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Constellation Knight 〜私達の星春〜  作者: Remi
6節 偽りか、裏切りか
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第086話 アイス食べたくない?

「アイスおいひぃ〜………やっぱり頭を使った時は甘いものですなぁ……」


 由完全に気の抜けた由衣ゆいの声が聞こえてくる。


 あのやり取りから数時間。時間は16時過ぎ。

 特に脱線もなく、由衣も「飽きた!」という悲鳴を上げなかった。


 しかし、15時半頃に「長めの休憩を取りたいです…」と溶け始めたので、休憩を取ることにした。


 さらに由衣の呟いた「アイス食べたくない?」という言葉に、智陽ちはるが「わかる」と乗ったので近くのコンビニまでアイスを買いに行くことになった。


 そして今は帰ってきて食べているところだ。


 由衣は何やら期間限定らしいカップアイス、智陽はいつしか食べていたアイスバーのソーダ味、そして俺は……


「まー君、やっぱりこんなときまでそういうのなんだね……」


 由衣が俺が片手に持っているパウチタイプのバニラアイスを見てそう呟いた。


 普段からよくゼリー飲料を口にしてるからか、無意識に選んでしまった。


 そんな俺を見て「こっちも美味しいよ?一口食べる?」と聞いてきた。


「いらん」

「期間限定だよ?まー君、あんまり食べ……あ、同じスプーンは嫌だよね。

 えっと……スプーン、どこにあるの?」


 話を聞いていないのか。

 そんな呆れた想いと共に、「だからいらん。さっさと食べ切れ」と言い返す。


 すると由衣は、「は〜い……」少し不服そうな声で返事を返してきた。


 そしてまたアイスを掬って口に入れて、「やっぱり美味し~!」とまた満面の笑みを浮かべでいる。


 既に何口……というか、多分半分くらいは既に食べているはずだ。

 だけど初めてこの美味しさを味わったような表情をしている。


 ……本当に、小さいころから変わっていないな。


 そんなことを考えていると、智陽の「忘れてた」という声が飛んできた。

 そして智陽が向かいのソファーから、俺の隣に移って来た。


 ちょうどアイスを吸い終わった俺は、ゴミをテーブルの上に置く。


「これ。できたから」


 その言葉と同時に手渡されのはUSBメモリ。

 智陽の言葉はそのまま続く。


「この前言ってた星座の力をもう1つ使うための装備。

 真聡が言ったように、スターに研究資料にあるギアの情報を参考に似た感じで作ってもらったから」


 頼んだ時は自身がなさそうな口ぶりだったが、本当にできたんだな。

 そう思いながら、「助かった。俺も確認はする」と言葉を返す。


 それに対して智陽は「ねぇ」と呟いた。


「どうやって作るの?」

「協力者にこのデータを渡す。その協力者が作れると思ったら作ってくれるはずだ」


 俺の返事に智陽は「ふ〜ん」とだけ返事をした。

 しかし、食い入るような目でじっと俺を見つめている。


 ……疑われている気がする。


 だが協会の存在を伏せている以上、あまり勘付かれそうなことは言いたくない。


 どうやって誤魔化すかを考えていると、智陽は「ところで」と口を開いた。


「お父さんの研究資料はどう?何かわかった?」

「いや、まだ何も」

「だよね……」


 智陽が残念そうな声でそう呟いた。


 智陽を正式的に協力すると決めた翌日。

 俺は智陽から研究資料のコピーを受け取っていた。


 資料には話の通り、ギアについての研究が書いてあった。

 ……残念ながら知っている情報しかなかったが。


 しかし、それだけではなかった。


 資料には鍵かかっていて見ることができない項目が存在していてた。

 流石にそれはコピーできなかったそうで、実物は見ていないが。


 そしてそのロックは、智陽にもスターにも解けないらしい。


 俺も関連しそうなワードを伝えて、入れて貰った。

 しかし、何1つ正解ではなかった。


 収穫は基本的な情報と鍵がかかった情報。


 つまり現状、新たな収穫と呼べるものはなかった。

 智陽が「見せてくれ」と頼んだときの反応も納得だ。


「まぁ、また何か思いついたら言う」

「うん。私も何か思いついたらやってみる」


 そこに由衣の「ご馳走様でした」という声が聞こえてきた。

 そしてそのまま、「何か難しい話してるね?」と会話に入って来た。


 だが、ぶっちゃけ智陽は食べ終わっているようだし、俺も食べ終わっている。

 つまり、由衣を待っていたという訳だ。


「食べ終わったなら続きやるぞ」


 すると由衣は「うぇぇ……」とまたうめき声をあげた。


 智陽は「今日できるだけやった方が後が楽だよ」と言いながら、反対側のソファーに戻っていった。


 そして由衣は「そう……だよねぇ……」と呟いた後、再びペンを手に取った。

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