体は正直です
朝食の後、何かお手伝いする事はないかと尋ねたが公爵様には厳しい顔でゆっくりしていろ、これは命令だと言われてしまった。
「全く今までの事を考えれば当分食事以外は何もしない様に部屋に閉じ込めておきたいくらいだぞ。
しばらくは大人しく体を休めろ」
と言われました。
自分的には元気だと思うのですが…
とは思ってみたものの、体の方が正直でした。
部屋に戻りフカフカな長椅子に座った後の記憶がありませんでした。
ボーンボーンボーン
気がついたのは、午後3時を告げる時計の音でした。
「いやだ、随分眠ってしまったわ」
独り言を言いながら、長椅子から起き上がると知らぬ間に大きなショールが掛かっていました。
窓の外は少し日が傾いてきています。
時計を再度見て確認する。
やっぱり3時、午後の3時です。
ずいぶんぐっすり寝てしまったようだわ。
「お目覚めですか? ステラ様」
アンナが部屋に入って来た。
「そろそろ目を覚ますかとお茶をお持ちいたしましたよ。
こちらへどうぞ」
なんとタイミングのいい事。
何処かで見ていたのかしら? と思う程です。
「アンナがショールを掛けてくれたの?」
私はアンナに促されてソファに移動した
「ええ、寒い季節ではありませんが、体の上を覆っている方が安心すると言いますでしょう?」
なるほど、確かに安心しきって熟睡してた。
アンナはソファーテーブルの上にお茶とスコーンを並べた。
「あんまりよくお休みなので、お昼に起こさなかったのです。
お腹が空いたのではありませんか?」
「確かに寝ていただけなのに、空いているみたい」
スコーンを見た途端私は空腹を覚えた。
「晩餐は早めにいたしますので、繋ぎにスコーンをいかがでしょう?」
「ありがとう、頂くわ」
わたしはゆっくりとカップを持ち上げてお茶を飲んだ。
子爵家にいた頃のように、ゆったりと過ごせるなんて…
もう二度とないと思っていたのにね。
改めてあのひどい家から出られて自由になったんだと実感した。
コンコン
「ステラ嬢、いるかい?」
ジュリアン様の声かしら?




