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私達の星春群像奮闘記  作者: Remi
6節 偽りか、裏切りか

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第087話 お祭りに行きたい

「もう……無理です……」


 時刻は18時過ぎ。由衣《ゆい》は燃え尽きていた。真っ白に。


 しかし、智陽《ちはる》の「でも頑張ったと思うよ」という言葉を受けて「本当!?」と少し元気を取り戻した。


 まぁ時間も時間だし、今日は解散で良いだろう。

 そう思い、俺は自分が広げているものを片付け始める。


 並行して、由衣に「で、どのくらい進んだんだ」と言葉を投げる。


「ん〜〜と……5割は越えた……かな?」

「……頑張ったな」

「本当!?やった〜!!」


 由衣は両手を上げて喜んでいる。

 俺はすぐに「ちゃんと終わらせないと意味ないぞ」と言うが、残念ながらその声は届いていないようだ。


 それにしても、そんなに喜ぶことか…?

 そんな疑問はさておき、ちゃんと終わらせてもらわないと困る。


 ……仕方ない。

 あまりやりたくないが、やるしかないか。


 俺は覚悟を決めて、「由衣、お前明日は暇か?」と問いかける。


 すると由衣は「何!?遊びに行くの!?」と少し目を輝かせながら、俺の方を向いた。


 ……こいつ、本当にのんきだな。


「違う。明日もここに来て課題をやれ。見といてやるから」


 その言葉聞いた瞬間。

 由衣の視線が「うっ……あ……」という声とともに泳ぎ始めた。


「明日は……用事が……あったようなぁ……」

「絶対ない反応でしょそれ」


 智陽の鋭い指摘が飛んだ。

 由衣はその指摘を受けて諦めたのか、呻きながらも「うぐぅ…………ありません……」と素直に言った。


 とりあえず言質は取った。

 俺は「決まりだな」と呟く。


 しかし、由衣は諦めたくないらしい。

 「で、でも特訓とかしなくていいの?」と聞いてくる。


 別にやってもいいが……。


「お前この暑さの中、外で身体動かしたいか?」

「…………嫌です」

「だろ。文句を言わず来い」


 由衣の「そんな〜!!」という落胆の声が部屋に響く。


 実際この暑さと日差しだ。外で身体を動かして熱中症になったら困る。


 それに特訓中に澱みや堕ち星が出て、そのまま出撃となると……地獄だろう。


 ……あと、由衣も志郎《しろう》も澱み相手なら余裕があるほどには強くなった。

 設備や人手が足りない以上、無理に特訓する必要もないだろう。


 最近入った鈴保《すずほ》は心配だが……まぁカバーすれば良い。


 そんな考え事を置いておいて、意識を外に戻す。


 すると由衣は智陽に「海とか花火とか行きたくない?夏休みなんだよ?」と訴えていた。


 まぁ、智陽に全部あっさり断られているんだが。

 いや、それより。


「何してるんだ。早く片付けろ」

「2人とも酷い〜!」


 由衣の言葉に、智陽は淡々と「酷くない」と言い返した。


 ……夏休みらしいこと、な。


「……他2人も呼ぶか。集まって勉強をするのもまた夏休みらしいだろ」

「そんな夏休みらしいの嫌だ〜!!前半にした補習で十分だよぉ……」

「でも、志郎も終わってなさそうだし良いんじゃない?」


 凄く悲しそうな声と表情の由衣とは対照的に、智陽は乗り気のようだ。

 志郎については同意見なので「だろ」と返す。


 そこに由衣が「あ!」と叫んだ。


 今度は何だ。


 少し呆れながらも「何だ」と聞き返す。


 すると、由衣は真剣な声で「……1つ、お願いがあります」と言ってきた。


「どうしたの」

「もうすぐさ、近くの神社でお祭りがあるの覚えてる?」

「あぁ……あったね」

「それ……みんなで行きたいなぁ〜って……」


 近くの神社。星鎖《ほしくさり》神社。


 小学校の夏休み。幼馴染5人……途中からは3人だったが、毎年行っていたのを覚えている。


 ……まだやってるんだな。

 名前は……星鎖祭りだったか。


 俺が記憶を辿っていると、由衣は智陽を必死で誘っていた。

 残念ながらまた断られているが。


 「暑い中、人ごみを歩き回るの嫌」とか「家そこまで近くないから夜に遠出したくない」とか言って。


 ……近くないのに星鎖祭りについては知ってはいるんだな。


 そして由衣は智陽に完全敗北して、凄く悲しそうにしている。


 ……仕方ない。


「わかった」

「行ってくれるの!?」

「ただし、課題が終わるか終わる目処がついたてたらな」

「うぅ………わかった!頑張ります!」


 由衣が少し気合の入った声で返事をした。


 行くのは面倒だ。

 だが、由衣がやる気を出して課題をやってくれるなら……仕方ない。


 そう考えていると、由衣は「ところで……」とまた口を開いた。


「まー君今日どうする?」

「何がだ」

「お母さんまた『晩御飯食べにおいで』って言ってたたけど……」

「あぁ……」


 最近は夜遅くまで由衣と一緒にいることもなかったので、1学期初めよりは白上家から足が遠のいていた。


 それでも定期的に呼ばれていたが。


 今日は課題の監視をしていたから疲れたんだが……。


 そう悩んでいると由衣は「そうだ!智陽ちゃんも来ない?」と何故か智陽を誘っていた。


「何で?迷惑でしょ。」

「多分喜んでくれるよ?」

「……私は由衣の両親と面識ないから嫌だ。死ぬほど気まずい」


 その返事を聞き、由衣は「そっかぁ……」と引き下がった。


 ……さっきと比べると、あっさり引き下がったな。


 すると「で、まー君どうする?」という言葉が飛んできた。


 面倒だが……1つ、考えたことがある。


「……お邪魔させてもらう」

「本当!?」

「あぁ。おじさんとおばさんに『明日も課題をやるのを監視します』って言う必要があるからな。そうしたら絶対来ないといけないだろ」


 俺の言葉に由衣は、「いやいいよ!!そこまでしなくて!!」と抵抗の言葉を口にした。しかも立ち上がって。


「そうでもしないと逃げそうだからな」

「何でそんな信頼ないの!?」

「今の…うちに…終わらせておくとっ…後半遊べるよっ…?」


 そう言って来た智陽は何故か凄く笑いを堪えていた。


 何が面白いんだか……。


 由衣が「何でそんなに笑うの!?」と聞くが、智陽は笑って答えられない。



 そして数秒後。

 俺の部屋には「そんなに笑わないで〜!!」という由衣の叫びが響いた。

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