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その1 はじめの一歩

ある日の朝、女の子は冒険に行くことにした。


あの絵本の女の子のように、


その子は、ママを探しに小さな旅をした。




その道中はとても魅力に満ちたものだった。


危ない目に会いながらも楽しそうであった。


自分も同じ冒険をしたいと思った。




女の子は、お気に入りのピンクのリュックに大事なものをひとつずつ詰め込んだ。




女の子は、家を出る。




女の子には目的地があったが、それがどこにあるかは分からない。


それでも、あの絵本のようにたどり着けると思った。




女の子は、さてどっちに行こうか。左右を見回した。


女の子にとってはどちらの道でもよかった。目的地にたどりつけれはどうでもいいのだ。


女の子は、いつもと違う道を選んだ。冒険だもの。


女の子は、自作の歌を口ずさみながら小さな歩みを始めた。




道端には面白いものがたくさんある。


ママは、「よそ見をしながら歩いたらダメだよ」と注意する。


でも、面白いものがたくさんあるのですものしょうがないじゃない。といつも思っていた。


道路が危ないのは知ってる。


特に自転車。


車は遠くを通るが、自転車はすぐ近くを通ることがある。


「気を付けてよ!おじちゃん!」声を出さずに心の中で注意する。




散歩をしている犬がやって来た。


犬は好きだけど、でも散歩中の犬は少し苦手。


何故って!こちらは緊張して固まっているのに、まるで気にせず近づいてくるから。


本当に失礼しちゃう!今日は近づかないでひとりですもの。




喉が渇いた。斜めがけしているお気に入りのキャラクターの水筒から水を飲む。


この水筒は、じいじが買ってくれた。


じいじは、怖いけど優しい。


じいじは、最後まで話を聞いてくれる。


自分でもうまく話せなくて分からなくなる事があるときも、話を遮らないで真剣に聞いてくれる。だから好き!




女の子は、急に寂しくなった。


今日は一人だから、隣にママはいない。




女の子は、リュックからぬいぐるみを取り出す。


このぬいぐるみは、ばあばが買ってくれたものだ。


ばあばは、賢くて強い。


ばあばは、いろんな事を教えてくれる。


このぬいぐるみをくれたとき、こんなお話をしてくれた。




「このぬいぐるみに、あなたを守ってくれるように頼んだの


悲しいとき寂しいときに、この子に話してごらん。きっと力になってくれる」


だから、いつも話している。悲しくない時も。ずっと。






女の子は、立ち上がって再び歩き出す。




お腹がすいてきた。




女の子は、辺りを見回した。そしてリュックからそっと財布を取り出す。




この財布はパパが買ってくれた。


パパは、優しい。優しすぎて少しウザイ時がある!


それを言うと、目を見開き落ち込む。可哀そうだから我慢してあげている。




財布は、お金を入れる大事なものだから失くさないでね。と言われた。


失くさない。でも、時々自分の物が消える。不思議だ!


きっと、あのアニメのように寝ている間に冒険をしていて、すぐには帰れなくなるのだ。




お腹がすいた。


女の子には、お金を使って食べ物を買う勇気は、今日はない。


でも明日になれば出来る気がする。




女の子は、考えた。いっぱい考えた。




そして、決めた。




――今日の冒険はここで終わり。家に帰ろう。




来た道を戻りながら女の子は、次は食べ物を持ってこようと静かに決意するのだった。

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― 新着の感想 ―
応援できればと思い来ました(^ ^) 読み進めるうちに、幼い一人称の裏で別の事実が積み上がっていく作りに気づかされました。書く側だと、語り手が理解していないことを読者にだけ伝える手つきがいちばん難し…
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