最終話 国民に愛される大魔導師
王都は歓喜に包まれた。
「リオ万歳!」
「我らの守護者!」
「大魔導師様!」
人々は広場に集まり、リオの名を叫んだ。
かつて才能がないと笑われた少年が、王国を救った英雄になったのだ。
国王はリオを宮殿へ招き、最高位の魔導師の称号を授けた。
「リオよ。そなたの功績は、王国の歴史に永遠に刻まれるだろう。何か望みはあるか?」
リオは少し考え、答えた。
「この結界を維持するための研究費をください。それと、才能がないと言われた子供たちにも魔術を学ぶ機会を与えてほしいです」
「それだけでよいのか?」
「はい。俺は師匠に出会えたから、ここまで来られました。俺と同じように悩んでいる奴らにも、チャンスがあってほしいんです」
国王は感動したように頷いた。
その日から王国では、魔術の才能だけで人の可能性を決めつけることが見直されるようになった。
そしてリオは、国民に愛される大魔導師となった。
ある日の夕暮れ。
リオは、いつもの丘でゼルガンドと並んで座っていた。
「師匠。俺、少しは一人前になれたかな?」
「国を守り、魔王を退けておいて、まだそんなことを言うか」
「だって、師匠には一度も勝ててないし」
「当たり前だ。わしはお前より何百年も長く生きているんだからな」
ゼルガンドは豪快に笑った。
それから、ふと真面目な顔になった。
「よく頑張ったな、リオ」
その一言に、リオは目を丸くした。
厳しい修行の間、ほとんど褒めてくれなかった師匠。
その師匠からの言葉に、胸の奥が熱くなった。
「……ありがとう、師匠」
リオは笑った。
才能がないと言われた少年は、努力を重ね、誰よりも強い魔導師になった。
けれど、彼が本当に誇りに思っていたのは、魔王を倒したことでも、国を守ったことでもない。
自分の力で、誰かの明日を守れたことだった。
そして今日も、王国を覆う大結界は静かに輝いている。
人々は空を見上げるたび、安心して笑う。
その結界を張った少年の名は、リオ。
十七歳にして魔王を退けた、史上最強の大魔導師。
ーーこれは誰よりも人々に愛された、才能なき少年の物語である。
ーおしまいー




