 今は国会答弁の最中だ。野党第一党の議員が少し強い口調で発言を続けている。


「つまり首相! あなたは! あの侵略者を名乗る者が! 我が国の土地を手に入れることを容認したということです! しかも! それは正規の手続きは行われていないと聞きます! 侵略者と! 被害者の! 個人的な口約束のようなものになっていると! これはゆゆしき事態ですよ総理!」


 それはそうだろうなと思う。絶対にこうして詰問されると分かっていた。分かっていたが、あの時は認めるしかなかった。

 山を侵略者が欲した時、ほとんど名指しで首相に問われたのだ。自分は王ではないから分からない、と時間を稼ぐことも考えなかったわけではないが、その時間稼ぎが侵略者にどのように解釈されるか分からなかった。

 もし。もしも。あの侵略者がとても短気で、人を人と思わないような存在なら……。日本そのものの存続が危ぶまれる。そう考えた。


 そして、世論でもあの返答はわりと好意的に受け止められた。なぜなら侵略者は、世界規模で影響を与えることができる存在だ。三年前、魔法の種なるものを全人類に植え付けたほどなのだから。逆鱗に触れて日本国民全員が殺される、なんてこともあり得たと考えている。

 けれど、先日の配信とやらで、流れが変わってしまった。

 当初は横暴で何をするか分からないと思われていた侵略者だが、配信でかなりかわいらしい様子を見せてしまった。プリンに喜ぶ着ぐるみパジャマの侵略者は、まあ確かにかわいかったと思う。


 そして、だからこそ。こんな相手ならはっきりと物を言うべきではないだろうか、という声が出てきてしまった。それに野党も乗っかってきたというのが今の状況だ。

 バカしかいないのか、と思う。少し考えれば分かるだろう、と。

 確かに可愛らしい様子を見せた侵略者だが、その力は何一つとして変わっていない。同じ配信で、金を無から作り出すということまでやってのけたのだ。

 侵略者が協力者と呼ぶ少女に止められたから金の量産はされず、暴落せずに済んでいるが……。今も、あの侵略者の気まぐれで世界経済は崩壊するのではと多くの者が恐々としている。

 それに、何よりも怖いことが首相にはある。


 それは、他の国が何も口を出してこないということだ。

 日本と強いパートナー関係にある東の国も、そしてことある事に摩擦が起きてしまう西の国も、どの国も何も言ってこないのだ。

 三年前のあの時は、侵略者に対する会議が何度も行われた。最終的には、次の接触で考えようという受け身の答えになってしまったが……。それでも、侵略者に対する脅威を共有していたのだ。

 だが、侵略者が日本に現れてからは、どの国も言及してこなくなっている。

 いや、正確に言えば、何度か電話会談を行っている。どの国も日本に協力できることがあれば協力しようと言ってくれている。

 それが、何よりも怖い。


 考えてもみてほしい。いろいろと問題を抱える国からすらも、気遣うような、協力の発言が飛び出しているのだから。

 まるで……。そう、まるで、日本に厄介事を閉じ込めておきたいかのような、そんな気配を感じ取っている。

 あるいは、すでに侵略者が他の国に現れて、何かしているか。この可能性も十分に考えられる。

 つまりは、あの侵略者相手に強硬に出るのは間違っている、ということだ。何をされるのか分かったものではないのだから。


「総理! 聞いているのですか!」


 そんな相手の声に、内心でため息をついて立ち上がろうとして。

 唐突に、目映い光が部屋を埋め尽くした。


「うわ……!?」

「な、なんだ!?」


 誰もが慌てふためく中、すぐに光は収まっていく。そして。


「ついた」

「あわわわわ」


 部屋の真ん中に、そこにあった物をはじき飛ばして、少女が二人立っていた。一人は、ほぼ全ての人が見たことがあるだろう人物。侵略者、ニュクス。

 とりあえず首相は思った。

 これが終わったらもう少し良い胃薬にして、量も増やそう、と。


   ・・・・・


 時間は朝まで遡って。


「学校、お休みしたよ」

「うん」

「すごいよね。電話して、お休みするって言ったら、理由とか何も聞かれないんだよ。びっくりだよね」

「昨日の配信を見てたんじゃないの?」

「そんな気がするなあ……!」


 学校に行くのが怖いね! いじめられるよりはましだけど、腫れ物のように扱われるのもなんか嫌だ! 嫌なことをしてきたやつらが、急に敬語になってるんだよ? 私の方が怖いよ!


「そしてわたしも! 休みました!」

「どうして当然のように文ちゃんまでいるのかなあ……!」


 この子まで休む必要はなかったと思うのに! 配信をするなら自分もいるべき、なんて言って休んじゃったよ! 普通にニュクスの名前使ったらしいし!


「配信機材、持ってきました! どうぞ!」

「ありがとう」


 そしてニュクスが文ちゃんから配信についていろいろと聞いてる。

 もしかして、自分で配信をするつもりなのかな、なんて思っていたけど、配信の仕組みを知りたいらしい。基本的には文ちゃんにお任せするのだとか。

 ドローンに魔法をかけて自動的に追尾とか、それぐらいはやるらしいけど、チャンネルとかそういった管理は文ちゃん担当だって。


「ちゃんとお給料も出すよ」

「やった!」

「なんかもうこれ、就職になりそうだよね……」


 まだ私たち、中学生なんだけどね。いいのかなあ、これ。

 早速とばかりにニュクスがドローンに魔法をかけてる。するとドローンはふわりと浮かんで、ニュクスを追尾し始めた。

 そのドローンを見ていたら、


「いだああああ!?」


 そんな、文ちゃんの悲鳴。うん。これ、なんとなく察した。魔法の知識をぶち込まれたやつだ。


「その魔法でドローンを操れるから、あとはよろしく」

「うぎぃぃぃ……。せめて、言ってほしかった、です……」


 うん。なんというか……。


「仲間だね!」

「こんな仲間にはなりたくなかった……!」


 痛みで繋がる仲間だよ! ぶっちゃけ私ももうあの痛みは遠慮したい。


「それじゃあ、お姉ちゃん」

「はいはい。どうしたの?」

「お昼ご飯食べたら、行こう」

「えっと……。どこに?」


 なんだろう。とても、とっても、嫌な予感がします。


「許可を取るのと……。立場を、分からせに。配信もしてね」

「…………」


 嫌な! 予感が! するなあ!


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