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02-02.元不良、魔獣を狩る

木下ハジメは魔獣が眼前に迫りくる中、余裕の笑みを浮かべていた。


「グルゥアアアアアッ!」

と魔獣はさらに吠え立てて、一歩、また一歩と、


――その時、魔獣の足元が崩れた。

ガラガラと音を立てて地面が割れ、出現したくぼみに魔獣の下半身が落ち込んだ。

用意されていたのは落とし穴、であった。


「よっしゃああああっ!!」

「いぇえええええっす!」

「うぉおおおおっ!」

男たちが一斉に歓声を上げた。


ハジメは右手を高々と上げてそれらを沈め、続いて

「前衛、槍を取れぇえい! 囲めええええぃ!」

と叫んだ。


男たちはあらかじめ足元に置かれていた長槍をそれぞれに構え、落とし穴に落ち込んだ魔獣を全周からぐるりととりかこんだ。


「串刺しだぁあ! 突けーっ!!」

男たちは人の背丈を超える長さの槍を次々に魔獣に突き立てた。

長い爪をもった前肢をふるって魔獣は必死に抵抗したものの、槍で突かれた各部からどんどん出血してその動きは徐々に鈍くなっていった。

それから、やがて絶命した。


「よしっ! 戦闘やめーっ! ご苦労だった!」

ハジメは大声で叫び、今回の戦闘は締めくくられた。


木下ハジメが率いる彼らは特務隊。異世界自衛隊の中にあって、およそ自衛官らしからぬ者たちの集まりである。

ハジメが3尉に昇進してほどなく、この春より新設された実験的な独立部隊であった。

その主な任務は遊撃および、トラホルン領内を放浪しての積極的な情報収集。


戦闘技量にたけたもの、言語習得能力に優れたものなどを中心に、技量は優れていてもどこか自衛隊の規範になじまないはぐれ者たち、自衛隊の基準に収まりきらない規格外の人間たちが選抜されていた。

その長に選ばれたのが木下ハジメであり、部隊長の座に就くにあたって彼には特別に2等陸尉の階級が付与されていた。


現実世界の自衛隊に置いて最も近いのは、特殊作戦群であったろう。

異世界自衛隊の服装規定からも自由、部隊運用に当たっては長に独自の裁量権が与えられ、活動資金も潤沢に与えられていた。

求められるのはただ一つ、異世界自衛隊の利益になること。ただそれだけ。


戸田冴子の推薦を受けた田辺1佐が方面に上申し、選考の結果数人の候補者の中から木下ハジメに白羽の矢が立った。


「これはいわば、貴様が率いる小王国だぞ、木下」

戸田連隊長はいつもの無表情でハジメにそう述べた。

「おもしれぇ! その話、受けますよ連隊長」

ハジメは身を乗り出して、その打診を承諾したのだった。


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