中編
私には昔から大好きな婚約者がいる。初めて会った時に、何て可愛い子なんだと思った。白い肌に柔らかそうな金髪、吸い込まれそうな緑の瞳。会話もとても楽しいし笑う顔がとても可愛くて、正直政略結婚だからと期待して居なかったがこの子で良かった。この子となら上手くやっていけるって心から思った。
庭を歩いて花を見ながら会話したり、転けそうになったミリィを、危ないからって手を繋いだ日は心臓がドキドキした。何て無い日々がとても楽しかった。ずっと大事にしていこう。
ある日ミリィを訪ねていくと、ミリィの妹に話しかけられた。煩わしかったが将来義理の妹になるため優しくしがそれが悪かった。ミリィより自分を選べと迫ってきた。私が欲しいと。
そんな事する訳がない。断るとミリィに危害をくわえるようになった。父の命令で仕方なく婚約している事にして、一存ではかえられない。もし婚約が無くなると、この家に来れなくなる。会えなくなるよと唆し落ち着かせた。傷をつけると問題になるからと怪我をさせない様にさせた。ミリィの妹とは思えない性格に辟易する。
ミリィの家族に訴えても無駄そうだったので、我が家への報告で済ませた。私の両親は違う家の令嬢に変えてもいいと言ってくれたが、結婚はミリィとしたいと訴えそれならと頑張りなさいと承諾してもらった。
16歳になると我が家に嫁ぐ準備として呼べる。あと数年身と婚約を守るため冷めた婚約だとミリィの家では取り繕った。傷ついて悲しい顔をしてるのを見るのは辛かったが、ミリィとのお茶会は必ず行った、会えば無事を確認出来るし会いたかった。
段々ミリィに来なくていい、回数を少なくしてくれていいと言われだし私は深く落ち込んだ。誰だってこんな無愛想な婚約者は嫌だよね。でもミリィじゃなきゃダメなんだ。
あと何年、あと何日と指折り待ち続けた。
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ある日就寝前に部屋で執務をしていると、従者が慌てて飛び込んでいた。ミリィが自分の意志で居なくなったと。我が家の者を入り込ませておいて良かった。
急ぎ用意をし探しに向かう。つけていた者から場所を聞きその場に向かうと、急に走り出したミリィが私に飛び込んできた。長年恋焦がれた相手が私の腕の中にいる。そっと抱きしめた。
ミリィ…
ミリィ会えて良かった。
ずっと触りたくて甘やかしたくて、この腕に抱きしめたくて我慢していたミリィ。どれだけ抱きしめても足りない。そして腕に抱きあげ我が家へ連れ帰った。
ミリィのために用意した部屋に連れていき眠るように伝える。離れがたいが両親に伝え急ぎ動かないと。
あと数日でミリィは誕生日を迎え16歳になる。迎え入れるために今まで段取りをしてきていた。予定より少し早くなったが問題無い。絶対に離さない。
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「アル様少し離れてください。」
天使か。ミリィのために用意した服を着て部屋に座っている。可愛い。信じられないくらい嬉しくて夢のようだ。共に朝食を食べ、その後共にソファーに座る。ピタリと真横に座った私にミリィが困ったように離れてくださいと言う。
私を置いていこうとしたのに。もしミリィを失っていたら私はどうなっていたかわからない。
「今日からここに住んでね。昨夜のうちに諸々の手続きは済ませたから。」
「は?」
驚いたミリィも可愛い。この数年冷めたお茶会では表情が出なかったミリィだが、今は色んな表情が出て可愛い。
「16歳になったら我が家に迎え入れる手筈だったんだ。ここもミリィのために用意した部屋だから。欲しい物があれば何でも言ってね。」
「え?私ここに住むんですか?婚約破棄は?この素敵な部屋私のですか?用意してくれたのですか??」
飲み込めず戸惑っている。婚約破棄なんかするわけ無い。今までの事を説明し、優しく出来なかった事を謝罪した。そしてずっと一緒に生きていたいと願った。
「ミリィはもう嫌いかも知れないが、私はミリィがいないと生きていけない。嫌がられても離してあげられないから、もう1度好きになってもらえる様に努力していくね。」
「アル様は私の事を嫌いなんだと…」
「好きで好きでミリィ以外誰もいらない。」
「諦めないとダメなんだ…私じゃダメなら望まない婚約をしてるアル様を解放しないとって。私以外の人と幸せになるアル様を見たくなくて離れないとって。」
「つらい思いをさせてごめんね。大好きだよ。」
泣くミリィを抱き寄せ、背中を撫でる。愛おしい。
私も好きですと小声で言われ嬉しくてさらに抱きしめた。そっと頬に手を当て、おでこに口づけを落とす。照れるミリィにたまらず、頬や髪にも口づけをする。
今はまだそこまでですと従者にとめられる。私のミリィなのに。
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